目次
第三部:過去の勢力
第十一章:悠竜時代
第一節:概要
三界創世から太古文明発祥までの永い期間は、全て竜世紀に区分されるが、これは歴史時代というよりも、地質学的な年代に相応しい。悠竜時代は、「創界人出現以降の竜世紀」と定義され、それ以前はもっぱら竜の時代であったとされる。しかし、竜や人類が誕生した正確な時期は不明であり、竜世紀と悠竜時代の区別は曖昧である。
悠竜時代の大きな特徴は、創界人と、竜や異界人との関連が、化石や遺構から証明されている点にある。後世の歴史においても、竜や異界人の影は常に垣間見えるが、明確な資料は残っておらず、伝承や噂話の中の存在であると信じる者も多い。悠竜時代末期における「太古の遊人」の活躍が、彼我の交錯を絶ち、創界人を歴史の主役に押し上げたためである。
第二節:竜
第一項:生物としての竜
竜は、三界の祖である精霊の大きな魂から生じたとされる獣である。生物名は「タツ」で、「辰」とも表記される。古語では、「精霊の現身」を意味する「ドラカ」の名で呼ばれた。
竜の巨体は、莫大な魂を懐くとともに、強靭な四肢と翼を有し、常界のあらゆる環境に耐え、溶岩を泳ぎ、大空を飛ぶ。竜は天敵を持たず、極めて長寿だが、あくまで動物であり、卵によって繁殖し、飢えや渇きで死に至る。竜はまた、創界の「魂の気配」を「魂の密度」として感知する。創界の「魂の密度」が過剰に高まると、竜は、体内の魂を燃焼させた「魂の焔」を吐き、実存を燬いて「魂の歿」へと導く。竜のこの行動によって、三界の情報量は一定に保たれ、宇宙の安定が維持される。
竜は竜大陸の全域に棲息していたが、やがて、大陸中央の大竜原を繁殖地とし、特に霊峰を産卵地とするようになった。しかしその後、「霊峰の大噴火」によって大竜原の生育環境が失われ、竜の集団は大陸各地に離散して分化し、原種の直系は途絶えた。
第二項:偶像としての龍
魂を滅却する竜は、絶対的な終末をもたらす存在として創界人に畏怖された。信仰対象としての竜は「龍」と呼ばれた。
第三節:創界竜と創海竜
第一項:創界竜と創異円
創界竜は、現在も創界に棲息している竜種である。単に「竜」というときは、創界竜を指すことが多い。創界竜は、「霊峰の大噴火」後に大竜原から大平原へと去った竜の後裔で、原種の形質をほぼ継承している。
原種と同様に、創界竜も実存を「魂の歿」へと導いていたが、「霊峰の大噴火」で激減した個体数では、全ての魂を滅却することはできなかった。その結果、創界の「魂の密度」は高まり続け、常界には躯が出現し始めた。閾値以上の「魂の密度」に常時曝露された創界竜は、この環境に適応するのではなく、原状回復のために「魂の焔」を強化し、実存の滅却を大規模化する方向に進化した。
創界竜が吐く絶界の「魂の焔」は、その格別の威力から「竜の焔」と呼ばれる。「竜の焔」は稀に位相をも穿ち、創界と異界の裂け目である創異円を生成した。創異円を通過した魂は異界に転相されるため、創界竜が創異円を生成するたびに、創界の「魂の密度」は持続的に低下していった。創異円の数が八つに達し、魂の発生と転相が均衡して以降、創界の「魂の密度」は低位で安定し、創界竜は姿を消した。獣としての創界竜を知る創界人も減少し、その実像は、竜の偶像化とともに膨大な伝承に埋もれていった。
創界竜は、竜世紀以降も大平原に棲息し続けており、創界の「魂の密度」の高まりを検知すると姿を現し、「竜の焔」を吐いて魂を滅却するという生態は変化していない。「創界竜の化石」の発掘によって、創界竜の実在は証明されているが、その事実を知る創界人は少ない。
第二項:創海竜
創海竜は、「霊峰の大噴火」後に東海へと渡った竜が、海洋環境に適応して分化した竜種である。東海に大繁栄していたオウムガイを喰らい尽くした結果、オウムガイは激減し、餌を失った創海竜は絶滅した。
創海竜から放出された莫大な魂珠は、海中のプリズマリンと結合して結晶化し、海竜心となった。海竜心と「オウムガイの殻」を合成すると、「創海竜の媒体」である海竜魂となる。海竜魂をプリズマリン竏の檻に捧げると、水中に創海竜の力が媒介され、陸上と同様の行動が可能になる。力が及ぶ範囲は、創海竜の寸法と等しく、直径三十二~九十六メジャーの球体である。
第四節:冥界竜と枯屍竜
第一項:冥界竜
冥界竜は、「霊峰の大噴火」後に火口から極深層へと潜った竜が、冥界の環境に適応して分化した竜種である。冥界竜は、岩盤で覆われた冥界では飛翔せず、溶岩海を泳いで移動した。その結果、翼が退化した一方、溶岩に融解していた金が竜鱗に付着し、黄金の甲冑を纏ったような威容を誇った。金には抗菌作用もあり、冥界菌の感染から冥界竜を防護した。黄金の冥界竜の姿は、辺境人であるピグリン種の脳裏に焼き付き、竜と金を崇拝する独自の信仰が生まれた。
冥界竜は、玄武峡の凍氷から水分を摂り、仄躰を食し、地中深くに産卵した。冥界竜の卵殻は、過酷な環境から胚を守るために極めて強度が高く、その破片は「太古の残骸」として現在まで残っている。
玄武峡の凍氷は再生が遅く、水分を求めた冥界竜は、辺境のさらに奥へと棲息域を移していった。少数の冥界竜が散開した結果、繁殖機会は激減し、種の途絶が不可避となった。個々に死を迎えた冥界竜からは、莫大な魂珠が放出され、冥界の生態系に影響した。冥界竜の強力な魂は、肉を纏って躯と化し、冥竜人となった。冥界竜の屍に残った魂の欠片は、冥界岩に浸透し、「魂の残滓」である魂砂や「魂の残渣」である魂土へと変質して、魂砂峡が形成された。冥界竜の骨は、魂砂峡の地表に「冥界竜の化石」として露出している。
第二項:冥竜人
冥竜人は、「魂の憩」を得られなかった「哀しい冥界竜の魂」が肉を纏い、辺境を彷徨っている躯である。ウィザースケルトン・ガスト・ブレイズ・枯屍竜の四種が存在する。これらの躯の魂を異界に転相することによって、冥界竜の魂に憩を与えることができる。
フロー:冥界竜の「魂の旅路」
冥界竜┬→冥界竜の屍────────────────→魂砂・魂土┬→枯屍竜─→冥竜心→飛異魂 ├→冥界竜の骨→ウィザースケルトン→ウィザースケルトンの頭┘ ├→冥界竜の翼→ガスト────────────→ガストの涙─────┬→異竜魂→異界竜 └→冥界竜の熄→ブレイズ→ブレイズロッド→ブレイズパウダー┬→異魂眼┤ 異界人─→記憶の結晶──────────────────→異魂珠┘ └→創異円→異界
ブレイズと異魂眼
冥界竜が吐いた「魂の焔」の余燼は、水のない冥界では自然に消えず、冥界岩の炎や、魂砂・魂土の「魂の炎」として燃え続けている。ブレイズは、これらの熄が躯となった冥竜人であり、その屍であるブレイズロッドを破砕したものがブレイズパウダーである。「魂の灰燼」であるブレイズパウダーと、異界人の「記憶の結晶」である異魂珠を合成すると、「魂の模型」である異魂眼となる。「冥界竜の魂」と「異界人の記憶」が混合された異魂眼は、異界で羽ばたくため、創異円を目指して飛行する。異魂眼が創異円に辿り着くと、混合されていた「冥界竜の魂」が異界へと転相される。
ガストと異竜魂
ガストは、大空に拒まれて退化した「冥界竜の翼」が躯となった冥竜人である。零れ落ちる「ガストの涙」は「冥界竜の悲涙」であり、異魂眼と合成すると異竜魂となる。異竜魂を異界に設置すると、「冥界竜の悲願」が果たされ、「竜の記憶」である異界竜が再構成される。
{乾燥したガスト(冥界竜の渇望)}
ウィザースケルトン
ウィザースケルトンは、「冥界竜の骨」が躯となった冥竜人で、その頭蓋骨である「ウィザースケルトンの頭」には「冥界竜の思念」が宿っている。魂砂や魂土で作った依代に「ウィザースケルトンの頭」を三つ祀ると、大空に拒まれた「冥界竜の無念」が実体化した枯屍竜が召喚される。
第三項:枯屍竜と飛異魂
召喚された枯屍竜は、界域全体に轟く大音響とともに爆発し、岩盤以外のあらゆる物を破壊する。枯屍竜は、冥界竜の無念を晴らすかのように飛行しながら、「魂の焔」を発射して無差別に実存の魂を滅却し、その肉片をウィザーローズへと変える。ウィザーローズを魂土に植えると、肉片と「魂の残渣」が結合し、新たな躰と命を得て植物となる。
枯屍竜を屠り、冥界竜の無念を晴らすと、決して消えない「冥界竜の心」である冥竜心が現れる。冥竜心を黒曜石に祀ると、「冥界竜の夢」である飛異魂となる。飛異魂を起動すると、「冥界竜の夢」が叶えられ、その魂が光となって異界へと転相される。
第五節:異界竜
異界竜は、異界で再構成された「竜の記憶」である。創界の魂が異界へ転相されると、創界の「魂の密度」は低下するが、三界全体の総情報量は変化しない。異界竜は、異界の魂を滅却することで、宇宙の安定を管理する役割を担う。
異界竜は通常、創異円から転相された竜の魂が異界で再構成されることで出現する。また、異竜魂を異界で展開することで、「冥界竜の記憶」を異界竜として人為的に再構成することもできる。原理上は、全ての竜種の魂から異界竜を再構成することができ、竜が存在する限り異界竜を復活させることができる。
「異界竜の卵」である竜卵には、その時点における三界の全情報が記録されている。竜卵を孵化させると、時間を遡行して歴史に介入することができる。
第六節:創異円と禁殿
第一項:創異円
創異円は、創界竜の「竜の焔」によって穿たれた、創界と異界の裂け目である。創界の魂が創異円を通過すると、異界へと転相され、異界人や異界竜となる。また、菌が創異円を通過すると、その命が異界へと転相される。
表:創異円の位置
| 創異円 | 創界座標 | 村 | 場所 | 開始 |
|---|---|---|---|---|
| 第一創異円 | -748, -31, 192 | 雪原村 | 大豊原と大雪原の境界 | 20250914 |
| 第二創異円 | -828, -920 | 平原村 | 央海を望む大雪原 | |
| 第三創異円 | 1304, 584 | 平原村 | ガレット公爵領と崇禍原の境界 | |
| 第四創異円 | 1428, 964 | - | ガレット公爵領内 | |
| 第五創異円 | -1260, -1812 | - | 南海を望む外ブルスケッタ | |
| 第六創異円 | -1836, -1996 | - | 大雪原と大平原の境界 | |
| 第七創異円 | -1084, -4180 | - | 南海の島 | |
| 第八創異円 | 4596, -1100 | - | 大荒原の南東端 |
第二項:禁殿
禁殿は、
第三項:誘魂灯と偶
物語
悠竜時代、創界人は創異円の近くに村を作って暮らしていました。やがて村人たちは、死んだ人の魂は、創異円からどこかに旅立つらしいことに気づきました。村人たちは、魂が迷うことなく創異円に辿り着けるよう、村までの道しるべとして、カボチャを顔の形にくり抜いた誘魂灯を置くようになりました。カボチャのくり抜きが上手になり、灯作りが盛んになるにつれ、誘魂灯は本当に魂を導くようになっていきました。さらに村人は、誘魂灯を飾り付けることで、物に魂が積っていくことを知りました。鉄の丈夫な人形に、村一番の名人が作った誘魂灯を被せると、強くて優しい鉄偶ができます。寒い村では、雪偶を作りました。偶たちが村を守ってくれるので、魂は安心して旅立つことができます。
【題材】「魂の憩」、聖座、招魂函の原型。お盆の灯篭。
第七節:悠民
創界人は竜大陸各地の《村》で暮らしていたが、「太古の遊人」によって霊峰に飛異魂が設置されて以降、多くの者が「魂の憩」を求めて大竜原に移住した。このとき、大竜原に移住せず、従来の《村》での暮らしを続けた者たちは悠民となり、独自の文化を伝承・発展させた。
第八節:太古の遊人
第一項:遊人の旅路
第二項:十遺物
世界を旅した「太古の遊人」が創界に持ち帰ったとされる十個の遺物。内訳には諸説あるが、飛異魂・竜翼・竜卵の三つは、「太古の遊人」が直接創界に持ち帰ったことが伝承されている。
リスト:十遺物
リスト:十遺物とされることがあるもの
- スケルトンホース
- スニッファーの卵
未整理のアイデア(男女の発生)
太古文明を開いたのは、後に「最初の聖座」となる「太古の遊人」です。「太古の遊人」は、冥界で枯屍竜、異界で異界竜を討伐した英雄であり、これはどう見ても男のイメージです。男である「太古の遊人」が聖殿に飛異魂を設置して「魂の安処」としたわけですが、飛異魂を起動するには、設置者の魂と同調する必要があります。このとき、聖座=最高統治者は男でなければならない、という古典的な性的役割が生まれました。
もっというなら、原初の創界には竝しか性がなかったかもしれません。ちょっと外向的な竝(男の前身)、ちょっと受容的な竝(女の前身)はいたでしょうが、性的に分化していませんでした。そうした中から、究極の男である「太古の遊人」が現れます。彼に憧れ彼を目指した者は男になり、彼を愛し彼に仕えた者は女となりました。こうして、太古文明は男・女・竝が共存し、しかし最高統治者は男である社会として成立しました。男女竝は平等でしたから、時代が下り、竝も最高統治者=聖座になって良いのではということになりましたが、運悪く、「太古の崩壊」が起きてしまい、「やはり統治者は男でなければならない」というトラウマが創界人に植え付けられ、現在まで続く伝統的・保守的な性別役割が定着し、竝は迫害され少数派となりました。
最初の女は「太古の待人(まちびと)」The Antient Watcher というのはどうでしょう。「太古の遊人」は、三界中を冒険し、十個の遺物を創界に持ち帰ったとされます。これは、待人へのプレゼントだったのです。あるいは、待人は研究者で、その史料だったのかもしれません。「太古の遊人」は、愛する「太古の待人」が所望した、世にも珍しいものを探すために世界中を旅したのです。彼の冒険は、後に待人によって記録もされました。
遊人が持ち帰った十遺物ですが、十個を一度に持ち帰ったのではないのでしょうね。待人が遺物を要求→遊人が持ち帰る→しかし待人はなびいてくれず、さらに難度の高い遺物を要求…という過程を一個一個繰り返す過程で、遊人はどんどん男らしくなる、すなわち性の分化が進んだことが考えられます。
待人が作った道具
待人は、世界を理解するためのアイテムの探索を遊人に依頼し、遊人が持ち帰ったものから新たな道具を作った。これらは後の太古文明の発展を支えた。
- 望遠鏡(アメジスト+銅)
- コンパス(鉄+レッドストーン)
- 時計(金+レッドストーン)
第十二章:太古文明
第一節:概要
創界最古の文明。太古文明が栄えた「太古の大地」の中央には霊峰が聳え、その頂にある聖殿は、「魂の安処」として、全ての太古人の魂に憩を与えていた。また、「太古の大地」の最深部には岩盤層がなく、冥界である極深層と連続していた(記録:禁書『{太古文明の冥界素材}』)。彩金時代末期の「太古の崩壊」によって、「太古の大地」は海没し、太古文明は滅亡した。霊峰の頂のみは沈没を免れ、央玉島と央珠島として残った(央玉の残光)。
太古人の鉱夫の末裔である深層人は、現在の冥界が、かつての極深層であることを認識している。また、「太古の大地」は央海の南側、つまり大豊原の地下に沈み込んだと考えている(南沈説)。
記録
原初の太古人は、木を伐り、石を掘り (mine)、それらを組み合わせ (craft)、素朴な生活を営んでいたとされる。考古学的には、スニッファーを飼育し、トーチフラワーやウツボカズラを栽培していた形跡がある。発掘された「太古の遺跡」は、色彩豊かな回廊建築の存在を示唆する。また、海底遺跡や海底聖院に見られる建築様式からも、太古文明の盛衰が類推されている。奇妙なことに、太古の遺構からはしばしば冥界由来の素材が発見されるが、これらは後世の「辺境伯の蹂躙」の際に紛れ込んだものと考えられている。わずかに残された伝承によれば、「太古の大地」に栄えた太古文明は、その絶頂期に天変地異によって大部分が央海に没したとされる。失われた文明を偲び、古世紀におけるこの時期を、特に彩金時代という。
記録:禁書『{太古文明の冥界素材}』
太古文明後期には、極深層からクォーツが採掘され、聖殿の建材として用いられた。「太古の残骸」も発見されていたが、当時は製錬方法が確立されておらず、原石のまま坑道に積み置かれた。現在の央海の地下には、太古文明の無数の坑道跡が残っており、哭曜石・クォーツ鉱石・「太古の残骸」といった冥界素材が今なお眠っているという。太古文明は「太古の残骸」からネザライトを精製していたとする説もあるが、それを裏付ける物証は見つかっていない。
記録:禁書『{純白の聖殿}』
太古文明最末期に完成した「純白の聖殿」は、彩金様式の粋を極めた荘厳な建築であったと伝えられている。当代の聖座はとりわけ徳が篤く、彼による「開座の儀」は、文明の白眉となるはずであった。しかし儀式が始まったその夜、「太古の大地」は突如として海に没した。ただ聖殿のみが海上に姿を残し、その地が聖なることを自ら示したが、それを見た者はいない。
物語:央玉の残光
「太古の崩壊」に際し、「純白の聖殿」を擁する霊峰の頂のみは海没を免れ、央玉島として姿を留めた。「最後の聖座」をはじめ、「開座の儀」の夜に聖殿に集った多くの者は海に消えた。太古文明の粋を極めた「純白の聖殿」は、大変動を耐え抜き、暁光に照らされ、その白い姿を海上に晒していた。やがて、宝物庫から数人の男女が這い出てきた。絶海の孤島となったこの地で、彼らがいかにして命を繋いだのか、現在では知る術もない。後年、第二帝国となった無人の央玉島を巡回した「皇女の騎士」によって、長期にわたる少人数の生活の痕跡が確認された。騎士は、ここに存在したはずの、「最後の太古人」に想いを馳せたという。
【題材(初期)】《村》。
【題材(中期)】《旅路の遺跡》。
【題材(後期)】《海底遺跡》。
【題材(末期)】アトランティス、ムー。海没した超古代文明。
【言語】創界語。
【キーワード】聖。
第Z項:央玉の残光
「太古の崩壊」を生き残り、央玉島で命を繋いだ太古人たちこと。「純白の聖殿」の「開座の儀」の夜、「太古の大地」は海に没し、「最後の聖座」を含む多くの太古人が落命した。だが、「純白の聖殿」はこの大変動を耐え抜き、聖殿の中にいた数人が生き延びた。彼らは、絶海の孤島となった央玉島で、数世代に渡って集団生活を続けたが、やがて死に絶えた。皇女が央玉島に光臨したとき、この地は無人であった。
物語:最後の太古人の死
「太古の崩壊」で亡くなった太古人の魂の多くは、「最後の聖座」の魂とともに冥界へと潜り、第一帝国の成立に尽力した。一方、央玉島に残った「純白の聖殿」に向かった魂もまた多かった。しかし、聖殿は「魂の安処」として開座しておらず、幾千幾万の魂は聖座に取り憑き、ただ憩を待つよりなかった。聖殿の宝物庫から、昨夜の大変動を生き延びた数人の男女が這い出てきた。彼らは、絶海の孤島となった央玉島で集団生活を始めたが、聖座に手を触れる者はいなかった。聖座は「魂に憩を与える」と信じていたからである。数世代に渡った彼らの暮らしも、やがて終焉を迎える。最後まで生き残ったのは、一人の男であった。彼は最後の太古人であり、彼の認識では最後の創界人でもあった。この聖殿は、聖座は、そして己は何のために存在していたのか。彼は、近寄ることすら固く禁じられていた聖座に腰を下ろそうと思った。それを憚る理由も、憚る相手も、もはやいなかった。彼が聖座に着いた瞬間、憩を望んでいた幾千幾万の魂が殺到し、彼の魂と混然一体となった。魂の奔流に躰が耐えられるはずもなく、彼は絶命する。その刹那、彼の肉体は「魂の熾」に燃やされ、骨まで滅却された。やがて、滅紫の炎の中から一つの巨大な魂が現れ、自らの重みに圧し潰されるように、地に沈んでいった。後の辺境伯である。
リスト:太古人
【最初の聖座】太古の遊人。太古文明最初の統治者。聖座を開き、創界語を制定し、「最初の聖殿」を完成させた。
【最後の聖座】太古文明最後の統治者。「純白の聖殿」の「開座の儀」の夜、「太古の崩壊」によって没し、その魂は第一帝国の皇帝となった。
【最後の太古人】「太古の崩壊」を生き残り、央玉島で命を繋いだ「央玉の残光」の最後の一人。その魂は辺境伯となった。
第二節:聖殿
第一項:飛異魂
飛異魂は、「冥界竜の心」である冥竜心を黒曜石に祀った「冥界竜の夢」であり、魂の記憶を異界に転相する装置である。飛異魂をダイヤモンド竏の台座に据えると、大空に拒まれた「冥界竜の夢」が果たされ、集まった「魂の記憶」を光として放ち、異界へと転相する。
第二項:聖座
聖座は、聖殿の中心に祀られた、魂の玉座のこと。魂に憩を与え、その記憶を異界に転相し、聖殿を「魂の安処」とするための装置。転じて、この玉座に仕える者、すなわち太古文明の統治者を指す称号ともなった。太古文明の滅亡後、聖座に関する正確な知識は失われ、一部の創界人の間では、「聖座に座った者には世界を支配する力が与えられる」という「聖座伝説」が語られるようになった。
聖座の実体は、ダイヤモンド竏の台座に据えられた飛異魂である。聖座に集った魂は、「魂の透灯」であるダイヤモンドによって励起され、その記憶が現れる。飛異魂は、台座に含まれる識子と魂の記憶を融合させ、光線として異界へと転相する。その軌跡は、飛異魂から放射される光柱として岩盤を貫通し、天上まで走る。ダイヤモンド内の識子が減少すると、聖座の機能も低下する。このため、周期的に台座のダイヤモンド竏を交換する「開座の儀」が執り行われる。
【題材】聖杯伝説(聖座伝説)。
第三項:聖殿
聖殿は、太古文明における祭政一致を体現した、「魂の神殿」のこと。「太古の大地」の中央に聳える霊峰の頂に建築され、代々の統治者が祭事を執り行った。長い太古文明の歴史の中で、聖殿は幾度か建て替えられたが、新しく落成するたびに、統治者による「開座の儀」が執り行われた。開座した聖殿は「魂の安処」であり、太古人の魂は、ここで安らかな憩を得る。
【題材】式年遷宮:聖殿の建て替え。
第四項:開座の儀
「開座の儀」新しく落成した聖殿の聖座に魂を据え、聖殿を「魂の安処」として開放するための儀式。太古文明の統治者が執り行う。儀式の最後に、魂の依代である統治者が聖座に着くことで魂が戴座し、聖殿が開かれる。開座した聖殿は、太古人の魂を分け隔てなく受け入れ、安らかな憩を与える場となる。
「開座の儀」の詳細は、歴代の統治者にのみ伝えられ、記録には残っていない。儀式の本質は、機能が衰えた聖座の再生である。手順としては、飛異魂の台座のダイヤモンドを新たなものに交換した後、統治者が聖座に着き、自身の魂の記憶の一部を異界に転相して装置を再起動する。
「純白の聖殿」における「開座の儀」では、ダイヤモンドの補充直後に「太古の崩壊」が発生したため、飛異魂は再起動されなかった。後に、皇女が聖座に安んじたことで「純白の聖殿」は初めて開座し、「魂の安処」として再生た。
【題材】開眼法要。
第三節:聖院
第一項:還座
還座は、
第二項:聖院
聖院は、聖殿から聖座を分祀したものであり、太古人の信仰を集めていた。実際に聖院に祀られたのは、聖座を模した還座であったが、聖座の飛異魂が機能している間は、還座として働くことはなかった。
表:聖院の位置
第一聖院
第二聖院
第二聖院は、極深層にまで達した太古文明の坑道の安全を祈願して建設されたものである。鉱夫街の中心として信仰を集めた。
第三項:海底聖院
海底聖院は、「太古の崩壊」によって海没した聖院が、還座の作用でプリズマリン化したものである。還座に辿り着いた魂は、プリズマリンの躰を得てガーディアンとなる。仙であるガーディアンは、自らの不死性を担保する還座を守護するため、海底聖院に接近する者を見境なく攻撃する。また、ガーディアンの老個体であるエルダーガーディアンは、錬魂術と同様の原理で、敵に採掘速度低下を付与し、海底聖院の破壊を抑止する。
第一海底聖院
第一海底聖院は、第一聖院がノワール東沖の海底に沈んだものである。還座による聖院のプリズマリン化は海上にまで及び、海晶島と呼ばれるプリズマリンの陸地を形成している。{交務院を通じて海晶島に上陸した深層人}は、海晶島を掘削して天頂部から第一海底聖院に進入し、内部を調査した。聖院に関する知見は、ほぼ全て第一海底聖院の調査によって得られたものである。さらに深層人は、魂に躰を与えるという還座の強力な機能と、招魂術を融合させ、{ガーディアントラップ}・{鉄偶トラップ}・{魚トラップ}作成し、プリズマリン・鉄・魚を無限に得ることに成功した。
第二海底聖院
第二海底聖院は、第二聖院が、央玉島南東沖の海底に沈んだものである。極深層にまで達した太古文明の坑道への入口が残っている。「純白の神殿」に最も近い海底聖院として「皇女の騎士」の管理下にあり、採掘されるプリズマリン素材は「{純白の回廊}」などに用いられている。
第四節:意匠
第一項:色象
親色
白色
白色は、生の象徴色である。また、星の象徴色でもあり、天上を表すようになった。
黒色
黒色は、死の象徴色である。転じて、冥界が存在する地下を表すようになった。
赤色
赤色は、火の象徴色である。転じて、太陽を表すようになった。
黄色
黄色は、月の象徴色でる。
緑色
緑色は、木の象徴色である。転じて、植物が繁茂する豊かな大地を表すようになった。
青色
青色は、水の象徴色である。転じて、海洋・河川を表すようになった。
第二項:旗章
太古旗
第三項:建築
第十三章:第一帝国
第一節:概要
「最後の聖座」の魂によって、冥界の中央に開かれた「魂の安処」。優しい創界人の魂が住まう場所。
「太古の崩壊」によって、太古文明は「純白の聖殿」が開座する直前に滅亡し、創界からは「魂の安処」が失われた。この天変地異で亡くなった「最後の聖座」と多くの太古人の魂は、冥界に至り、この地に「黒白の聖殿」を建造した。彼らによる「開座の儀」を経て、「最後の聖座」の魂は皇帝となり、聖殿を中心とする帝国が開座した。以後、帝国は、冥界における「魂の安処」として、ここに辿り着いた魂を受け入れ、帝国人としての生を与えた。
創界人がこの帝国を「第一帝国」というのは、皇女が創界に再建した帝国(第二帝国)と区別するためである。第一帝国を知らない多くの古代人は、「冥界の帝国 (The Empire of The Nether)」という。帝国人にとって「帝国 (The Empire)」は一つであるため、皇女と「皇女の騎士」は「第一帝国」「第二帝国」の語を使わない。
冥界の第一帝国の領域は、創界の「太古の大地」=央海に相当する範囲?
【開始】20250424:《ネザー》進出。
【冥界座標】《0, 0》~《-128, -256》~《0, -384》~《128, -128》を結ぶ長方形の範囲。
【冥界座標】《-32, 0》(創冥門)
【地生圏】《ネザー》。
【題材】天国。神殿。特にギリシア・ローマ様式。
【装備】ネザライト装備(冥界)、あばら模様の鍛冶型(《ネザー要塞》)、クォーツ装飾(冥界、白)
第二節:皇帝と帝国人
第一項:皇帝
消えた皇帝 (The Vanished Emperor) とも。冥界中央に存在する帝国の統治者。創界の太古文明「最後の聖座」の魂。創界人であった頃の姿と記憶を、最も完全に保持する帝国人。「魂の憩」を迎える者。
物語:第一帝国の開座
創界人であった頃、太古文明の聖座であった彼は、突如、無数の同胞とともに海に呑まれた。昏い海中 を沈み、水底に達してもなお、彼らは地下へと潜り、さらに岩盤を越えて旅路を続けた。「魂の炎」が揺らめく大地を進む中、仲間たちは一人、また一人と力尽きていった。彼は歩みを止め、この世界の誰もが憩えるよう、皆と力を合わせ、もう一度あの聖殿を築こうと決意した。ついに完成した聖殿の中心には、魂の玉座である「聖座」が据えられた。彼はそこに座らされ、皇帝となった。
物語:辺境伯の叛乱
皇帝は、無数の魂の旅路を眺め続けていた。冥界の辺縁から帝国に向かって漂い来る魂は、そのほとんどが途中で力尽き、創界人の姿と記憶を失った辺境人と化し、帝国の周辺を彷徨う。帝国人は優しい魂を持ち、辺境人は哀しい魂を持つがゆえである。そう誰もが信じていた。あるとき皇帝は、巨大な魂が帝国の高い外壁に遮られ、辺境へと墜ちていくのを見た。その魂は、帝国人と変わらぬ姿の辺境人に生まれ変わった。やがて彼は、圧倒的な力で周囲の冥竜人や辺境人を従え、ある種の秩序を築き始める。彼に辺境を平定させ、帝国の領域を広げることができれば、安住の地に辿り着ける魂がさらに増えるのではないか。深い思慮の末、皇帝は、後に「皇女の騎士」となる衛兵を通じて、かの辺境人に「辺境伯」の名と、帝国拡大の命を与えた。辺境伯は皇帝の期待に見事に応え、帝国はついに、辺境伯その人を迎え得るほどの規模へと発展した。この労苦に報いるべく、皇帝は最高の礼をもって、辺境伯を帝国に招いた。しかし現れたのは、憤怒の劫火に身を焦がした辺境伯と、その大軍勢であった。皇帝は、辺境伯によって「魂の焔」で燬かれ、跡形もなく消えた。
【題材】絶対神、ゼウス。仁君。
第二項:帝国人
帝国に辿り着いた「優しい創界人の魂」が、「黒白の聖殿」の還座に躰を与えられ、冥界人としての生を得て、帝国に住まうようになったもの。
リスト:帝国人
第三節:「黒白の聖殿」と{黒白の塔}
第一項:黒白の聖殿
「冥界の安処」とも呼ばれる聖殿。「最後の聖座」と太古人の魂によって、冥界の中央に築かれた。中心には還座が据えられ、辿り着いた魂に躰を与えた。「純白の聖殿」の再現を目指して建造が始まったが、過酷な環境の中、充分な量のクォーツが確保できず、随所に大量の玄武岩が用いられている。この聖殿の主要な構造は、「純白の聖殿」と同じく洗練された末期太古様式(彩金様式)に則っている。一方、黒と白を基調としながらも、還座や金などの冥界特有の色彩によって、名称から受ける印象以上に華やかでもあり、中期太古様式を彷彿とさせる。
第二項:{黒白の塔}
創界の聖座を目指して建設された塔。冥界最上層の岩盤に遮られたが、最上階の秘密の部屋には、聖座の地下に続く冥魂扉がある。皇女と皇女の騎士はここから純白の聖殿に避難した。また、黒白の塔の周囲は外壁が高く、このため辺境伯の魂は帝国に辿り着けなかった。皇帝はその様子を塔から眺めていた。
【開始】20250928
【座標】《16, -184》
第四節:その他の施設
第一項:{太古文明の坑道跡}
第二聖院の地下から冥界にまで続く坑道の跡。かつては冥界と創界を繋いでいたが、「太古の崩壊」で形成された岩盤によって寸断され、冥界側には天上の岩盤から垂れ下がるような形で、行動の一部が残されている。
第五節:意匠
第一項:色象
白色
白色は、第一帝国と皇帝の象徴色である。
| 分類 | 名称 | 象徴 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 鉱石 | クォーツ |
黒色
第二項:旗章
皇帝旗
第三項:建築
皇帝様式
皇帝様式は、クォーツを主材としつつ、冥界に豊富な玄武岩や金も用いる様式。第一帝国様式ともいう。
第十四章:第二帝国
第一節:概要
創界に光臨した皇女が央玉島に再建した帝国のこと。創界人がこの帝国を「第二帝国」というのは、冥界で滅亡した帝国(第一帝国)と区別するためである。第一帝国を知らない多くの古代人は、第二帝国のことを、単に「帝国 (The Empire)」または「創界の帝国 (The Empire of The Ground)」という。
【開始】{まだ}
【地生圏】キノコの森。
【場所】央玉島。
【様式】皇女様式(第二帝国様式)。
第二節:皇女と「皇女の騎士」
第一項:皇女
隠れた皇女 (The Hidden Princess) とも。「最後の冥界竜」の魂が、第一帝国の「黒白の聖殿」の還座で、帝国人としての生を得たもの。後に、聖女 (The Saintess) や竜姫 (The Dragoness) として神格化される。
物語:皇女の誕生
遥か昔に冥界に迷い込んだ少数の創界竜は、その強靭な生命力によって過酷な環境に適応し、永らく命を紡いできた。大空を飛翔するための竜翼は、岩盤に覆われた冥界では広げられることもなく、常に折り畳まれていた。冥界竜は、玄武峡に生成された凍氷から水分を摂り、それらが枯渇すると新たな玄武峡を求め、さらなる辺境の奥へと棲息域を移していった。個体数が極めて少ない冥界竜が散開した結果、繁殖機会が激減し、種の途絶は不可避となった。
最後の冥界竜は、大空を飛翔することも、産卵することも、「魂の焔」を吐くこともなく、その長い寿命を終えようとしていた。その躰が役割を終えると、莫大な魂珠が放出され、一帯には魂砂峡が形成されることを、冥界竜は知っていた。死して屍を晒すのみ、己は何のために存在したのか。最後の思念とともに冥界竜が生を終えた刹那、その魂は翼を広げ、途轍もない速度で冥界の中央に向かって羽ばたいていった。その先には、黒と白に彩られた真新しい神殿があった。最後の冥界竜の魂は神殿に突入し、その中心に据えられた玉座の前で、皇女としての生を得た。
【題材】聖女。女神。
【人種】冥界人(帝国人)。
【言語】創界語。
【色】白色。
【花】スズラン:光臨後。
【花】バラ:同盟戦争における血と団結と武力の象徴。
【旗】皇女旗:光臨前、および光臨後の私的空間で使用。
【旗】帝国旗:光臨後に公的空間で使用。
【旗】同盟旗:同盟戦争時。
第二項:皇女の騎士
《プレイヤー》のこと。魂を集める者。「魂の騎士 (The Knight of The Soul)」。「竜の騎士 (The Knight of The Dragon)」。
初めは帝国の一衛兵であった。あるとき彼は、一人の辺境人への伝令を皇帝から命じられた。「辺境伯」を拝命したその辺境人と対峙したとき、衛兵は、彼の圧倒的な威容に心を打たれたという。その後、皇帝の許しを得て辺境伯軍に加わり、帝国領の拡大に貢献した。その功により、辺境伯からネザライトの剣を賜り、皇帝からは皇女の護衛を任じられる。辺境伯の叛乱に際しては、身を挺して皇女を守護し、無事に創界へと避難させた。央玉島の聖殿で騎士に叙された彼は、皇女の帝国再建に尽力し、央珠島を拝領する。
同盟戦争では創界人とあらゆる任務を遂行し、同盟の締結、皇女による辺境伯の封印に貢献。同盟戦争における「皇女の騎士」(円卓の英雄)の活躍は伝承として語り継がれ、守護神信仰に変化するなど、その痕跡は創界の各地で散見される。皇女の下命により、同盟戦争後も辺境伯の封印を監視し、創界の行く末を見守っている。創界と冥界の往来を監視するため、各地の深層都市やネザーポータルの付近に拠点を持つ。
原則として皇女様式、皇帝様式。皇女様式は皇女光臨前のネザー時代および私的空間に限られる。皇女光臨後から同盟戦争終結までは皇帝様式。自らがまとめた皇女と創界の同盟に愛着があり、同盟様式も用いる。
【開始】20250415
【題材】騎士道精神。
【人種】冥界人?
【言語】創界語。
【色】白色:皇女・帝国。
【色】黒色:冥界。
【色】赤色:同盟。
【花】スズラン:白・皇女の象徴。
【花】バラ:赤・同盟の象徴)
【旗】皇女旗:皇女光臨前、私的空間。
【旗】帝国旗:皇女光臨後~同盟戦争終結。
【旗】同盟旗:
【装備】ネザライト装備(黒・ネザー)、あばら模様の鍛冶型(ネザー要塞)、クォーツ装飾(白・ネザー)
第三節:「純白の聖殿」と「スズランの島」
第一項:純白の聖殿
「純白の聖殿」は、「創界の安処」とも呼ばれる聖殿。彩金時代の最後に建築され、後に第二帝国の中枢となった。皇女による開座を経て、創界人の魂を受け入れるようになった。この創界の聖殿は、かつて霊峰にあった歴代の聖殿と同じように、魂を分け隔てなく受け入れ、安らかな憩を与える。
物語:第二帝国の開座
太古文明の最末期、霊峰の頂で「開座の儀」が始まったその夜、突如として「太古の大地」は海に没したが、聖殿一帯のみは海上に姿を残した。この「央玉島の神殿」は、創界人の間で伝承として語り継がれている。遥か後、辺境伯の叛乱によって冥界の帝国が崩壊した際、失神した皇女を抱えた護衛兵は、唯一絶対の避難先として央玉島の神殿を選んだ。護衛兵が、昏睡する皇女を神殿の聖座に安らえたその時、純白の聖殿は開座し、創界の帝国が成った。目覚めた皇女は、護衛兵を騎士に叙し、聖座に仕える最初の者とした。騎士は剣を高く掲げ、皇女に永遠の忠誠を誓った。
物語:辺境伯の蹂躙と魂の旅路
「純白の聖殿」が開座してから、創界人の魂は央玉島を目指すようになった。とりわけ南側の海、すなわちブルスケッタの方角からは、夥しい数の魂が押し寄せた。日が経つにつれ、その数は増えこそすれ、減ることはなかった。
【開始】{まだ}。
【座標】《256, -1152?》
【地生圏】キノコの森。
【場所】央玉島。
【様式】末期太古様式(彩金様式):しかし六親色は失われている。
第二項:スズランの島
「スズランの島」は、央珠島の別名。第二帝国がある央玉島の北にある小島。「皇女の騎士」が皇女から拝領した。
【開始】{まだ}
【座標】《128~256, -1408~-1536》
【地生圏】キノコの森。
第四節:その他の施設
第一項:精霊の血路
「精霊の血路」は、「皇女の騎士」が創界各地を高速に往来するために、冥界の最深部に敷設した回廊。創界の各拠点を結ぶ創冥門が設置されている。照明には、第二海底聖院で採掘されるプリズマリンを加工したシーランタンが用いられている。
表:「純白の回廊」の創冥門
第五節:意匠
第一項:色象
白色
白色は、第二帝国と皇女の象徴色である。
| 分類 | 名称 | 象徴 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 鉱石 | クォーツ | ||
| 花 | スズラン | 皇女 |
黄色
黄色は、冥界竜の象徴色である。
| 分類 | 名称 | 象徴 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 鉱石 | 金 | 冥界竜 |
第二項:旗章
皇女旗
第三項:建築
皇女様式
皇女様式は、六原色が失われた末期太古様式(彩金様式)が原型とされる。第二帝国様式ともいう。
第十五章:辺境伯
第一節:概要
最後の太古人(物語:最後の太古人の死)。「太古の崩壊」で亡くなった幾千幾万の魂を背負う、絶対的な強者。創界人であった頃の姿と記憶を、最も完全に保持した辺境人。冥界竜の力を操る者。「魂の憩」を望み、魂を滅却する者。
物語:辺境伯の誕生
央玉島の「純白の聖殿」で力尽きた「最後の太古人」の魂は、地に潜り、冥界の辺縁に辿り着いた。辺境を彷徨ううち、遥か遠くに、彼の故郷とよく似た、白く輝く神殿が見えた。彼の魂は、創界人であった頃の姿と記憶を徐々に失いながら、神殿に向かっていった。旅路の最中に、彼の姿と記憶は徐々に失われていったが、「聖殿に帰る」という執念だけは残り続けた。しかしその魂は、神殿を囲む高く厚い外壁に阻まれ、彼は新たな辺境人としての生を受けた。
物語:辺境伯の叛乱
その辺境人の力を見込んだ皇帝は、彼に辺境伯の名を与え、帝国周辺の討伐および領域の拡大を命じた。初め、辺境伯は同胞である冥界人との戦いを拒んだが、創界での姿と記憶を取り戻す誘惑には抗えなかった。彼の武功により帝国の領域は拡大し、冥界辺縁から辿り着く優しい魂も時を追って増え、皇帝は辺境伯に篤く信頼を寄せるに至る。辺境伯軍に参加した帝国の衛兵もまた、辺境伯に対して畏怖と憧憬の念を抱いたという。長き戦いの果て、ついに辺境伯は、その大功を労わんとした皇帝から召喚を受ける。入国すら許されていなかった彼は、創界での姿と記憶を眼前にしていた。しかし、出立の間際、自らの要塞を見回っていた辺境伯は、地下に掘られた不自然な隧道と、その奥に蠢く人影を目にする。皇帝の招請は罠だと直感した辺境伯は、ただちに配下を呼び、「凱旋」の準備を急ぐよう指示した。
辺境伯の叛乱(辺境伯)
辺境を討伐し、第一帝国の領域を拡大した辺境伯は、その功を労わんとした皇帝から帝国に召喚された。それは辺境伯の悲願でもあったが、帝国に凱旋する直前、自らの要塞の地下に隧道が掘られており、その奥に不穏な人影が蠢くのを発見する。皇帝からの召喚は、自分を抹殺するための罠であると直感した辺境伯は、帝国への叛乱を決意する。彼は、凱旋を装った軍を従え、帝国に到着すると同時に突撃させるとともに、「魂の焔」で皇帝を燬き尽くした。帝国を壊滅させた辺境伯は、聖座の間の地下に創冥門を発見する。
物語:辺境伯の滲出
帝国地下の創冥門を通じて、辺境伯は第八深層都市へと滲出した。そこには多くの深層人が生活しており、しかもその姿は、叛乱の直前に自身の要塞で目にした不穏な人影と全く同じものであった。辺境伯は、央玉島で孤独な死を迎えた太古人であり、自らを最後の創界人と信じていた。死後、その魂は帝国から拒絶され、辺境平定の功を挙げても、なお皇帝に暗殺を図られたと考えていた。だが今、彼は、自分は最後の創界人ではなく、忘却された魂に過ぎなかったこと、そして、己が魂を救済し得た唯一の存在を、自らの手で葬っていたことを悟った。辺境伯は、驚愕にたじろぐ深層人たちを燬き尽くし、都市を破壊し始めた。まるで自身を刻むかのようであったと、この惨禍を生き延びた深層人は後に記録している。
未整理のアイデア
皇女と創界人の同盟は辺境伯を打ち破ります。戦将の部隊が辺境伯を(肉体的に)討伐します(創界人の認識はここで終了します)。死んだ辺境伯の魂は、救いを求めて彼の故郷である央玉島、すなわち第二帝国に向かいます。第二帝国に達した哀しい辺境伯の魂を皇女は抱きしめ、封印します(辺境伯の封印)。辺境伯の荒々しい魂を封じるため、皇女はいわばかかりきりの状態です。これが皇女が隠れ、帝国が沈黙した理由です。これにより同盟戦争後の第二帝国は、優しい創界人の魂を受け入れる余裕がなくなりました。したがって、結果的に、聖教団の天上派の主張は正しいことがわかります。
辺境伯が背負った、幾千幾万の太古人の魂は、聖殿で安らかな憩を得ることを願っていました。すなわち辺境伯は、「魂の憩を望む者」と言えます。一方で、復魂宗はその辺境伯を復活させようとしています。死してなお、辺境伯は誤解されているといえるでしょう。このねじれもまた、辺境伯というキャラクターに相応しいと思います。
純ネザライト製の武具に身を包み、冥界竜の力を利用する。
冥界竜の生命力の結晶である純ネザライト製の武具に身を包み、幾千幾万の魂を背負って「魂の焔」を自在に操り、第一帝国・深層文明・古代文明を蹂躙して、住人たちを見境なく「魂の歿」に至らせる辺境伯は、自身の心情としては「心中」に近いものだったかもしれませんが、客観的に見ると「宇宙の秩序の破壊者」にしか見えません。だから、彼はよってたかって討伐され、封印されなければならなかったのです。辺境伯は、ゲーム内のバグ、あるいは外から感染してきたウイルスのようなものとも解釈できます。
【題材】日本古代神話。特にスサノオ。ヤマタノオロチ。三国志の呂布。ローマ時代のハンニバル。あるいは悪魔。創界各地に武具や遺骸の一部。
【人種】冥界人(辺境人)。
【言語】冥界語。
【様式】辺境伯様式。
【色】黒色:冥界。御影石。
【色】黄色:金・冥界竜。
【色】紫色:哭曜石(冥魂扉、冥魂函)。
【花】ウィザーローズ。
【旗】辺境伯旗。
第二節:辺境と辺境人
第一項:辺境
辺境は、帝国と辺境伯領以外の冥界の全領域。帝国に辿り着けなかった「哀しい創界人の魂」が、辺境人として生まれ変わり、彷徨う。
【題材】地獄。
第二項:冥竜人
冥竜人は、冥界竜の魂が肉を纏って鬼となったもの。枯屍竜は召喚しない限り出現しない。
表:冥竜人
第三項:辺境人
辺境人は、創界の動物の魂が肉を纏って鬼となったもの。その後、冥界菌に感染して猥と化したものも含まれる。創界人が単に「辺境人」というときは、帝国に辿り着けなかった「哀しい創界人の魂」の末路であるスケルトンやピグリン種を指すことが多い。
表:辺境人
第三節:辺境伯軍
第一項:辺境伯軍
辺境伯軍は、辺境伯に下った冥竜人・辺境人から構成される。帝国人は含まれないが、唯一「皇女の騎士」が従軍したことがある。
第四節:辺境伯領
辺境伯領は、辺境伯が征服したが、帝国には編入されていない領域。内部は帝国に接し、外部は辺境に面する環状帯。辺境と対峙するため、外周部には砦や防壁が築かれている。中間帯は辺境伯軍の駐屯域であり、物資の集積所や訓練施設など、辺境伯の軍政が布かれていた。内縁部の最も安全な領域では、帝国施設の建設が始まっており、順次帝国に編入されていく。
【題材】軍事基地。軍政。
第一項:辺境伯の要塞
表:「辺境伯の要塞」に出現する実存
表:「辺境伯の要塞」の位置
| 要塞 | 冥界座標 | 地生圏 | 開始 |
|---|---|---|---|
| 第一要塞 | 219, 171 | クリムゾンの森 | 20250608 |
| 第二要塞 | 299, -357 | 冥荒地 |
第二項:辺境伯の砦
表:「辺境伯の砦」に出現する実存
表:「辺境伯の砦」の位置
| 砦 | 冥界座標 | 構造 | 地生圏 | 開始 |
|---|---|---|---|---|
| 第一砦 | -336, 320 | 橋 | 魂砂峡 | |
| 第二砦 | -240, -432 | 宝物部屋 | 魂砂峡 | |
| 第三砦 | -640, 96 | ホグリン小屋 | クリムゾンの森 | |
| 第四砦 | 288, -608 | ピグリン住居 | 冥荒地 | 20250610 |
| 第五砦 | 736, 160 | 宝物部屋 | ティールの森 | |
| 第六砦 | -560, -384 | 宝物部屋 | 冥荒地 |
第三項:冥魂函
冥魂函は、冥界の《ブレイズスポナー》と《マグマキューブスポナー》のこと。第一帝国に拒絶された辺境人が、哭曜石を用いて還座の再現を試みたもの。その原理は、深層文明の招魂函と酷似している。魂の姿と記憶を再構成する哭曜石の力に期待した辺境伯が、ピグリンに命じて作成させ、「辺境伯の要塞」と「辺境人の砦」に設置された。しかしこれらは、「魂の残滓」である魂砂から、ブレイズないしマグマキューブを召喚するのみであった。彼らは辺境伯軍に編入され、辺境討伐に投入されたという。還座の再現失敗に対する辺境伯の反応は、何も伝えられていない。
第四項:冥魂扉
冥魂扉は、「辺境伯の蹂躙」において、辺境伯が、冥界の辺境伯軍を創界に召喚するために開いた《ネザーポータル》のこと。黒曜石製の創冥門と異なり、一部に哭曜石が用いられている。そのため、空間に作用する力が創冥門より強く、冥魂扉の周囲が冥界化するという特徴がある。
表:「崩れた冥魂扉」の位置(創界)
| 冥魂扉 | 創界座標 | 地方 | 開始 |
|---|---|---|---|
| 232, -1000 | 央玉島 | 20250603 | |
| -280, -264 | 大雪原沿岸 | 20250422 | |
| 360, -312 | ノワール | 20250421 |
表:「崩れた冥魂扉」の位置(冥界)
| 冥魂扉 | 冥界座標 | 地生圏 | 開始 |
|---|---|---|---|
| 第一冥魂扉 | 216, 136 | クリムゾンの森 | |
| 第二冥魂扉 | 200, -232 | ティールの森 | |
| 第三冥魂扉 | -200, -264 | クリムゾンの森 | |
| 第四冥魂扉 | 40, 456 | 冥荒地 | |
| 第五冥魂扉 | -392, 168 | 魂砂峡 | |
| 第六冥魂扉 | 472, 200 | 冥荒地 |
第五節:意匠
第一項:色象
黒色
黄色
紫色
第二項:旗章
辺境伯旗
第三項:建築
辺境伯様式は、
第十六章:深層文明
第一節:概要
創界の深層で繁栄した文明。本来は座標を基準とした空間的な文明だが、時間的な関心も深く、現世紀に残る最古の史料は深層文明のものである。
記録:禁書『{岩盤を越えて}』
「太古の崩壊」によって「太古の大地」は海没したが、南限に位置するブルスケッタ地方はかろうじて崩壊を免れ、人々の再起の地となった。深層文明の歴史は、ある鉱夫の一団が、大地の底に沈んだ同胞の探索を志したときに始まる。わずかに残っていた「太古の坑道」(後の縦脈路)を粗末な道具で掘り進め、最深層に到達した彼らが目にしたのは、厚く形成された岩盤であった。後に深層人と呼ばれる彼らは、岩盤を突破し、同胞の痕跡を探し出して地上に持ち帰ることを固く誓い、最深層に拠点(後の「太古の深層都市」)を置いて地質の調査に邁進した。その結果、「太古の大地」のプレートは南ないし西に沈み込んだと推定された(南沈説と西沈説)。深層人は、南沈説を採用し、総力を挙げ、南に向かって深層空間を拡大していった。やがて、深層の各拠点が発展して深層都市となり、驚異的な掘削術とそれを支える蒸気動力に加え、地上とは全く異なる操魂術も開発された。岩盤の破壊は、彩金時代までに極深層から発見されていた「太古の残骸」に託されていた。この信じ難く硬い原石は、製錬法すら確立されておらず、「太古の坑道」の奥に積み置かれていた。すでに複数の都市からなる連合国家を形成していた深層人は、その総力を結集し、穢躯を燃料とする「魂の熾」の生成に成功する。超高温を発するこの滅紫の熾火は、「太古の残骸」からネザライトの製錬を可能にし、深層人はついに最硬の掘削機を手中に収めた。だが、無情にもネザライトは岩盤に弾き返される。呆然とする一団の片隅で、一人の咒者が呟いた。「岩盤を越えるだけなら、壊さなくてもよくて?」
記録:禁書『{燃える黒曜石}』
黒曜石は創界で最も堅固な岩石の一つだが、坑士のダイヤモンド道具で採掘ができる程度であり、岩盤の破壊には使えなかった。黒曜石は溶岩を水で急冷することで生成され、炉匠による生産と坑士による掘削によって、深層文明では素材として比較的よく用いられた。第六深層都市では、黒曜石を材料とする写魂卓を介して、躰が持つ記憶を魂珠として抽出する技術が発達し、やがて魂そのものを物質に刻印する写魂術が確立された。第七深層都市では、黒曜石を加工した招魂函によって、穢響の寂しい魂から穢躯を産む方法が考案され、最終的に、魂が保持する姿と記憶を再現する招魂術として結実した。この術を修めた咒者たちは、深層都市に蔓延る穢響を次々に穢躯へと変換し、最深層から寂しい魂の残滓を一掃した。このとき湧き出た穢躯は、炉匠の溶岩炉で浄化されたが、その際、超高温を発する「魂の熾」が生成された。ほどなく、この滅紫の熾火は黒曜石を燃やし、魂の触媒作用をさらに高めることが判明する。「燃える黒曜石」は、新しく完成した第八深層都市に運び込まれ、創冥門の研究が始まった。
深層人は創冥門を完成させ、創界から冥界への進出を果たす。しかし、深層人の冥界進出は辺境伯の逆鱗に触れ、彼の創界への滲出を招くことになる。古世紀末、深層文明は完全に滅亡し、深層には崩壊した都市群だけが取り残された。
【題材】《古代都市》、蒸気技術。
【言語】冥界語:ただし、太古文明から別れた深層文明初期は創界語だった可能性が高い。
【様式】深層様式。
【色】朧色:石・鉄。
【色】空色:「魂の炎」。
【旗】深層旗。
第一項:深層人
深層人は、「太古の崩壊」により失われた文明と同胞の痕跡を探索し、回収することを自らの使命としていた。彼らは、太古人の魂の行方に無関心な古代人を、どこか「薄情」と感じていた。深層人と古代人の間には、交易を介した定期的な連絡があり、対立はなかったが、信頼関係もなかった。深層人は、古代人の縦脈路への立入を禁じ、深層都市に招くこともなかった。
リスト:深層人の職業
【坑士】掘削技術者。鉱石の採掘、深層都市の建設。
【炉匠】火力技術者。熱蒸気機関を開発、鉱石の製錬。
【巫女】鎮魂術者。穢深層の浄化、深層の安全確保。
【貨商】資本技術者。鉱商の運営、鉱貨の発行、古代文明との交易。
【薬師】医術者、錬魂術者。錬魂薬の作成。
【司書】記録者、写魂術者。歴史の記録と保管、写魂書・写魂盤の作成。
【咒者】招魂術者。穢躯の召喚、「魂の熾」の提供。
【門吏】越魂術者。創冥門の開発と運用。
第二節:深層都市と表層都市
最深層に建築された大規模な都市。中心に大型の創冥門が設置され、都市内の建物は長大な回廊で結ばれている。
記録
深層人が創界の最深層に構築した巨大な都市。中心には巨大なポータル状の構造物があり、都市内の各施設は、中期太古様式から発展した長大な回廊で連結されていたという。最終的に八ないし九の深層都市が建築され、各都市で独自の技術が発達し、連合国家が形成されたと伝えられる。しかし、古世紀末、「辺境伯の滲出」によって深層文明は滅亡し、正確な都市数は現在も確定されていない。一説には、央海の底に沈んだ太古文明の栄華を地底で再現することが目的だったともいう。
【題材】《古代都市》。
【地生圏】深層。《古代都市》穢深層。
【様式】深層様式。
地図:深層都市と深層廊
表層都市 ブルスケッタ []深層都市 │ │ ()深層廊 縦層路 縦脈路 │ │ └───────-(西深層廊)──────[太古] │ [第六] │ │ ┌────(南深層廊) (四六) │ │ │ │ │ [第五]-(四五)-[第四]-(一四)-[第一]-(一二)-[第二]-(二三)-[第三]-(三七)-[第七] │ (一八) │ [第八]
表:深層都市の機能と構造
| 都市 | 職業 | 技術 | 色 | |
|---|---|---|---|---|
| 太古の深層都市 | - | - | 白色 | |
| 第一深層都市 | 坑士 | 掘削 | 朧色 | |
| 第二深層都市 | 炉匠 | 火力 | 空色 | |
| 第三深層都市 | 巫女 | 鎮魂術 | 紫色 | |
| 第四深層都市 | 貨商 | 資本 | 萌色 | |
| 第五深層都市 | 薬師 | 医術・錬魂術 | 赤色 | |
| 第六深層都市 | 司書 | 記録・写魂術 | 青色 | |
| 第七深層都市 | 咒者 | 招魂術 | 碧色 | |
| 第八深層都市 | 門吏 | 越魂術 | 黒色 | |
| 表層都市 | - | - |
* 朧色をベースに各都市の色を使う。
第一項:太古の深層都市
「太古の崩壊」後も残っていた「太古の坑道」の最下層に建設された深層都市。もとは最深層の探索拠点であり、この地点の岩盤を調査した結果、「太古の大地」は南側に沈み込んだと判断され(南沈説)、深層人は南深層廊)を通しながら南進していった。
当時は穢深層の穢澱を抑制する技術がなく、本拠点は長らく放置されていた。しかし後に、第三深層都市で成立した鎮魂術によって本拠点の安全が確保され、「太古の深層都市」として拡張された。都市としての成立時期は、第二鎮魂術の確立後、すなわち第四深層都市の貨商による交易の開始前後と考えられているが、正確な時期は確定されておらず、都市番号も振られていない。また同時期に、本都市から地上へ出る「太古の坑道」も縦脈路として整備された。その結果、「太古の深層都市」は古代文明との交易拠点となり、鉱石や食料の集積および保存に利用された。古代人が立ち入る可能性があったため、この都市には創冥門は設置されなかった。そのため、「辺境伯の滲出」では致命的な破壊を免れ、深層人たちは縦脈路を通って地上に避難することができた。
深層人の冥界進出後、西沈説が見直され、一部の深層人によって「太古の深層都市」からは西深層廊も伸ばされた。その先の地上に建設された表層都市は、「辺境伯の進出」を逃れた深層人たちによって、ギルド連合本部として再利用された。同盟戦争時、西深層廊はギルド連合と古代文明を結ぶ回廊として拡大され、「太古の深層都市」は古代文明側の拠点として再整備された。
北向き。現世紀では、直上に「スズランの家」がある。
【開始】20250416
【座標】《-248, 168》
【標高】《Y = -51》
【範囲】《-384, 32》~《-128, 288》、中心《-256, 160》、二五六メジャー四方。
【地生圏】深層、穢深層。
【題材】《古代都市》。
【神】
【色】白色:太古文明(純白の聖殿)の記憶。
【旗】深層旗。
{太古の創冥門}
太古の深層都市の中心に設置された巨大な創冥門。
【座標】《-256, 160》
第二項:深層都市
第三項:表層都市
東西100メジャー、南北200メジャー、標高135メジャーの「太古の台地」上に、西沈説を信じる深層人が築いた都市。彼らは、「太古の大地」のプレートが褶曲してこの台地が形成されたと考えている。台地の南端には、地下の西深層廊から伸びる縦層路の出入口があり、台地上には、各深層都市の技術者の居住区が築かれた。表層都市は後にギルド連合本部となり、居住区は各ギルドの会館として再利用された。
記録:西沈説と表層都市
南沈説を採用した深層人は、都市を建設しながら深層空間を南へと拡大し、ついには創冥門によって岩盤を越えることにまで成功した。しかし、冥界に至ってもなお、太古文明と同胞の痕跡を発見することは叶わなかった。一方、各深層都市の有識者や好事家らの間では、西沈説が改めて検討されていた。彼らは、深層文明の原点である「太古の都市」に集まり、最新の技術を用いて岩盤層を再調査した。その結果、西沈説は信ずるに足ると判断され、まるで盗掘のように西深層廊を堀り進め、密かに西に向かっていった。長い掘削の果てに、彼らは、穢深層が絶壁に沿って垂直に広がっている地点に辿り着いた。ほどなく、この穢深層は、褶曲による地層の背斜であることがわかった。すなわち、「太古の大地」は西側に沈み込んだのではなく、押し上げられたことが示唆された。太古文明の痕跡は、地表近くの浅い層に存在するのではないか。そう考えた彼らは、深層文明の歴史で初めて、上方への掘削を開始した。魂砂を用いた大型の縦水路である縦層路が、この新工法を支えた。やがて彼らは、地表に到達する。そこは大雪原が隆起してできた複雑な丘陵であった。彼らは、同胞探索の拠点として、この地に表層都市を築いた。
【座標】《-1536, 0》(縦層路)
【標高】《Y = 135》
【地生圏】雪原。
【面積】東西百メジャー、南北二百メジャー。
【題材】《古代都市》。
【様式】深層様式。
第三節:坑士の第一深層都市
一番目に建設された深層都市。{建設時期}。坑士ギルドの母体。深層文明の中央に位置するこの都市は、深層人にとって首都でもあった。「辺境伯の滲出」の際、地上に侵攻しようとした辺境伯によって、深層から地表にまで続く「大穴」が穿たれた。現在の第一都市は、陽光と大量の雪解け水が降り注ぐ空間となっている。
黒曜石の採掘。
【開始】{まだ}
【座標】《-664, 1256》
【標高】《Y = -51》
【地生圏】深層、穢深層。
【題材】《古代都市》。
【神】
【色】朧色:深層岩。
【旗】第一深層都市旗。
第一項:坑士
第一創冥門
第一深層都市の中心に設置された巨大な創冥門。
【座標】《》
第四節:炉匠の第二深層都市
二番目に建設された深層都市。{建設時期}。炉匠ギルドの母体。
【開始】20250706
【座標】《-248, 1160》
【標高】《Y = -51》
【地生圏】深層、穢深層。
【題材】《古代都市》。
【神】
【色】空色:「魂の炎」。
【旗】第二深層都市旗。
第一項:炉匠
火力技術者。深層では石炭や木炭が使えなかったため、溶岩を用いた熱蒸気技術を確立し、深層空間の動力を支えた。また、溶岩を原料として黒曜石や玄武岩を生成し、操魂術や建築に供した。黒金時代には「魂の熾」を用いた炉の開発によって、ネザライトの製錬に成功する。
第二創冥門
第二深層都市の中心に設置された巨大な創冥門。
【座標】《》
第五節:巫女の第三深層都市
三番目に建設された深層都市。{建設時期}。巫女ギルドの母体。
【開始】{まだ}
【座標】《88, 1272》
【標高】《Y = -51》
【地生圏】深層、穢深層、《古代都市》。
【神】
【色】紫色:アメジスト。
【旗】第三深層都市旗。
第一項:巫女
第三創冥門
第三深層都市の中心に設置された巨大な創冥門。
【座標】《》
第六節:貨商の第四深層都市
四番目に建設された深層都市。{建設時期}。貨商ギルドの母体。
【開始】{まだ}
【座標】《-1096, 856》
【標高】《Y = -51》
【地生圏】深層、穢深層。
【題材】《古代都市》。
【神】
【色】萌色:エメラルド。
【旗】第四深層都市旗。
第一項:貨商
資本技術者。鉱貨の生産と発行を担い、鉱石や鉱貨の取引所である「鉱商」を運営した。
深層文明と古代文明の交易は、鉱石と食物の物々交換から始まった。貨商が運営する「鉱商」は、元々は両者の取引所の名称であった。やがて深層人は、交易の円滑化のため、鉱石の代わりに「鉱貨」を用いるようになった。古代人にとって鉱貨は、計量しやすく加工された鉱石でしかなく、そのためしばしば鋳直され、資源として再利用された。一方、深層人は、鉱貨の使用を通じて、経済や資本の概念を確立し始め、異なる種類の鉱貨を使い分けることで、古代人との交易を有利に進める術を見出した。資源の「鉱」ではなく、資本の「貨」を扱う技術に目覚めた彼らは、自らを「貨商」と名乗るようになった。
貨商が発行する鉱貨は、深層の都市内および都市間でも貨幣として流通し、第四都市の各鉱商は、物資や技術の交流拠点でもあった。
表:鉱商と鉱貨
| 鉱商 | 鉱貨 | 色 | |
|---|---|---|---|
| エメラルド鉱商 The Emerald Orebank | エメラルド鉱貨 The Emerald Orecoin | 萌色 | |
| 石炭鉱商 The Coal Orebank | - | 灰色 | |
| 銅鉱商 The Copper Orebank | 銅鉱貨 The Copper Orecoin | 橙色 | |
| 鉄鉱商 The Iron Orebank | 鉄鉱貨 The Iron Orecoin | 朧色 | |
| 金鉱商 The Gold Orebank | 金鉱貨 The Gold Orecoin | 黄色 | |
| ラピスラズリ鉱商 The Lapis Lazuli Orebank | ラピスラズリ鉱貨 The Lapis Lazuli Orecoin | 青色 | |
| レッドストーン鉱商 The Redstone Orebank | レッドストーン鉱貨 The Redstone Orecoin | 赤色 | |
| ダイヤモンド鉱商 The Diamond Orebank | ダイヤモンド鉱貨 The Diamond Orecoin | 空色 | |
| アメジスト鉱商 The Amethyst Orebank | アメジスト鉱貨 The Amethyst Orecoin | 紫色 | |
| クォーツ鉱商 The Quartz Oreank | クォーツ鉱貨 The Quartz Orecoin | 白色 | |
| ネザライト鉱商 The Netherite Orebank | ネザライト鉱貨 The Netherite Orecoin | 黒色 |
第四創冥門
第四深層都市の中心に設置された巨大な創冥門。
【座標】《》
第七節:薬師の第五深層都市
五番目に建設された深層都市。{建設時期}。薬師ギルドの母体。魂砂によるウォートの栽培所、錬魂台による醸造所、錬魂薬の販売所が立ち並んだ。また、病院・療養施設も存在していたようである。
【開始】{まだ}
【座標】《-1400, 856》
【標高】《Y = -51》
【地生圏】深層、穢深層。
【題材】《古代都市》。
【神】
【色】赤色:血、ウォート。
【旗】第五深層都市旗。
第一項:薬師
第五創冥門
第五深層都市の中心に設置された巨大な創冥門。
【座標】《》
第八節:司書の第六深層都市
六番目に建設された深層都市。{建設時期}。司書ギルドの母体。紙の原料となるサトウキビの栽培所があった。
【開始】{まだ}
【座標】《-1032, 536》
【標高】《Y = -51》
【地生圏】深層、穢深層。
【題材】《古代都市》。
【神】
【色】青色:ラピスラズリ(写魂術)。写魂術者としての裏の色。
【色】緑色:サトウキビ(紙の原料)。司書・記録者としての表の色。
【旗】第六深層都市旗。
第一項:司書
第六創冥門
第六深層都市の中心に設置された巨大な創冥門。
【座標】《》
第九節:咒者の第七深層都市
七番目に建設された深層都市。{建設時期}。咒者ギルドの母体。
【開始】{まだ}
【座標】《536, 1160》
【標高】《Y = -51》
【地生圏】深層、穢深層。
【題材】《古代都市》。
【神】
【色】碧色:穢響。
【旗】第七深層都市旗。
第一項:咒者
第七創冥門
第七深層都市の中心に設置された巨大な創冥門。
【座標】《》
第十節:門吏の第八深層都市
八番目に建設された深層都市。{建設時期}。門吏ギルドの母体。
【開始】{まだ}
【座標】《-1064, 1560》
【標高】《Y = -51》
【地生圏】深層、穢深層。
【題材】《古代都市》。
【神】
【色】黒色:黒曜石。
【旗】第八深層都市旗。
第一項:門吏
第八創冥門
第八深層都市の中心に設置された巨大な創冥門。
【座標】《》
第十一節:回廊・縦路
第一項:縦路
太古の坑道
「太古の崩壊」後も小ブルスケッタに残っていた太古文明の坑道。かつては極深層である冥界にまで達していた坑道で、各所に哭曜石・クォーツ鉱石・「太古の残骸」などの冥界素材が放置されている。後に、「太古の深層都市」と古代文明を結ぶ縦脈路に改修され、交易路として活用された。
【開始】20251001
【座標】《-384, -51, 160》~《》
縦脈路
「太古の深層都市」と小ブルスケッタを結ぶ交易路。「太古の崩壊」後、深層人が地下へと潜行した際に用いた「太古の坑道」が、拡張・整備されたもの。深層文明の鉱石と古代文明の食料を運ぶ交易路として用いられたが、取引は常に縦脈路の地上出口、すなわちブルスケッタ側で行われ、古代人がこの通路に立ち入ることは禁じられた。また、「辺境伯の滲出」の際には、深層人が地上へと脱出するための退避路としても機能した。
【開始】20251001
【座標】《-384, -51, 160》~《》
縦水路
《水流エレベーター》のこと。垂直の水路の底に魂砂を敷くと、「魂の残滓」が苦しんで気泡を発する。この気泡は、水路中の人や物資を上方に押し上げる力があり、汎用的な浮揚装置として深層文明で広く用いられた。
縦層路
第二項:深層廊
深層都市間を繋ぐ連絡路のこと。深層都市では回廊が発達したが、深層人は、都市と都市を結ぶ隧道も「廊」と呼んだ。
南深層廊
南沈説に依拠して整備された、「太古の深層都市」と、その南にある「坑士の第一深層都市」を結ぶ深層廊。後に、「太古の深層都市」と「炉匠の第二深層都市」を直結する支道も整備された。深層文明初期の食料として、サトウキビとキノコがこの深層廊の脇で栽培された。サトウキビからは紙が生産され、後に司書と呼ばれることになる者たちによって、深層文明の記録され始めた。
【開始】20250705
【座標】《-256, 288》~《》(中継点)~《》(第一深層都市)
【座標】《-256, 288》~《》(中継点)~《-256, 1024》(第二深層都市)
【標高】《Y = -51》
西深層廊
「太古の深層都市」と、その西にある「表層都市」の地下を結ぶ深層廊。西沈説を信じた深層人たちによって開通された。表層都市がギルド連合本部となってからは、ギルド連合と古代文明を直結する回廊として拡大・整備された。
【開始】20250630
【座標】《-256, 0》~《-1536, 0》
【標高】《Y =-54》
一二深層廊
一四深層廊
一八深層廊
二三深層廊
三七深層廊
四五深層廊
四六深層廊
第三項:その他の設備
深層濾
深層濾は、深層文明で発達した、巨大な空気清浄設備。深層の密閉空間では、坑士の掘削による粉塵や、炉匠の熱蒸気機関からの廃熱や排気による空気汚染が、常に深刻な問題であった。汚れた熱気を浄化するため、深層都市や深層廊の各所には巨大な吸気口が設けられていた。取り込まれた空気は、銅管によって冷却された後、織地製の濾過層で粉塵が除去され、送気口を通じて深層へと戻された。織地は、クモの糸で編まれたものが使われた。
冥界廊
冥界廊は、創冥門によって冥界に進出した深層人が、「太古の残骸」が最もよく採掘される冥界深度《Y = 16》の地層に掘った隧道。各方面に伸びた冥界廊はやがて、「辺境伯の要塞」の地下に突き当たり、「辺境伯の叛乱」の引き金となる。
【標高】《Y = 16》
第十二節:操魂術
深層都市で体系化された、魂を操る技術の総称。一般的には、操魂四術(鎮魂術・錬魂術・写魂術・招魂術)が知られる。越魂術、視魂術、復魂術、滅魂術の四術は、限られた者しか使えない、現在は失われている、いまだ完成していないなどの理由で、不明な点も多い。
第一項:鎮魂術
第一鎮魂術
深層人による穢深層の研究は、多大な犠牲を伴いながらも進展し、やがて穢深層群体説へと帰結した。また、一部の坑士の間では、穢調とアメジストが共鳴することが知られていた。これらの知識をもとに、第三深層都市で開発されたのが、振動や「魂の気配」を吸収する穢鎮である。深層都市の各所に設置された穢鎮は、掘削や熱蒸気機関から生じる膨大な音や振動を吸収し、穢調による感知を阻む。これにより、穢深層の静寂が保たれるようになった。穢鎮の調律を担い、鎮魂術を修めた深層人は「巫女」と呼ばれた。
第二鎮魂術
穢鎮によって穢深層は鎮静されたが、その本質的な危険性は排除されていなかった。深層都市群が拡大するにつれ、深層人は穢深層を一掃し、深層の完全な安全を確立する必要に迫られた。以前から、穢調とアメジストを組み合わせて穢鎮を作成していた巫女たちは、穢響と「アメジストの晶洞」が隣接する一帯では、穢響が魂砂へと変化し、「アメジストの芽」が異常な早さで成長することに気付いていた。この頃、熟練の坑士は、繊細な鉱石を破壊することなく、そのままの形で採掘するシルクタッチの技術を体得していた。これにより、安全地帯にある「アメジストの晶洞」から「アメジストの芽」を採掘し、穢響に「植える」ことが可能になった。穢響に移植された「アメジストの芽」は、「寂しい魂」を集積して瞬く間に「アメジストの塊」に成長し、一方、魂が希薄化した穢響の残滓は、魂砂や魂土へと変質した。以降、穢深層は順次駆逐され、深層文明は大量のアメジストと魂砂・魂土を得るに至った。アメジストは、第四深層都市の貨商による古代文明との交易に使われ、魂砂は、縦水路の構築や、第五深層都市の薬師によるウォートの栽培に用いられた。魂土と溶岩と凍氷から生成された玄武岩は、深層都市の建材に使われた。また、魂砂や魂土が発する高温の「魂の炎」は、炉匠の火力技術を向上させ、深層都市の照明にも広く利用された。
第二項:錬魂術
当初は、一般的な薬や毒の調合技術であった。しかし、創冥門の確立後、様々な冥界素材が利用できるようになり、その技術は飛躍的な発展を遂げる。「魂の練炭」であるブレイズロッドを用いた錬魂台が開発され、「魂の灰燼」であるブレイズパウダーを燃料としたウォートの蒸留が可能となった。これにより、肉の情報を一時的に上書きする錬魂薬が製造されるようになった。第五深層都市で確立され、錬魂術を修めた者は「薬師」と呼ばれた。
錬魂台
錬魂薬
第三項:写魂術
記録:写魂術の基礎
司書はあらかじめ、「魂の顔料」であるラピスラズリと、写魂先となる本を用意しておく。次に、魂珠を抽出する対象者と、写魂卓を挟んで席に座る。卓上の「魂の透灯」で対象者を照らすと、その記憶が可視化され、やがて魂珠として黒曜石の天板に零れ出てくる。司書は即座に、魂珠とラピスラズリを混合して顔料を作成する。書物を開き、白紙の頁にただ顔料を塗るだけで、青い文字が浮き出る。この作業を顔料がなくなるまで繰り返すと、写魂書が完成する。司書の技術が未熟な場合、対象者は魂を失って屍となるが、熟練の司書にかかると、物忘れが増える程度で済むことも多い。
写魂卓
写魂書
写魂術によって「魂の記憶」が刻印された書物。
写魂盤
写魂術によって「魂の声」が刻印された円盤。美しい音楽が録音された円盤が残されている一方、尋問記録としか考えられぬ円盤も存在する。
響魂函
「魂の透灯」であるダイヤモンドと木材から作成される。響魂函に挿入された写魂盤が「魂の透灯」に照らされると、刻印されている魂の記憶が現れ、振動する。その結果、響魂函の筐体が共鳴し、写魂盤に刻まれた「魂の声」が再生される。
第四項:招魂術
招魂函
《スポナー》のこと。深層人が、魂の姿と記憶を再構成する哭曜石を用いて、太古文明の聖座を再現しようとしたもの。当初は、最深層に堆積した「寂しい魂」に憩を与え、穢深層を浄化する目的で研究が始まった。しかし完成したのは、聖座のように魂を引き寄せながらも、それらに憩を与えることなく、哭曜石の作用によって肉を纏わせ、穢躯を産み出す装置であった。穢躯の無限召喚を止めるには招魂函を解体するしかなく、多くは石棺で封じられて放置された。あまりにも危険な技術であったため、招魂函の作成記録は全て破棄され、現在に伝わっていない。
未設定のアイデア
クモやシルバーフィッシュのような獣のスポナーが存在するのは、招魂術の発展によるもの?
穢躯
第五項:越魂術
創冥門
時空間を触媒する黒曜石の性質と、操魂術の融合によって実現された、冥界との往来を可能にする転界装置。技術が確立された後、各深層都市の中心に巨大な創冥門が設置されたが、そこから滲出してきた辺境伯とその軍勢によって深層文明は滅亡する。深層文明の金字塔にして墓標。
記録:禁書『{創冥門の起動}』
創冥門は当初、写魂術と招魂術を融合させ、魂と肉の相互変換を実現する装置として設計された。構造的には、黒曜石からなる大型の写魂卓と招魂函を、門の形状に仕立てたものである。「魂の熾」で着火すると、黒曜石の触媒作用が高まり、創冥門が起動する。開口部では、招魂函が種火となった魂を躯とし、即座に、写魂卓が躯から魂を抽出する。この循環によって、創冥門の口は滅紫の炎が渦を巻く。この状態の門を躰が通過すると、その姿と記憶を保持した魂が遊離する。逆に、魂が門を潜ると、保持した姿と記憶に躰が与えられる。そのように機能するはずであった。論理的な必然ではあるが、起動された創冥門は、自身を通り抜ける肉や魂だけではなく、開口部の空間それ自体をも触媒し、変換し始めた。ほどなく、門の向こうに、深層とは異なる光景が広がり始める。それは、太古の鉱夫から語り継がれた、極深層の風景そのものであった。
第六項:視魂術
物語:咒者の心
咒者の目的は、巫女と同じく「寂しい魂」の鎮魂であった。咒者は、聖座を再現することで「魂の憩」を実現しようとしたが、しかしそれは完全な失敗に終わった(招魂函)。不可視の魂を扱うことに限界を覚えた咒者は、視魂術の研究に注力し、「魂の眼鏡」である視魂鏡を完成させた。初めて魂を「視た」咒者は、深層人による「操魂」の現実を目の当たりにした。穢深層の魂は、アメジストに集積し、結晶の中でいつまでも鳴いていた。穢響の残滓である魂砂は燃やされ、その最期の力が「魂の炎」として深層都市を照らしていた。錬魂術は魂を瓶に抽出し、写魂術は魂を本に刻印していた。その間も、魂は絶え間なく地上から深層へと舞い降り、一部は岩盤を通過し、一部は最深層に堆積していた。我々は、魂を鎮めているのではなく、弄んでいるのではないか。咒者は、思わず視魂鏡を外した。
後年、創冥門から深層に滲出してきた辺境伯を、咒者は視魂鏡を通して視た。幾千幾万の魂を背負う辺境伯は、真っ白な「魂の焔」によって、深層人たちを次々に「魂の歿」へと導いていった。それは、魂を弄んできた深層人に対する罰であり、同時に、その罪の浄化でもあるように思われた。咒者は、自分が目の当たりにしている光景こそ、「魂の憩」に違いないと信じた。
視魂鏡
銅とアメジストから作られる《望遠鏡》を参考に、黒曜石とダイヤモンドからなる写魂卓を小型化した「魂の眼鏡」。視魂鏡を覗くと、創界人の目には映らなかった魂が、幻影のように浮かび上がって視える。
第七項:復魂術
巫女が追究した、魂を復活させる技術。復魂宗の中心教義となった。
第八項:滅魂術
第十三節:技術史
- 【深層人】キノコ、サトウキビで食料を確保。
- 【司書】サトウキビから紙を作成。
- 【坑士】採掘を開始。
- 【炉匠】深層では石炭・木炭が得られず、鉱石の製錬に溶岩を利用。
- 【坑士】ラピスラズリを採掘。
- 【司書】ラピスラズリから顔料を作成、紙に記録を開始。
- 【坑士】アメジストを採掘。
- 【巫女】アメジストと穢響から穢鎮を作成(第一鎮魂術)。
- 【坑士】《シルクタッチ》を体得、《アメジストの芽》を採掘。
- 【巫女】《アメジストの芽》を穢響に移植(第二鎮魂術)。アメジスト・魂砂・魂土の入手。
- 【坑士】魂砂による「縦水路」を開発
- 【炉匠】魂土と溶岩と凍氷で玄武岩を生成。
- 【炉匠】魂砂による「魂の炎」を利用。
- 【貨商】アメジストを交易に利用、革・木材を入手。
- 【司書】紙と革で本を作成。
- 【坑士】ダイヤモンドを採掘。
- 【坑士】ダイヤモンド道具で黒曜石を採掘。
- 【司書】黒曜石+ダイヤモンド+本+ラピスラズリで写魂卓を開発(写魂術)。
- 【咒者】写魂卓を小型化した視魂鏡(銅+アメジスト)を開発(視魂術)。
- 【司書】ダイヤモンド、木材で響魂函を開発。
- 【坑士】「太古の坑道」から哭曜石や「太古の残骸」を入手。
- 【咒者】哭曜石から招魂函を開発(招魂術)。
- 【炉匠】穢躯を溶岩で浄化した「魂の熾」を生成。
- 【炉匠】「魂の熾」で「太古の残骸」を製錬し、ネザライトを入手。
- 【坑士】ネザライト道具による岩盤破壊の失敗。
- 【門吏】写魂卓+招魂函+魂の熾で創冥門を開発(越魂術)。冥界素材を入手。
- 【薬師】魂砂でウォートを栽培。
- 【薬師】ブレイズロッドで錬魂台を開発。
- 【薬師】錬魂台でブレイズパウダーを燃料にウォートから錬魂薬を作成(錬魂術)
第十四節:意匠
第一項:色象
灰色
第二項:旗章
深層旗
第三項:建築
深層様式
第十七章:ギルド連合
第一節:概要
各深層都市で発展した技術者集団を前身とするギルドの連合体。当初は八つのギルドが存在していたが、皇女および古代文明との同盟締結に反対した巫女ギルドと咒者ギルドが脱退し、現在は六ギルドからなる。ギルドマスターから構成される新世紀委員会が、ギルド連合を運営している。ギルドや新世紀委員会とは別に、個々人の思想に基づく派閥が形成されているが、正式な組織ではなく、規模や結束の強さも一様ではない。
物語:深層人の旅路 (The Deepward’s Trail)
深層文明を継承する勢力。古世紀末、創界深層に滲出した辺境伯は、深層都市群を破壊し尽くし、地上へと姿を消した。だが、制御不能となった創冥門からは冥界人がなおも滲出し続け、深層はさながら冥界へと様相を変えた。深層人は、自らが築いた全ての都市を放棄し、地上への脱出を決断する。黒金・白金時代より以前から、深層文明の鉱石と古代文明の食物は交易されており、両者を結ぶ縦脈路が存在していた。深層人は古代文明を恃み、一縷の希望を抱きながら、破壊された縦脈路を通って地上を目指した。その途上で、辺境伯の蹂躙を逃れて避難していた古代人の一団(古代の客人と邂逅し、以後、行動を共にしたという。辛苦の果てに地表に出た彼らが目にしたのは、辺境伯に蹂躙される古代文明の姿だった。辺境伯は、創冥門に酷似した冥魂扉から大量の冥界軍を召喚し、隆盛を誇る古代文明を徹底的に破壊していた。古代文明の象徴である白金三柱が無惨に倒壊する光景は、{禁書図書館}の極秘文書{黙示録}に記録されている。辺境伯がもたらす絶望的な恐怖に再び直面した一行は、古代文明との合流を断念し、大ブルスケッタに隣接する大雪原、その中央に存在する表層都市を目指して逃避行を続けた。都市に到達した深層人たちは、各自が得意とする技術を持ち寄り、身を寄せ合って命を繋いだ。深層文明の原点であった炎は、暗く冷たい雪原に光と暖をもたらす、まさに希望の灯であった。小さな火を囲んだ彼らは、やがて自らを「残り火の子ら」と称し、深層文明の滅亡と再生の物語を記録し始める。旧世紀元年のことである。
物語:ギルド連合の結成
表層都市に落ち着いた深層人たちは、各深層都市の技術者を中心とした職能別の「ギルド」を結成し、社会基盤を急速に整え始めた。当初、八つの深層都市に由来する八つのギルドは、互いに協力していたが、やがてギルド間に序列が生まれ始める。深層文明を切り拓いた坑士と炉匠は、地上においても都市の再建に中心的な役割を果たした。貨商は、古代文明との交易を再開し、大雪原では入手困難な物資を調達した。司書と薬師は、写魂術と錬魂術で彼らの作業を支援した。一方、穢深層のない地上では、巫女の仕事はなかった。かつて無限に穢躯を召喚した咒者は、その危険な術を破棄するよう命じられた。創冥門から辺境伯の滲出を招いた門吏は、深層文明滅亡の責を負わされ、発言権すら与えられなかった。
表層都市を運営するため、各ギルドの長が集まり、ギルド間の利害関係を調整するようになった。ギルド長の会合は「新世紀委員会」と称され、各ギルドには席次が指定された。坑士を委員長、炉匠を副委員長とし、貨商・司書・薬師は委員として参画したが、巫女・咒者・門吏は陪席として扱われた。奇妙なことに、委員会にはたびたび「古代の客人」が立ち合い、ときに意見すら述べたが、誰もそれを咎めなかった。彼が坑士や炉匠に取り入っていたからだとも、彼の弁が常に正鵠を射ていたからだとも伝わっている。また、「古代の客人」が「ギルド連合」の名称を提案したとする記録も存在する。
【題材】中国共産党。蒸気技術(深層文明より未熟)。
【言語】冥界語。
【様式】深層様式。
【色】灰色:深層岩。
【色】空色:「魂の炎」。
第一項:残り火の子ら
「辺境伯の滲出」から逃れ、「深層人の旅路」を経て表層都市に辿り着いた深層人たちの自称。大雪原で小さな火を囲み、助け合って生き延びた記憶であり、ギルド連合の結束を象徴する言葉でもあった。後に転じて、連合の最高意思決定機関である新世紀委員会の委員を意味するようになる。しかし委員会の実態は、序列を重視する中央集権的な組織であり、残り火どころか、権力と欲望の炎が渦巻いている。
第二項:古代の客人
「最後の執法長」の息子のこと。後の総帥、初代ブルスケッタ国王。「辺境伯の滲出」に際し、救援要請のために深層都市へと向かう途上、逃避中の深層人たちと縦脈路で邂逅し、「深層人の旅路」に同道することになった。ギルド連合の結成に立ち合い、古代文明との同盟締結に尽力した。
第二節:組織
八つのギルドを連合内の席次順で示す。席次は、母体となった深層都市の建設順とは必ずしも一致せず、地上における重要性が反映されている。
表:ギルドの席次
未整理のアイデア
次に、巫女ギルドと咒者ギルドです。 「辺境伯の滲出」に際して、多くの者が辺境伯に恐怖を感じたのに対し、彼女らは、辺境伯が本質的に持つ「哀しさ」に気づきます。また、彼女たちは、辺境伯の出現を、「操魂術で魂を弄んだ自分たちへの罰」と解釈します。これらのことから、辺境伯を鎮魂するのが正しい道であると考えます。ですから、辺境伯の討伐が目的の同盟には反対でした。 総帥は、立場的にも思想的にも非主流派である彼女たちに、分離・独立をそそのかします。ギルド連合の力は借りたいが、ギルド連合が強すぎても困るからです。
かくして巫女ギルドと咒者ギルドは連合から分離します。後のことですが、同盟によって辺境伯が討伐された後、彼女たちの組織は復魂宗となります。その心は、辺境伯を鎮魂するには、まず辺境伯を復活させなければならない、ということです。巫女の目的は、復活した辺境伯の魂に憩を与えることです。咒者の目的は、復活した辺境伯の魂を滅却することです。復魂宗の二大グループも、実は同床異夢なのですが、これはかなり後の話になります。
第一項:坑士ギルド
坑士ギルドは、
第二項:炉匠ギルド
炉匠ギルドは、
第三項:貨商ギルド
貨商ギルドは、
第四項:司書ギルド
司書ギルドは、
第五項:薬師ギルド
薬師ギルドは、
第六項:巫女ギルド
巫女ギルドは、
第七項:咒者ギルド
咒者ギルドは、
第八項:門吏ギルド
門吏ギルドは、
第九項:新世紀委員会
新世紀委員会は、ギルド連合本部にある最高意思決定機関。各ギルド長が委員を務め、ギルド間の利害を調整し、連合の方針を決定する。その権能から、新世紀委員 (The Next Era Committee Member) は「残り火の子ら」とも呼ばれる。慣例として、坑士ギルド長が新世紀委員長 (The Next Era Committee Chair) を務める。
第三節:ギルド連合本部
ギルド連合本部は、太古の台地上に築かれていた表層都市を改修した、ギルド連合の中心地。深層都市群には中枢となる機構がなかったことの反省から、連合本部となる建物と組織が整備された。新世紀委員会を中心に、各ギルドの会館がある。また、台地南端の縦層路からは、西深層廊を経て「太古の深層都市」に至ることができ、縦脈路から小ブルスケッタの地上に出て古代文明と連絡することができる。この経路は、同盟戦争終結まで、ギルド連合と古代文明の接続を支えた。同盟戦争終結後、各ギルドが大雪原の各地に独自の拠点を建設したことで、連合本部は政治的中心としての純度を高めていく。
【座標】《-1536, 0》(縦層路)
【標高】《Y = 135》
【地生圏】雪原。
【面積】東西百メジャー、南北二百メジャー。
【題材】《古代都市》。
【様式】深層様式。
第一項:坑士会館
坑士会館は、ギルド連合本部にある、坑士ギルドの会館。
第二項:炉匠会館
炉匠会館は、ギルド連合本部にある、炉匠ギルドの会館。
第三項:貨商会館
貨商会館は、ギルド連合本部にある、貨商ギルドの会館。
第四項:司書会館
司書会館は、ギルド連合本部にある、司書ギルドの会館。
第五項:薬師会館
薬師会館は、ギルド連合本部にある、薬師ギルドの会館。
第六項:巫女会館
巫女会館は、ギルド連合本部にある、巫女ギルドの会館。巫女ギルドが復魂宗に離脱してからは、無人のまま放置されている。連合内では、巫女会館を改修して別の目的に使用することが検討されているが、巫女ギルドの復帰を目論むが頑強に反対し、現状が維持されている。
第七項:咒者会館
咒者会館は、ギルド連合本部にある、咒者ギルドの会館。咒者ギルドが復魂宗に離脱してからは、無人のまま放置されている。連合内では、咒者会館を改修して別の目的に使用することが検討されているが、咒者ギルドの復帰を目論む冥界派が頑強に反対し、現状が維持されている。
第八項:門吏会館
門吏会館は、ギルド連合本部にある、門吏ギルドの会館。
第十八章:古代文明
第一節:概要
彩金時代末期の天変地異によって太古の大地は海没したが、南限に位置するブルスケッタ地方はかろうじて崩壊を免れ、人々の再起の地となった。大変動を生き延びた彼らは、乏しい資源を共有し、万事協力して共同体を再建する必要があった。後に古代文明として開花するこの集団には、太古文明の聖座のような階級は設けられず、原初から民主的な社会の側面があった。古代人は大豊原の各地方を開拓していき、現在では大ブルスケッタと呼ばれる一帯に勢力を築いた。農業が盛んに営まれ、余剰の食料は深層文明の鉱石などと交換されただけでなく、深層都市の進んだ技術も得たようである。最盛期である白金時代には、今でいう民主主義・資本経済・科学技術が発達し、創界人の歴史の一つの到達点と評価されている。古代文明の中心地には、太古文明の「白金の神殿」を思わせる巨大な白金三柱が屹立しており、人々は社会の繁栄を謳歌していた。
しかし、旧世紀初頭の「辺境伯の蹂躙」によって、文明は壊滅的な打撃を受ける。このとき、一部の知識階層が、社会基盤の核心とともに遠く難を逃れたと伝えられるが、その詳細は不明である。一方、大ブルスケッタに残った古代人は、第二帝国の皇女およびギルド連合と同盟を締結し、辺境伯軍への反抗を開始した。この同盟戦争は長きに渡ったが、同盟軍はついに最終決戦で辺境伯を打ち破った。同盟戦争終結後、同盟で活躍した英雄たちは、大ブルスケッタ各地の諸侯に封じられ、連合してブルスケッタ王国を建国する。古代文明の栄光は、王国へと引き継がれたが、その多くは前世紀の百年戦争と大厄災で失われ、現世紀には遺構や痕跡のみが残る。
【題材】西洋。特にギリシア・ローマ文明。
【言語】創界語。
【様式】古代様式:石・石レンガ・丸石+各地の木材。
- 現世紀から見ても相当巨大な建造物(ダムなど)が構築されていた。
- 現世紀ではもっぱら遺構として残っている。石レンガや丸石は苔むし、ひび割れも多い。
- 辺境伯の蹂躙と百年戦争で破壊され、残ったものも手入れなく風雨に曝されており、廃墟に近いものも少なくない。
- 修理され、基礎や土台として現世紀で活用されているものもある。
【色】朧色:元は白だったが風化して朧になった? 石の色。ティレナ伯爵=皇女の騎士が受け継いでいるともいえる。
【色】緑色:苔むした遺跡を連想させる。古代文明の後継であるブルスケッタ王国でも、緑と苔は豊かな大地と繁栄の象徴である。
【旗】古代旗。
- 民主主義:三権分立があったと伝わる。大ブルスケッタには、行政院(現ブルスケッタ城)、立法院(現リュクス元老院)、司法院(現リュクシア裁判院)の遺構がある。
- 資本経済:
- 科学技術:学問や美術も発達していた。大ブルスケッタには、技術院(現プレッツェル時計塔)、学術院(現プレザ大学)、芸術院(現スコルデル美術館)の遺構がある。
第二節:白金三柱の理念
第一項:白金三柱
白金三柱は、古代文明の全盛期である白金時代に、小ブルスケッタ西部の南の山頂に建造された、白金製の巨大な三本の柱である。古代文明の理念を象徴する記念碑的建築と伝えられるが、「辺境伯の蹂躙」の際に、辺境伯によって徹底的に破壊され、現在では「白金柱の礎石」しか残っておらず、白金がどのような金属であったのかも不明である。
転じて、古代文明が高度に達成した三つの社会理念(民主主義・資本経済・科学技術)を指す語としても用いられる。「今では失われているが」と前置きすることが礼儀とされる。
第三節:古代十二院
古代文明に整えられた統治機構。十二の院からなり、三法院(執法院・立法院・司法院)、三政院(穀政院・造政院・恵政院)、三務院(財務院・交務院・衛務院)、三術院(技術院・学術院・芸術院)の四群に分類される。古代人が大ブルスケッタを開拓する過程で、各地に拠点として築いた民集堂が、古代社会の発展に伴って役割が分化したもので、白金時代までに十二院体制が整備された。院長は、各地方の有力者が務めた。旧世紀後半、いくつかの院は「辺境伯の蹂躙」で破壊され、機能不全に陥ったが、ブルスケッタ王国に継承され、現世紀でも庁舎として使われているものもある。
表:古代十二院とブルスケッタ王国
第一項:執法院
執法院は、
ブルスケッタ地方西部。後のブルスケッタ城。「太古の崩壊」後、小ブルスケッタに集まった太古人の生き残りが、団結して再起を誓った「最初の民集堂」を原点とする。十二院体制が敷かれてからは、行政を担当した。
第二項:立法院
第三項:司法院
第四項:穀政院
穀政院は、
ブルスケッタ地方東部。農業、および食料の生産・保存・分配を担当し、古代人の生活を支えた。
第五項:造政院
造政院は、
ザバイオーネ地方。公共の土木事業(街道・ダムなど)や建築を担当し、古代文明の社会基盤を物理的に支えた。その耐久性と実用性は
第六項:恵政院
第七項:財務院
財務院は、
リュクス地方。
第八項:交務院
第九項:衛務院
衛務院は、
ガレット地方。
第十項:技術院
第十一項:学術院
第十二項:芸術院
第四節:意匠
第一項:色象
朧色
第二項:旗章
古代旗は、古代文明の旗である。
第三項:建築
古代様式は、
第十九章:同盟
第一節:概要
第二節:同盟都市
第一項:皇女の円卓
同盟締結時に、皇女と古代人たちが囲んだとされる卓。転じて、同盟そのものを指す語となった。当時、英雄たちが実際に囲んだのは「方卓 (The Square-Table)」であったが、ギルド連合の記録には「円卓」の文字が残されている。この同盟は、古代文明の簒奪を企図するギルド連合が立案したともいわれる。当初、八ギルドが八英雄をそれぞれ支援する「八八同盟」が計画されたが、同盟締結に反対した巫女ギルドと咒者ギルドが復魂宗に離脱したため、皇女と騎士にはギルドが付かず、構想は頓挫した。巫女と咒者の離脱劇は、ギルド連合の力を削ぐために総帥が企図したという説もある。
未整理のアイデア
「辺境伯の蹂躙」によって壊滅寸前に追い込まれた古代文明陣営はレジスタンス的なものを結成? それが皇女を戴き、ギルド連合と連帯して同盟となる?
皇女が従えていた騎士が佩く「ネザライトの剣」は、ギルドにとって「深層人が探索していた太古文明の痕跡」「しかも高位の者の末裔である証」であった。古代人にとっては、「辺境伯の武具と同じ冥界の剣」「辺境伯の武力に対抗し得るもの」であった。
表:皇女の円卓とギルド連合
第二項:円卓の英雄
表:円卓の英雄と古代十二院
第三節:総帥
「最後の執法院長」の息子、「古代の客人」、後のブルスケッタ初代国王。
物語:辺境伯の蹂躙(小ブルスケッタ西部)
「辺境伯の蹂躙」は、辺境伯の小ブルスケッタ西部への侵攻から始まる。地上に出てから初めて創界人を目にした辺境伯は、冥魂扉から軍を召喚し、一帯を蹂躙し始めた。この地は、北は央海に面し、残る三方を山に囲まれた天然の要害であったが、それは逃げ場がないことを意味した。滅紫の炎に家を焼かれ、辺境伯軍に追われた人々は、街で最も大きく頑丈な建物である執法院へと逃げ込んだ。それは、「太古の崩壊」後に、粗末な「最初の民集堂」で傷ついた人々が身を寄せ合った光景と似ていた。執法院長は、この異常事態にも冷静に対処し、人々を受け入れつつ、人員と資材を総動員し、でき得る限りの防備を固めた。そして苦悩の末、息子には西の山の縦脈路を通って深層人に、娘には東の山を越えてガレットの衛務院に、それぞれ救援を要請するよう命じた。息子と娘が衛兵らと出立したのを見届けてから、院長は、永らく飾りとなっていた剣を手に取った。
院長の息子は、縦脈路をわずかばかり進んだところで、憔悴しきった深層人の一行と邂逅した。しかも、救援を求めたのは深層人の方であった。地上は危険だといくら息子が制止しても、深層人の列は歩みを止めなかった。息子の使命は、深層人に加勢を請うことであり、壊滅した深層都市を訪ねることではなかった。彼は深層人に同行するしかなかった。地上に辿り着いた彼らが目にしたのは、滅紫の炎に包まれる執法院であった。父の死を悟った息子と、深層文明の滅亡を思い出した深層人たちは、執法院が焼け落ちるのを無言で眺め続けた。誰かが、南の山を指さした。雪銀の絶壁を、大きな黒い影が這い上っていた。山頂には、古代文明の精華である三本の巨大な白金の柱が天を突いていた。尾根に立った黒い影は、柱の一つを引き抜き、斜面に放り投げた。柱は、粉々に砕けながら滑落していった。二本目の柱は、真っ白な「魂の焔」に包まれた。三本目の柱は、黒い剣に穿たれ、裂かれた。息子は深層人たちに問うた。「あなた方の力で、あれに勝てますか?」。幾人かの深層人が彼を罵った。「では逃げましょう」と言って息子は踵を返した。山の方角から発せられた、咆哮のような大音声が彼の背中を押した。
第四節:政臣
「最後の立法院長」、後のリュクス初代大公。
第五節:戦将
後のガレット初代公爵。
第六節:工匠
後のプレッツェル初代侯爵。
第七節:騎士
「皇女の騎士」、後のティレナ初代伯爵。
第八節:貴族
「魂の貴族」、後のスコルダリア初代子爵。
元々は芸術院の貧しい掃除夫で、「貴族」は渾名であった。同盟戦争の最終決戦では、決死の陽動部隊を率い、戦将の最後の突撃を見事に支援した。
第一項:魂の貴族
同盟戦争後、「貴族」はスコルダリア初代子爵に叙され、正真正銘の貴族となった。後世の創界人の多くは、居並ぶ領主の中で、なぜ初代子爵だけが「貴族」と呼ばれたのかを知らない。しかし、スコルダリアの子供たちは学校で必ず習う。「初代子爵こそ真の貴族、すなわち『魂の貴族』であらせられたからである」。
第九節:謀官
後のノワール初代男爵。
第十節:同盟戦争
第十一節:意匠
第一項:色象
赤色
赤色は、同盟の象徴色であり、血・団結・武力を意味する。バラ(赤薔薇)は、血の色の花弁、束となった多数の雄蕊、武器のような茨を持つことから、同盟の表象として旗章に採用された。
| 分類 | 名称 | 象徴 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 花 | バラ | 血・団結・武力 |
白色
白色は、太古文明・第一帝国・第二帝国の象徴色であり、「魂の憩」を意味する。表象に用いられたスズランは、同盟戦争後、同盟の盟主であった皇女を象徴する花となった。
| 分類 | 名称 | 象徴 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 花 | スズラン | 魂の憩 | 後に皇女の象徴となる。 |
第二項:旗章
同盟旗
同盟旗は、同盟の旗であり、同盟軍の軍旗でもある。旗章は、白地に赤薔薇。ブルスケッタ王国諸侯の団結を強調する意味で用いられることもある。白が象徴する第二帝国の後継であることも暗喩する。
第三項:建築
第二十章:ブルスケッタ王国
第一節:概要
同盟戦争で皇女と同盟して戦った古代文明の末裔。王国領内には古代文明の遺構が多く見られる。また、各諸侯領に、前世紀に造られた英雄像がある。同盟戦争の記録や記憶は百年戦争と大厄災を経てほとんど残っていない。その際、諸侯を序列化して秩序を形成したため、連合王国や幕藩体制に似た封建的な制度が残る。序列一位の諸侯が国王となったが、他の諸侯(大公、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵)との力の差は絶対的ではない。反王国派もいるが、表立った争いはない。百年戦争と大厄災の影響で、現世紀の王国は、白金時代の古代文明や黄金時代の王国と比べて技術力や文化が退行しており、現在は復古的な繁栄と進歩を目指している。商業や経済は発展しておらず、ギルド連合に依存している部分が大きい。
同盟戦争では、古代文明の男は戦いに従事し、女はそれ以外の仕事を受け持った。その名残で、諸侯は騎士団を持ち、諸侯夫人はそれぞれ得意な専門領域を持つ。古代文明や王国では、男と女は同等の地位・権利を有する。
ブルスケッタ王国全域を大ブルスケッタといい、国王領ブルスケッタ(ブルスケッタ地方)を小ブルスケッタと区別することもある。大ブルスケッタは七つの地方に分けられる。
内海に面した国王領の岸壁には巨大な王国旗が掲げられている。また、諸侯領内の要所は王国の直轄領となっている。砦 (The Bastion / The Fort) が代表例。
【題材】西洋。特に中世欧州。
【言語】創界語。
【色】緑色:豊かな大地の象徴。
【色】赤色:同盟の象徴。
【色】白色:第二帝国の象徴。
【花】バラ:同盟の血と団結と武力の象徴。
【旗】王国旗。
【旗】同盟旗。
第二節:直轄区と聖教区
表記の例
リュクス大公家:The House of The Archduke of Luxe / The Luxe Archducal House
リュクス家:The House of Luxe(血統重視)爵位が世襲ならこちら。
大公家:The House of The Archduke(爵位重視)爵位が世襲でないならこちら。
直轄区:The House Demesne
リュクス直轄区:The House Demesne of Luxe
聖教区:The Sacred Precinct
リュクス聖教区:The Sacred Precinct of Luxe
第三節:秩序
社会秩序は、科学(技術)・政治(法律)・宗教(倫理)の三層で理解される。三者の比率は社会によって異なる。
法律
1 ブルスケッタ法 農業国家であるブルスケッタでは、自然と調和した生活が理想とされており、法律は、宗教的倫理と連続した慣習法として整備された。裁判でも、抒情酌量、大岡裁き、三方一両損的な判決が多い。
個々の事情に合わせた叙情酌量が重視されるブルスケッタ法では、「判例は重視されない」。慣習法だが判例至上主義ではなく、大岡越前や遠山金四郎のような裁判官が好まれる。
2 リュクス法 政治・経済が発展したリュクスでは、国家は人が構成するものという意識が強く、科学・宗教ではなく法律が社会を規定する。現実の現代法社会に最も近い。現実的で広範な法体系が整備されている。
3 ガレット法 軍事国家であるガレットでは、立法精神は「統制」であり、ほぼ軍法である。条文は細かく厳密で、厳罰を旨とする。 モデル:織田信長の一銭斬り
軍法をモデルとするガレット法では、そもそも裁判は必要なのかという裁判制度不要論すらあり得る。軍法「会議」というように、判決とは命令であり、「不服を申し立てる」ものではない。
4 プレッツェル法 科学技術国家であるプレッツェルでは、法律は科学技術の発展を支える合理的・合目的的ものであり、条文も(科学的には)無意味かつ固陋な慣習を廃止するためのものが多い。新自由主義的ともいえるが、その根底には科学者特有の性善説があり、条文はガバガバである。それでもプレッツェルが無法地帯とならないのは、住民が科学的合理性に基づいて生活しているからである。科学の仮説のように、法体系も頻繁に修正・改善される。裁判は「実験」である。
科学と同様に法律も「仮説の体系」と考えるプレッツェルでは、裁判中に条文が変わり得る。裁判の進行に伴い、「これはどうも法律の方に問題があるのではないか」と判断されれば、裁判中に法案の審議が始まる。つまりプレッツェルでは、司法と立法は分離していない
プレッツェルのプレザ大学には法学部も設置されたが、肝心のプレッツェル法がガバガバで学生は学ぶことがなかった。プレザ大学が新たな科学系の学部を設置するとき、法学部の建物はその新学部用に召し上げられ、法学部はリュクスに移転された(プレザ大学リュクス校=ロースクール)。
5 ティレナ法 辺境伯に殺された古代人たちの鎮魂に務める宗教的な国家であるティレナでは、住民が宗教的倫理規範を遵守するため社会的な問題が少なく、法律は、宗教的な儀礼や手続きを明文化した程度の内容に留まる。他国の法学者からは「あれは法律ではなく式次第だ」と揶揄されている。宗教の聖典に近く、固定的である。
ティレナ法は宗教的倫理の明文化であり、これはむしろ儒教や朱子学に近く、東洋的。
6 スコルダリア法 文化国家であるスコルダリアでは、美術が発達し、人々は享楽的である。立法精神は「美学」であり、法律が罰するのは、悪いことではなく、醜いことや無粋なことである(それがスコルダリアでは「悪いこと」である)。スコルダリアでは、裁判とは審美であり、スコルダリア人は裁判をまるで演劇を観るかのように傍聴し、被告と原告も俳優のように演じる。
スコルダリアの裁判は「正義の演劇」であり、裁判官はおらず、陪審員たる観客の拍手の数によって判決される。すなわち「直接司法主義」。
7 ノワール法 通商国家であるノワールの立法精神は「契約」であり、法律は、契約者が「最低限」守るべきことであり、利益を最大化する機会を確保する(保証ではない)ことに重きが置かれる。法律に触れない限り、騙された側・利益を逸した側が「愚か」だとされる。法律は社会的弱者を保護・救済するためのもの、という観点に乏しい。
契約主義のノワールでは、裁判のゲーム性が高く、正義の完遂よりも利益の最大化を争うことに関心がある。弁護士が唯一存在する領邦であり、彼らによる弁護はほとんど詭弁の領域にまで達している。殺人のような絶対悪の刑事裁判は人気がなく、双方に主張がある民事裁判の判決は賭博の対象となるほど関心が高い。
控訴
リュクス裁判院は王国全体の上級裁判所であり、王国は二審制である。一審は各領邦の裁判所、二審は法治国家であるリュクスの裁判院。「一銭斬り」のガレットは控訴を認めていなかったり、スコルダリアでは控訴が「無粋」とされて実際は誰も控訴しないなど、控訴に対する考えはそれぞれである。
上級裁判所で適用される法は? 王国全体に共通する法がある?
法の適用範囲は? ガレット内のブルスケッタ人には、ガレット法とブルスケッタ法のどちらが適用される?
第四節:意匠
第一項:色象
第二項:旗章
王国旗
王国旗は、ブルスケッタ王国の旗である。旗章は、緑地に赤薔薇。緑は豊饒な大地、赤薔薇は同盟の血・団結・武力の象徴であり、大豊原に栄えた古代文明の正統な後継であることを意味する。ブルスケッタ国王領の国王旗と同一のものであり、また、同盟の同盟旗(白地に赤薔薇)の色違いでもある。
