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竜と魂のマインクラフト

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第一部

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第一部:三界と物語

第一章:三界

第一節:宇宙と世界

第一項:宇宙

《マインクラフト》を宇宙という。宇宙は有限の空間と無限の時間からなる。宇宙の《バージョン》を宇宙定数といい、宇宙定数が決定する宇宙の《仕様》を宇宙律という。宇宙の全事象は宇宙律に従う。《アップデート》による宇宙定数の増加は、宇宙律を更新することがある。

プレイヤー

《プレイヤー》は、宇宙の全時空間で行動可能な存在である。《プレイヤー》は宇宙律に介入できず、その制約を受ける。

第二項:世界

宇宙が創生する《ワールド》を世界という。宇宙には、二の三十二乗(四二億九四九六万七二九六)個の世界が存在する。世界の一意性を規定する《シード値》を世界定数という。世界は宇宙律と世界定数によって不可逆的に生成される。

キューブ

世界の時空間は非連続的に分割されている。その最小立方単位である《サブチャンク》をキューブという。宇宙律はキューブ単位で適用される。

第二節:三界と識子

第一項:三界

世界定数《-7066198318848429920》が決定する世界を三界といい、三界に現れた《プレイヤー》を「皇女の騎士」という。

第二項: 識子

三界の全てを創出する根源因子を識子という。識子は空間性の粒子として物質を構成し、時間性の波動として情報を記録する。識子の両面性が一方に偏る条件を識子場という。識子場において、識子は粒子と波動を相互に遷移する。識子の顕れ方を存在という。

第三項:位相

三界内の識子の偏在を位相という。粒子性の識子が構成する物質の位相を常界、波動性の識子が記録する情報の位相を異界という。両位相は同一の空間に存在するが、常界では時間が経過し、異界では堆積する。位相を越えた識子の作用を干渉という。識子が遷移せずに干渉することを転相という。

第四項:界域

識子が遷移せずに移動できる範囲を界域という。三界の《オーバーワールド》を創界、《ネザー》を冥界、《ジ・エンド》を異界という。常界は創界と冥界の二つの界域、異界の位相は同名の一つの界域からなる。

第三節:三界の存在

第一項:実存

高密度の識子からなる存在を実存という。

心存

三界を認識する実存を心存といい、心存が真理を希求する運動を言葉という。言葉は三界を物語る。

岩盤

識子が限界密度で充填された空間を岩盤という。岩盤内で圧縮された識子は緩慢に瓦解する。瓦解した識子に内在していた粒子性の空間は質量、波動性の時間は無間として顕れる。岩盤の超大質量は界域に重力を及ぼし、超高密性は波動のみを透過させる。時間から隔絶された岩盤は不変の実存である。

第二項:霧

低密度の識子からなる存在をという。

水と氷

粒子性の霧の凝縮体を、凝固体をという。高密度の水が自己組織化した集合体を水源という。水源は臨接する霧や水を自身に編入する。飽和した水源が周囲に放出する余剰の水を水流という。複数の水源に隣接する空間では、水流が密集して水源に組織化される。水源の凝固体を角氷といい、両者の中間相を薄氷という。角氷の凝結体を冷氷、冷氷の凝結体を凍氷という。

霧から可逆的に相変化した水・氷・水源・薄氷・角氷は全て霧であり、角氷から不可逆的に凝結した冷氷と凍氷は実存である。

空気と電気

霧の識子は干渉時の位相差圧によって瞬時に崩壊する。崩壊した識子に内在していた粒子性の空間は空気、波動性の時間は電気として顕れる。これを霧消という。

電気の時間性は空気の空間性に拘束される。空気の空間性は有限個の空孔に仮想される。空孔に拘束された静止電気の一部は、自由電気として遊離した後、再び空孔に拘束されて平衡する。空気中の空孔の数は一定だが、電気の総量は変動する。

光と熱

自由電気の運動をという。自由電気は電気密度の低い空間へと移動し、熱は高温から低温へと拡散する。大量の自由電気に加熱された識子は急激に溶融する。溶融した識子に内在していた粒子性の空間は、波動性の時間は熱として顕れる。これを燃焼といい、生成される光熱をという。

第四節:三界の物理

第一項:時間と距離

自由電気の最長遊離時間を一ティックという。電気の遊離が二ティック持続し、空気から完全に離脱することを励起という。励起は半径一キューブ長の空間に連鎖し、励起量は十六分の一キューブ長ごとに一段階減衰する。この距離を一メジャーという。一平方メジャーを一グリッド、一立方メジャーを一キュベットという。

第二項:気温

空気中の静止電気の量を気温という。全空孔が電気を拘束した上限気温を《2.00》メルト、全空孔が電気を解放した下限気温を《-1.00》メルトという。空孔は電気と排他的に霧を拘束する。《2.00》メルト未満では、霧は空孔に拘束されて凝縮する。《0.15》メルト以下では空孔の空率が高く、拘束された水は整列して凝固し、氷となる。

第三項:光度と照度

空気中で光の空間性は膨張する。光が空気に嵌合する上限光度を十五グロウという。空気を越えて拡大した光の空間性は、時間性へと転じて熱となる。火の光度は十五グロウを超えず、熱量のみが燃焼度に応じて増大する。

一グロウの光源は半径一メジャーの空間を照らし、その平均照度を一ルミノという。照度は光源から一メジャー離れるごとに一ルミノ低下する。

第五節:三界の時空

第一項:空間

宇宙開闢の一〇〇億四四八六万四〇〇〇ティック後、キューブが集合して三界が創生された。三界は、六千万メジャー四方、二五六メジャー厚の宇宙空間に、常界と異界が複在する世界である。常界は、三八四メジャー厚の創界に一二八メジャー厚の冥界が連続した、総厚五一二メジャーの物質位相である。常界の岩盤層が発する重力は、その位相を二五六メジャー厚の宇宙空間へと畳み込んでいる。異界は二五六メジャー厚の情報位相で、常界と同一空間に存在する。

第二項:自転

複在する粒子性と波動性の識子間には斥力が働き、位相間に差圧が生じる。差圧による位相の捻転は外縁に累積し、回転力として解放され、常界と異界を逆方向に板面回転させる。これを自転といい、その周期は二万四千ティックである。異界では自転運動の時間成分が堆積し続け、常界との位置関係は維持される。自転による位相間の摩擦は識子の干渉を誘発し、両位相の霧は霧消して空気と電気を生む。自転運動は自由電気を整流し、各界域に電域を形成する。

第三項:座標

座標は、界域内の位置をメジャー単位で指定する数である。各界域の座標系は同方向かつ独立である。電域の中心を原点とし、座標軸はキューブの各辺に平行である。鉛直線を垂軸といい、鉛直方向の負軸を深度、正軸を高度という。自転軸を縦軸という。電気の連鎖的励起が先行する縦負軸を、縦正軸をという。残る横軸では、自転方向の正軸を、負軸を西という。座標は《横座標, 垂座標, 縦座標》または《横座標, 縦座標》、高度と深度は《垂座標》で表される。

第六節:三界の構造

第一項:創界

創界は、常界の上層を構成する物質の界域である。深度《-64~-59》の岩盤層、深度《< 0》の深層岩層、高度《0~256》の不定形な層、高度《≤ 320》の空気層からなる。石層と空気層の接触面を地表、空気層と宇宙の接触面を天上という。地表からは天上を通して宇宙を視認できる。宇宙空間に存在する三界以外の世界を天体という。三界に最も近い天体を太陽、次に近い天体を、その他の天体をという。常界は東回りに自転するため、天体は東から昇り、西に沈む。

生の界域

創界は空気を介して宇宙と接し、地表には天体光が射す。気温は《-0.7~2.0》メルトで、霧は水へと凝縮し、氷へと凝固する。豊富な水が、高度《63》を水面とする海洋河川を形成する。創界の多彩な環境を「生の界域」ともいう。

創界人

創界の支配的な心存を創界人という。

第二項:冥界

冥界は、常界の下層を構成する物質の界域である。高度《0~4》の下部岩盤層、高度《124~128》の上部岩盤層、それ以外の冥界岩層からなる。創界の岩盤層と冥界の上部岩盤層は連続しており、常界を創界と冥界に隔絶している。冥界の空間は、上下の岩盤層が及ぼす重力によって歪んでいる。創界と冥界の座標系は平行だが、両者の空間比は八対一に及ぶ。

死の界域

冥界は岩盤層に密閉され、気温は《2.0》メルトに達する。霧は水へと凝縮せず、大量の溶岩が、高度《32》を海面とする溶岩海を形成する。冥界の過酷な環境を「死の界域」ともいう。

冥界人

冥界の支配的な心存を冥界人という。

第三項:異界

異界は、常界と同一の空間を占める位相であり、情報の界域である。高度《0~256》の全域が空気からなり、高度《10~70》には少数の異界岩が浮遊している。高度《> 0》の宇宙空間を奈落という。奈落への落下は、三界から宇宙への唯一の到達経路である。

夢の界域

異界と宇宙との境界は曖昧で、天体は視認できない。異界の気温は《0.5》メルトだが、波動性の霧は水へと凝縮しない。異界の特異な環境を「夢の界域」ともいう。

異界人

異界の支配的な心存を異界人という。

第七節:附表

表:時空間と識子
空間時間
宇宙有限無限
識子粒子波動
識子場物質情報
位相常界異界
岩盤質量無間
霧消空気電気
燃焼
表:位相と界域
位相常界異界
識子粒子波動
識子場物質情報
時間経過する堆積する
界域創界冥界異界
環境生の界域死の界域夢の界域
心存創界人冥界人異界人
表:常界の構造
界域地層垂座標
創界空気層《≤ 320》
石層《0~256》
深層岩層《< 0》
岩盤層《-64~-59》
冥界上部岩盤層《124~128》
冥界岩層
下部岩盤層《0~4》

第二章:実存

第一節:実存の元素

心存である創界人は、三界実存を還元的に認識した。実存は、三元素からなり、を残すという。創界人は与り知らぬが、全ての存在と同様、三元素と痕も識子の顕れ方である。

【肉】粒子性の識子が構成する物質。
【魂】波動性の識子が記録する情報。
【命】波動性の識子から構成された物質。
【痕】粒子性の識子へと記録された情報。

第二節:実存の構成

第一項:肉

実存の物質を構成する粒子性の識子をという。実存の肉と他の識子の相互作用を経験という。経験によって識子場に振動が生じ、肉の粒子の一部が波動へと遷移する。波動性の識子に記録された経験の情報を記憶という。

第二項:魂

実存の記憶を記録した波動性の識子をという。常界の識子場では魂の波動は安定せず、瞬時に粒子へと遷移する。新生した粒子は周囲の肉と相互作用し、その経験は新たな魂となる。肉と魂の循環的な遷移をといい、縁における魂の存在確率を「魂の濃度」という。「魂の濃度」は肉の経験に伴って上昇し、やがて飽和する。過飽和に達した魂は「経験の結晶」として析出する。これを魂珠という。

第三項:命

魂から新たな実存を生す力をという。「魂の濃度」が飽和した識子場では、波動から粒子への遷移が遅延し、中間体が生成される。これをという。一般的に、胤は躰から離脱すると粒子へと遷移し、新たな実存の肉となる。胤を形成する実存を、胤から生成される実存をという。胤は親の記憶を記録した波動を内在するため、親の獲得形質は子へと遺伝する。

第四項:痕

経験によって魂へと遷移した肉の形跡をという。痕の形状は経験の情報と等しい。異界の識子場では肉の粒子は安定せず、瞬時に波動へと遷移する。このとき、痕に記録された情報が展開される。

第三節:実存の様態

第一項:肉の様態

生と死

全ての肉は経験をして魂と縁を結ぶ。肉と魂が結縁した状態を、絶縁した状態をという。

物・躰・屍・躯

魂と結縁しただけの肉を、結縁した魂で飽和した肉を、魂と絶縁した肉を、無縁の魂に侵された肉をという。物と躰は「生の肉」、屍と躯は「死の肉」である。

成長

躰が経験を重ねると、飽和限界を超えた魂が縁から零れる。幼体では、この外縁の魂は肉へと遷移し、躰の一部として復縁する。これを成長という。成長は痕を癒すことがある。成体では、外縁の魂から肉への遷移が遅滞し、胤が生成される。過飽和に達した外縁の魂は、魂珠として析出する。

老化

躰を構成する粒子の配列の擾乱を老化という。経験による痕の形成や、魂との循環的な遷移による肉の代謝は、躰を徐々に老化させる。外傷などの激しい経験による大きな痕は、急激に老化を進行させる。著しく老化した躰は縁を維持できず、命を失い、魂を手放して屍となる。

帰土

死後の屍にも微かな経験は継続的に生じ、肉と魂の新たな縁が紡ぎ出される。縁を得た屍は物へと帰る。これを帰土という。

反魂

肉と絶縁した魂や魂珠を幽魂という。屍から遊離した幽魂は、依代となる物や屍を求めて遊走する。幽魂が無縁の肉を侵すと躯となる。これを反魂という。躯になり損ねた幽魂の波動は、常界では粒子へと遷移して霧となる。

第二項:魂の様態

還魂

屍から遊出した魂珠は、常界でも暫時その結晶性を維持する。魂珠の一部が粒子へと遷移し、成長と類似した過程を経て躰が再構成されることがある。これを還魂という。還魂において、粒子化した波動に記録されていた記憶は失われる。

転相

屍から遊出した魂珠は、遷移せずに異界へと転相することがある。

第三項:命の様態

胤が肉へと遷移し、別の実存である子を生成することをという。「生を殖やす」ことから、胤による殖を生殖ともいう。二個体の交配生殖を繁殖、一個体の単為生殖を増殖という。繁殖性の胤を性子、増殖性の胤を種子という。性子や種子から生成された肉は、経験によって魂と縁を結び、子の躰となる。生殖における子は、親とは独立した実存である。

胤が肉へと遷移せず、他の実存を冒して胤のまま存続することをという。「生を蝕む」ことから、胤による蝕を生蝕ともいう。蝕性の胤を胞子といい、胞子に冒される実存を宿主という。蝕の識子場では、宿主の魂は胞子への遷移を強いられ、肉は縁を失い屍となる。宿主の死によって、胞子が実存の主体となる。生蝕における子は、親から複製された実存である。

第四節:実存の分類

創界人は、肉・魂・命の様態によって実存を分類した。実存は、生・死・魂・命の部類に大別され、さらに三元素の相違に基づいて細分された。

表:実存の分類
部類分類魂珠
- -
有縁 - 鉱石
- - 鉄偶
- 植物
有縁 動物
- -
- - 魂砂
無縁 - スケルトン
無縁 ホグリン
有縁 - 帝国人
- 単体 - 異界人
- 菌類
有縁 カーナント
無縁 ゾンビ
- 単体 シュルカー
- 岩盤

第一項:物

は、魂と結縁しただけの肉のみからなる「生の実存」である。物は、肉の様態であり、それのみからなる実存の分類名でもある。

物は、大地を構成する地物と、有用な資源である鉱物に大別される。地物は、ツルハシで採掘できる岩石と、シャベルで採取できる土砂に細分される。鉱物は、動力源となる活石、希少石である宝石、導電性のある金属に細分される。

表:物の実存

第二項:玉

は、物および物と結縁した魂珠からなる「生の実存」である。

岩石に高圧がかかると、肉が圧縮されて「魂の濃度」が高まる。過飽和に達した魂は魂珠として析出し、「魂の濃度」が低下した肉は鉱物へと変性する。生成された、鉱物と魂珠を含む岩石を鉱石という。玉と鉱石は同義である。

表:玉の実存

第三項:偶

は、魂で飽和した躰のみからなる「生の実存」である。

躰が経験で得た魂を、アメジストは成長に、その他の偶は運動に使う。

一覧:偶の実存

第四項:妖

は、魂で飽和した躰に命を宿した「生の実存」である。

表:妖の実存

第五項:獣

は、魂で飽和した躰に魂珠を懐き、命を宿した「生の実存」である。

表:獣の実存

第六項:屍

は、魂と絶縁した肉のみからなる「死の実存」である。屍は、肉の様態であり、それのみからなる実存の分類名でもある。

一覧:屍の実存

第七項:幽

は、物や屍が魂に侵されて反魂し、躯となった「死の実存」である。

一覧:幽の実存

第八項:鬼

は、物や屍が魂珠に侵されて反魂し、無縁の魂珠を懐く躯となった「死の実存」である。

表:鬼の実存

第九項:猥

は、鬼が新たに命を宿した「死の実存」である。

一覧:猥の実存

第十項:仙

は、魂珠と、その一部が還魂して再構成された躰からなる「魂の実存」である。

表:仙の実存

第十一項:夢

は、異界へと転相した魂珠のみからなる「魂の実存」である。

一覧:夢の実存

第十二項:菌

は、魂が胞子へと遷移し尽くした、屍と命からなる「命の実存」である。

表:菌の実存

第十三項:痾

は、胞子が獣を冒した「命の実存」である。

痾は、胞子と獣が共存する実存である。菌を排除すると獣に戻り、蝕が進行するととなる。

一覧:痾の実存

第十四項:傀

は、痾の蝕が進行した「命の実存」である。

胞子が獣の縁を蝕み、肉と魂が絶縁すると傀となる。胞子に冒された鬼も傀という。傀の魂珠が胞子へと遷移し尽くすと、傀は菌となる。

表:傀の実存

第十五項:結

は、胞子が夢を冒した「命の実存」である。

結は、胞子と夢が共存する異界の実存である。蝕の識子場において、夢の魂珠は胞子へと遷移する。同時に、異界の識子場において、胞子の粒子性は波動性の魂へと遷移する。魂と命の循環的な遷移をという。

一覧:結の実存

第十六項:奇

は、上記の十五種に分類されない実存である。

表:奇の実存
岩石岩盤有魂
冷氷
凍氷
積雪
雪竏
粉雪
溶岩
きらめくブラックストーン(非鉱石)
岩盤
エンドポータルフレーム
強化された深層岩
ヴェックス
クリーキング
ガスリン

第五節:実存の本質

創界人による実存の認識と分類は、識子の顕れ方の不完全な理解に過ぎない。唯一の意義は、創界人が自らの本質は魂にあると信じたことにある。この実存観が三界の物語を駆動する。

第三章:物語

第一節:言葉と物語

言葉は一般的に、「創界人が自らを識ろうとする欲求の発現」と理解される。言葉が表現する対象は、実存を起点として識子から宇宙までの全存在に及ぶ。

言葉による存在の描写を物語という。物語の内容は倫理実像に、形式は原話理論に大別される。倫理は「存在のあるべき姿」、実像は「存在のあるがままの姿」の物語である。原話は「言葉の構成的な展開」、理論は「言葉の論理的な接続」である。

倫理の原話を信仰、倫理の論理を哲学、実像の原話を歴史、実像の理論を科学という。各物語が到達すべき「存在の真の姿」を真理という。

表:物語の分類
原話理論
倫理信仰哲学
実像歴史科学

第二節:実存と物語

「自らとは何か」を問う創界人の物語は、実存の探求から始まる。

{創界人は識子を知らず、その粒子性のみを視認する。創界人による実存の理解は、識子の動態と照応する。}

第一項:死者と殯

創界人の原始的な葬礼では、死者の肉体は腐朽するまで安置され続けた。これをという。創界人が長期間の殯で死者を葬送した理由は、蘇生の監視と、への抵抗である。創界では、竜のによって頻繁に創界人が滅却されていた。殯は、竜禍を生き抜いた死者が静穏にを全うする儀式であった。死を過ち蘇った実存は、冥界に堕ちるとされた。

第二項:肉・魂・命

創界人は、殯における死者の肉体の変遷を見守る中で三元素を見出した。死者は肉体を残して意識を失うことから、からなるとされた。死者の肉体にが生えることから、肉は魂とは別にを宿すとされた。

{創界人の理解では、魂と魂珠はしばしば混同され、魂珠を魂と呼んだ}

【肉】実存を成す肉体。
【魂】実存を為す意識。
【命】実存を生す能力。

第三項:魂の物語

創界人は、自らの本質は魂にあると信じた。死後の「魂の行方」は無二の関心事であり続けた。魂が永遠に存続する「魂の憩」は生を超越する歓喜、魂が完全に消滅する「魂の歿」は死を凌駕する恐怖であった。

創界人は、自らの「魂の行方」を識るために言葉を紡ぎ、物語を編んだ。実存を思索した創界人は、倫理によって自らを律した。倫理は、魂を赦す信仰と、因果を説く哲学を生んだ。実存を観察した創界人は、三界の実像を克明に描いた。その軌跡は歴史として記録され、知識は科学として構築された。

第三節:実存と倫理

「自らとは何か」を問う創界人は、「自らのあるべき姿」を慮った。その思索を敷衍した、「存在のあるべき姿」の物語を倫理という。倫理は、創界人の主観的な行動規範である。

自らの本質はにあると信じた創界人にとって、「存在のあるべき姿」とは「魂のあるべき姿」でもあった。死後の魂があるべき姿を全うするために、生前の魂はどうあるべきか。それが倫理の問いである。

魂の旅路

によってと絶縁した魂が辿る道程を「魂の旅路」という。魂が旅路を遂げると死が完結する。旅路を誤ると、反魂還魂に陥り、魂は再び肉に囚われる。

魂の純度

「魂の旅路」の経路は、魂の質である「魂の純度」によって自ずと決まる。高純度の魂は正道を往き、低純度の魂は外道を迷う。

罪・罰・業

魂は肉の経験を記憶することから、「魂の純度」は生前の行いの反映であるとされた。魂を濁す行為をという。罪に応じて「魂の純度」が低下し、「魂の旅路」が過酷になることをという。罪と罰の因果をという。倫理の要諦は、肉を律して魂を安んじ、業を調えて「魂の旅路」に備えることである。

第一項:実存と信仰

倫理を遵守するための原話を信仰という。

魂の行方

「魂の旅路」を経て、魂は肉から解脱する。その最終的な結末を「魂の行方」という。魂が魂のまま永遠に存続することを「魂の憩」、魂が三界から完全に消滅することを「魂の歿」という。創界人の大多数は、自らの本質である魂の永続を望んで滅失を恐れた。信仰の使命は、肉から解脱した全ての魂を赦すことである。

決定論と未決論

魂は操作不能で、生前の行いによって「魂の行方」は決定されているという考えを決定論という。人民支配や社会秩序の維持に都合が良く、封建的な国家制度と親和性が高い。不安定な世相では、人々の無気力や社会の停滞を招きやすい。

魂は操作可能で、死後の選択と偶然によって「魂の行方」は変化するという考えを未決論という。個人主義や実力社会の発展と相性が良く、革新的な思想信条と融和性が高い。流動的な時代には、刹那主義や反体制主義へと転化しやすい。

魂の救済

創界人を「魂の憩」へと導くことを救済という。決定論では、魂は業に従って「魂の旅路」を歩き、「魂の行方」を受容する。救済の目的は、超越的存在と契約して「魂の憩」を生前に得ることである。

魂の復活

創界人が「魂の歿」から蘇ることを復活という。未決論では、魂は業に抗って「魂の旅路」を拓き、「魂の行方」を選択する。復活の目的は、超越的存在を超克して「魂の歿」を死後に覆すことである。


{ここから改稿予定}}

第二項:実存と哲学

倫理を省察するための理論を哲学という。倫理を論理的にすることが、哲学の本質的な課題である。

実存の三元論

肉・魂・命の三元素によって実存を定義する理論を「実存の三元論」という。実存論ともいう。実存論では、三界は「魂と命が肉を奪い合う世界」であり、歴史は「魂が真理を求める物語」である。実存論は、心存としての創界人の意識の中核であり続けた。

古典的実存論

肉を中心に、「肉と魂」「肉と命」の関係性で実存を定義した理論を古典的実存論という。古典的実存論では、無肉の実存は考慮されなかった。物質である肉と比べ、情報である魂や機能である命の理解が不充分だったためである。

実存論

無肉の実存を含む標準的な「実存の三元論」は、視魂術が魂を可視化し、生物学が命を再分類した後に成立した。

存在論

第四節:実存と実像

「自らとは何か」を問う創界人は、「自らのあるがままの姿」を顧みた。その観察を集積した、「存在のあるがままの姿」の物語を実像という。実像は、創界人の客観的な認識基盤である。

「創界人の本質は魂である」「創界人は三界を認識する心存である」という二つの命題は、「創界人の魂は心存の性質を有する」という結論を導く。

第一項:実存と歴史

実像を理解するための原話を歴史という。

「魂の行方」を見定めるために、魂の来歴を

政治学・経済学・社会学など

第二項:実存と科学

実像を探求するための理論を科学という。

命存

第五節:実存と真理

「自らとは何か」を問う創界人は、「自らの真の姿」を欲した。その探求が結実した、「存在の真の姿」の物語を真理という。真理は、創界人の絶対的な存在原理となるはずであった。

真理は、創界人にとって識子一元論として顕れる。

少数の存在が、肉・魂・命の三元素の実態は識子の顕れであることを認識し、非実存論的に実存を理解した。「実存の一元論」は、識子を根源要素として三界を記述する理論である。識子論ともいう。三界の真理である識子論は歴史を通じて何度か現れたが、そのたびに消失するか封印された。

{ここまで改稿予定}


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