- 『篦棒な人々』竹熊健太郎

2008/06/25/Wed.『篦棒な人々』竹熊健太郎

副題に「戦後サブカルチャー偉人伝」とある。竹熊健太郎によるインタビュー集である。インタビューイは以下の 4人。

いずれも戦前生まれで、様々な戦中体験の後、戦後の日本で辣腕を奮った怪人物・異人である。彼らの言葉には言い知れないスゴ味がある。ロング・インタビューをそのまま対話形式にまとめたことが成功している。ノンフィクションの形でまとめられていたら、これほどの生々しさがあったかどうか。

糸井貫二ことダダカンという人物のことを、俺は本書で初めて知った。どうしてこのような人物の存在が、全く埋もれていたのか。とにかくスゴい。ダダカンを知る豊島重之の文章、「糸井貫二—直会肉談—このマッド・ストック」が本書で引用されている。孫引きになるが、その一部を紹介する。

六二 全裸松の木登り (京大構内)
ビニール袋逆さ一物 (大阪駅公安前。ビニール袋に入って裸踊り。事情聴取三十分)
逆さ一物 (大阪フェスティバルホール前。本書に連行され弁解書)

六三 アンビート中島由夫と裸体ハップ (第一五回読売アンデパンダン展会場の東京都美術館前。交番で事情聴取、厳重説諭)

六四 大トランク・ハップ (仙台アンデパンダン展会場の三越。仲間とともに全裸となり会場を出て市内に這い回る。機動隊まで出動、逮捕)
東京五輪性火白面フリチン走り (銀座四丁目。東京五輪の聖火ランナーに刺激を受け全裸で走り、逮捕。精神病院に強制入院一年間)

(『美術手帳』1970年 12月号特集「行為する芸術家たち」 豊島重之「糸井貫二—直会肉談—このマッド・ストック」)

一体どういう人物なのか。それは本書の貴重なインタビューで明らかにされている。