養老孟司と宮崎駿の対談本。宮崎が、
養老さんとは、ぶつかりようがありません。相違はあるにはありますが、それはそれでよかろうという範囲でしかありません。だから、対談をしても話があまり弾みません。そもそも、対談と呼べるものになっているのかどうかさえあやしいものです。
(宮崎駿「文庫版あとがき」)
と書いているように、それほど深い話は見受けられない。僅々百余頁の本文では、「自然とか教育って大事だよね」「ですよねー」という会話が続く。
『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』を作成中の宮崎が何を考えていたのかについて語られる部分など、興味深い面ももちろんある。また、理想とする教育・住環境を再現した宮崎のカラー・イラスト二十余頁が冒頭に付されており、彼のファンなら一見の価値があるだろう。