『ジョジョの奇妙な冒険 41 ストーンオーシャン 2』の続き。
激闘の末に『フー・ファイターズ』を破った徐倫とエルメェスは、ついに承太郎のスタンド DISC を手に入れる。そして、そのことに気付いた「敵」こと『ホワイト・スネイク』の「本体」が遂に登場する。
第3部の DIO、第4部の吉良吉影と、ジョジョは「敵」本体の圧倒的な存在感に定評がある。第6部の「敵」エンリコ・プッチ神父 (この時点ではまだ名前まで明かされていないが) もまた、強烈な印象を読者に残す。
神父「人と動物の違いだった… それは「天国へ行きたい」と思うことだよ 人はそう思う…… 犬やオームにその概念はない 「天国」だよ 人は「天国」へ行くためにその人生を過ごすべきなのだ それが人間のスバらしさなんだ」
(「取り立て人マリリン・マンソン その 1」)
承太郎の DISC を取り返そうと、敵スタンドの攻撃が徐倫とエルメェスを襲う。それらを撃退、あるいはかいくぐりながら、徐倫は DISC をスピードワゴン財団に渡すため、刑務所中庭への到達を目指す。
その過程で新たな味方『ウェザー・リポート』が姿を現す。
スタンド名——『ウェザー・リポート』
本体——ウェザー・リポート破壊力——A
スピード——B
射程距離——C
持続力——A
精密動作性——E
成長性——A能力——天候を左右できる能力。天候といっても大きい規模とは限らない。半径 1 m 内の天候もある。
そういえば以前に、「ウェザー・リポートのゴゴゴゴ天気予報」というバカなブログ・パーツを作ったこともあった。それはともかく、『ウェザー・リポート』が起こす「小さな天気」の絵は、スタンドの描写としても斬新で非常に面白い。
あと、本書を読み直して、『キッス』の能力で物体を 2つに増やしたとき、「シール」されている方がオリジナルなんだなあ、ということに (今更ながら) 気付いた。
第6部は、荒木飛呂彦が第5部でやりたかった (けれど上手く表現できなかった) ことを新しくやり直した作品ではないか、と言われることがある。また、第6部はセルフ・パロディと思しき場面が幾つもある。
本書の範囲ならば、ミラションとそのスタンド『取り立て人マリリン・マンソン』が好例である。「賭け」が成立したときにミラションが放つ「グッド」の台詞は、第3部のダービー兄弟のものだ。「相手の心の弱点を見つけたら、とにかく何が何でもカネ目のものを取り立てる。マリリン・マンソンに取り立てられたら、隠し事はできない」という『マリリン・マンソン』の能力は、第4部の小林玉美とそのスタンド『ザ・ロック』を思い起こさせる (岸辺露伴が東方仗助のイカサマを見抜くために小林玉美を呼んだエピソードは、本書で繰り広げられる徐倫とミラションの心理戦を彷彿とさせる)。
意地悪く考えれば、ユニークなスタンドのアイデアが枯れてきたということになる。それが事実かどうかは、読み進めていく過程で明らかになるだろう。