- どうしてこうなった

2010/03/26/Fri.どうしてこうなった

何事ももっと簡素にならないかと常々思っている T です。こんばんは。

「僕たちが欲しいのは電源を入れたら即座に操作可能となるコンピュータです」といった書き出しで始まる文章があったはずだが出典を忘れてしまった。「コンピュータ」ではなく「ゲーム機」だったかもしれない。

確かにファミコンなどは電源を入れた数秒後にはスタートボタンを押してゲームを始めることができた。それが今は何だ。コンピュータやゲーム機は進化した高速になった大容量になったというが起動してからゲームをプレイし始めるまでの時間は延びるばかり。「据え置きダルい。携帯機サイコー!」という昨今の風潮はこの起動時間の延長と無関係ではない。大画面液晶の立ち上がりがブラウン管よりも地味に遅いことがこの傾向に拍車をかける。テクノロジーは本当に進歩しているのだろうか。僕たちが夢見た未来はこんなのじゃなかった。

今日はサイトのプログラムを少しイジって表示の高速化を試みた。上に倣っていうなら「僕たちがアクセスしたいのはリンクを飛んだら即座に表示されるページです」となるだろうか。最近はどのページにもベタベタと広告やブログパーツが貼ってあって肝心な部分の読み込みが遅くイライラして表示される前にタブを閉じてしまうことも少なくない。広告などを非表示にするプラグインも存在するが完璧にブロックしようとすればするほどブラウザの動作が遅くなるという馬鹿げた結果になる始末。テクノロジーは本当に進歩しているのだろうか。僕たちが夢見た未来はこんなのじゃなかった。

「リッチなユーザエクスペリエンス」などといった洒落臭いものをいったい誰が望んでいるのか。女子供か。僕たちは黒い画面に緑色の文字が高速大量に流れるシンプルな端末に素朴な畏敬と未来への憧憬を抱いたのではなかったか。幼稚なメタファーは形而下的な感覚でしか物事を捉えられない者にだけ提供されれば良い。かつて僕たちが夢見たテクノロジーは人間を形而下的な煩わしさから開放し精神をより形而上的な世界へと開放するために進歩したのではなかったか。どうしてこうなった。