- 『麻雀放浪記 (二) 風雲編』阿佐田哲也

2006/01/20/Fri.『麻雀放浪記 (二) 風雲編』阿佐田哲也

『麻雀放浪記(一)青春編』の続編。

ポン中毒にまで墜ちた「私」(坊や哲) は、勝負の席でクスリが切れ、粗相を犯して叩き出される。その場の落とし前をつけてくれたステテコこと小道岩吉のサクラとなった哲は、シケた商売をしながら東海道を渡り歩く。そんなときに出会ったのが、クソ丸にドテ子というフザけた名前の坊主と娘だった。

風雲編

坊主でありながら、クソ丸は玄人筋の賭人。ドテ子も天性の勘が鋭い博打娘だった。この 2人が、大阪行きの夜汽車に乗るという。実はこの列車、ある客車が貸し切りとなっており、その中で夜通し博打が打たれているという。哲は、一も二もなく乗り込んだ。

大阪で降りた彼はそのまま雀荘へ。当時、西日本を席巻していたのは、関東とは異なるルールのブウ麻雀。慣れないルールと裏芸、コンビ麻雀や、そして何よりも大阪という土地の厳しさに叩かれる哲だが、次第に対抗策を練り、ドテ子とともに逆襲を始める。懐かしい人との再開や、ブウ打ちとの交流を通じ、彼の麻雀もコクを増してくる。

そんなとき、京都に博打寺があり、大きいレートの場が立っているという噂を耳にする。寺を喰い物にしてやろうと、哲、大阪のブウ打ち、その他の玄人らが続々と寺に集まってきた。寺側も坊主を総動員して迎撃する。この一大決戦はとんでもない結末を迎えるが、それがどのようなものかは実際に読んで頂きたい。

前作に劣らぬ面白さで、脂の乗った哲とともにスピード感溢れる展開を楽しめる。クソ丸、ドテ子という脇役も良い (これは全てのシリーズを通してそうだが)。続編としては完璧なできである。