- 一切の広告を拒否する権利および自由

2010/04/25/Sun.一切の広告を拒否する権利および自由

環境問題を論じた本に折り込みチラシが挟み込まれているのは何かの皮肉か。売り物である本にゴミを挟んだり巻き付けたりするのは、そろそろ止めたらどうか。

個人的には本のカヴァーも要らない。特に、最近のカヴァーは帯が巻かれることを前提にデザインされているという本末転倒ぶり。意匠の全体性など求めるべくもなく、芸術的感興も資料的価値もない。やはりゴミである。

どうしてもカヴァーが欲しい人には、カヴァー付き初版本を部数限定で発売すればよろしい。もしくは、カヴァーを別売にしても良い。五十円ほど余分に払えば、カヴァーの PDF データが貰えるわけである。プリンタで印刷し、鋏で切って本に巻き付けたらどうか。個人使用に限れば何枚でも印刷できるから、汚損しても換装できるし、額縁に入れて部屋に飾るといった楽しみ方もできる。

そんなことをしている内に書籍は電子化される。これには賛成も反対もしないが、心配なのは、電子書籍における広告の扱いである。

インターネットが特にひどいが、あらゆる時空間の隙間に広告が挿入されているこの現状は何だろう。金銭を払い広告を掲載するという広告主の自由はもう充分に達成された。次は、金銭を支払ってでも広告を排除するという消費者の自由が確保されるべきだろう。アイマスクや耳栓を買うように、この自由を購入できないか。

2009 年の日本の広告費は約六兆円であるという。広告費は製品の価格に含まれているはずだから、日本人は一人当たりおよそ年間五万円ほどを、製品の中身にではなく広告に支払っていることとなる。

となれば、仮に「日本において一切の広告を拒否する権利および自由」を取得するとしたら、その対価も年額五万円が妥当となる。この金額をどう評価するか。支払っても良い、と個人的には思う。