- 『モンスターハンター 長の資格』ゆうきりん

2010/09/14/Tue.『モンスターハンター 長の資格』ゆうきりん

『モンスターハンター 狩りの掟』『英雄の条件』の続編。

主人公のジーグは、自分が属するパーティのリーダーと、狩猟方法についての意見が折り合わなくなってきた。ついにジーグは、パーティを離脱する決意を固める。今度は、新しい街で自らがリーダーとなってメンバーを募り、理想のパーティを構築するのだ——。しかしこれがなかなか難しい。

パーティにおける人間関係がよく描かれていて、この巻は随分と面白かった。MH はオンラインのマルチアクションゲームだが、そこで繰り広げられる人間模様は独特であり色々である。

「隊(パーティ)の隊長(リーダー)はあたしなのっ! どういう風に狩りをするか、それを決めるのは、あたしよ! 勘違いしないでよ!? あんたの隊じゃないの! あたしの隊よ!」

(第二章「旅立ち、ひとり」)

エルメリアの台詞に見られるような感情の爆発は、オンラインゲームではしばしば見受けられる。これをニヤニヤと笑って受け流せるようになると、ネットゲームが随分と楽しくなる。

ゲームは真剣にやるべきだが、本気になってはいけない。これは個人的な座右の銘だが、一方で、全く逆の考え方の者もいる。「モンハンは遊びじゃないんだよ!」という名言の存在が、MH を仕事にしている人の在り方を鮮やかに物語る。世の中には、様々な人種がいるのである。

もちろん、小説中のハンターたちにとって、狩りは「遊び」ではなく歴とした「仕事」である。したがって全員が真剣であり、それが当然である。そういう意味で、こと人間関係については、小説の方がよほどリアルであるともいえる。

そのような、ひねくれた読み方もまた楽しい。

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