- 『モンスターハンター 英雄の条件』ゆうきりん

2010/09/13/Mon.『モンスターハンター 英雄の条件』ゆうきりん

『モンスターハンター 狩りの掟』の続編。前作に比べ、本作では実際の狩りに重点が置かれている。

狩り場の描写が、ゲーム内のマップやエリアの忠実な「写生」になっていることが大きな特徴である。随分と不思議な手法だと思う。あるいは、このような「再現」こそがゲームのノベライズなのだろうか。

一般的に、ゲーム内でなされる描写は妥協の産物である。「本当は」もっと広大な世界が拡がっているのだけれど、マシンパワーや製作費、ゲーム・バランスなどの制約によって、様々なレベルで描写は省かれる。零れ落ちていく世界の構成要素を補完するために、オープニングや作中でムービーが挿入されたりする。MH とて例外ではない。MH の各種ムービーで描かれるフィールドは、ゲーム内のものよりもずっと広くて深い。

ノベライズするのなら、ゲームでも暗示されている、このような世界の奥行きをこそ小説化するべきではないのか。そこに作家独自の感性を織り込んでも良い(織り込むべきだろう)。けれども、本書で描かれる狩りの様子はゲーム画面の写生である。それなら小説にせずとも、ゲームをプレイすれば良いのではないか。そう思ってしまうのだが違うのだろうか。

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