- ハメ手

2016/04/04/Mon.ハメ手

一週間前から将棋ウォーズを楽しんでいる。10分切れ負けで二百局ほど指し、今は四級をウロウロしている。見る将(観戦専門の将棋ファン)一年生の棋力はこの程度ということである。これ以上強くなるには、書籍などで勉強する必要があるように感じた。このクラスのプレイヤーはしばしばハメ手を使ってくるので、その対策をせねばならない。

ハメ手(はめて)は、囲碁・将棋などのゲームにおいて用いられるトリック戦法のこと。一見スキのある手を打ち(指し)、相手がそれに引っかかって欲張った手で対応すると、大きな損害を与える「罠」のような手段である。

多くの場合は、相手に正しく対応されると、ハメ手を仕掛けた方が大損害を受けることになる。なお、正しく対応されても互角に近いワカレになる手も存在するが、これをハメ手と呼ぶかは見解が分かれる。 正しく受けられれば損害を受けるハメ手をハメ手と知りつつ着手することは、勝負手などやむを得ないケースを除けば好ましい事とは評価されないことが通例である。

(ハメ手 - Wikipedia)

一般的にハメ手は嫌われる。「相手に正しく対応されると、ハメ手を仕掛けた方が大損害を受ける」ことが示す通り、ハメ手は最善手ではない。つまりハメ手を使われるのは、相手にナメられているからである。まずこれに腹が立つ。しかも対策を知っていないと「正しく対応」できず、まんまとハマってしまう。ハメ手は完全な合法手であり、ハマる自分がアホなことは重々承知しているが、それゆえ尚更に腹が立つ。仕方なくハマらない勉強をするのだが、最善ではない手への対応を覚えるのは、自分の望み=純粋な棋力の向上とは、どうも違うような気がする。こんなことに時間と労力を費やすことにも腹が立つ。

こうして、将棋が覚えゲー(プレイヤーに暗記を強要するゲーム)と化していく。覚えゲーの多くはクソゲーである。なぜなら、覚えゲーで覚えねばならぬことは、現実では全くの無価値だからである。ゲーマーはこの空しさを知っている。このあたりに、将棋の敷居の高さの一因があるように思う。

あるゲームのプレイヤーが充実感を得るのは、主に以下の状況である。一つは勝利の快感。二つは上達の実感、これは勝ったり負けたりする中で感じられる。そして三つは、たとえ負けても自分の全力を尽くしたときである。ハメ手を食らっての敗北は、いずれでもないところに問題がある。

ハメ手にはもう一つ、オンラインゲームにおける PK に近い性質があることも指摘しておきたい。

プレイヤーキラー (Player Killer, PK) とは、オンラインゲーム、特に MORPG や MMORPG において、他の PC に対し、何らかの目的(主に悪意)で攻撃を行う悪質プレイヤーを指して言う。その行為をプレイヤーキル (Player killing) と言い、これも PK と略す。

(プレイヤーキラー - Wikipedia)

ところで、ハメ手は「一見して悪手とは看破しにくい悪手」「防御を捨て攻撃に特化した手」と理解することもできる。棋理の観点では、ハメ手と悪手の区別は困難である。なぜ我々はハメ手にハマるのか。そういうことを考え出すと、覚えゲーがクソゲーでなくなる。ヘビーゲーマーが大抵のゲームを楽しめるのはこのためである。