- GATA6

GATA6 Expression

GATA6 mRNA は胚および胎児発生において、内臓内胚葉 (visceral endoderm)、心臓、肺、泌尿生殖器隆腺 (urogenital ridge)、血管平滑筋、消化管で検出される。成体では、心筋、大動脈 (aorta)、消化管 (gastrointestinal tract)で、また低い範囲で肝臓と肺にも見られる。

GATA6 欠損マウスは着床後すぐ (5.5 - 7.5 dpc) に、内臓内胚葉の異常と胚外組織の欠陥によって死ぬ。GATA6 の欠如は、内胚葉由来の気管支上皮 (bronchial epithelium) の形成不全を示す。GATA6 欠損 ES 細胞由来の胚葉体 (embryoid body) では、分化異常と GATA-4 mRNA の減少が伴って観察される。逆に、GATA4 変異体では GATA6 mRNA が増加する。これは、GATA6 が GATA-4 の発現を制御し、かつ、GATA6 が GATA4 を補償することを示唆する。

GATA6 → GATA4

マウス GATA6 遺伝子のプロモーターは 2つの NKE (Nkx2.5 binding element) を持ち、心発生における心臓特異的な発現に必須である。Nkx-2.5 は GATA4 によって転写され、GATA4 遺伝子は GATA6 によって転写される。これらは、遺伝子発現レベルでの GATA 因子増強ネットワーク (reinforcing network) の存在を示唆する。

GATA6 → GATA4 → Nkx-2.5 → GATA6

GATA6 遺伝子のプロモーターは、 NKE の他に、いくつかの Sp1 コンセンサス配列 (GC box)、多数の GATA エレメント、2つの E-box を持つ。しかし、SRF (serum response factor)、MEF-2 (myocyte enhancer factor-2)、TEF-1 (transcription enhancer factor) らのエレメントは持たない。したがって、Nkx2.5 は GATA6 の転写を活性化するが、MEF-2C、MEF-2B、SFR、eHAND、dHAND、TEF-1 らは GATA6 遺伝子の転写活性に影響を与えない。現在のところ、肥大刺激に対する GATA 因子の転写制御機構はよくわかっていない。

GATA4, GATA6 の過剰発現は、新生児ラット心筋の培養系および、トランスジェニック・マウスの心臓において肥大成長を促進する。同時に、anthracycline (抗腫瘍性抗生物質) によって誘導されるアポトーシスから心筋を守る。

References

Pikkarainen S, Tokola H, Kerkel R, Ruskoaho H. GATA transcription factors in the developing and adult heart. Cardiovasc Res. 2004; 63: 196-207.