- Book Review 2004/01

2004/01/27/Tue.

理系世界最高峰の大学として知らぬ者のない MIT(Massachusetts Institute of Technology; マサチューセッツ工科大学)、その創立から現在に至るまでをまとめたノンフィクション。

1865年、わずか 15人の生徒で開設された、今で言う専門学校のような大学であった。摩天楼が建ち並ぶ直前のアメリカ。当時、最も必要とされていた土木工学の知識をアカデミズムで教育することが、MITの当初の目的だった。それがどのようにして現在の地位を獲得したか、そのドラマティックな歴史の変遷が興味深い。

これを読むと、いかに日本の大学がつまらんかが身に染みてわかる。こりゃ勝てねえわ。なんせ MIT の奴ら、隣のハーバード大学を「古臭い」と一蹴。意気盛んに立ち上がるエンジニア達に幸あれ。アメリカの近代文明史としても面白い。

2004/01/05/Mon.

島田荘司御大 (俺や KID JOE兄は畏敬の念を込めてこう呼ぶ) の最新文庫本。あ、俺は文庫本しか読まないので、文壇事情?からは 3年ほど遅れている。申し訳ない。

レオナ再び

ハリウッドの日系女優・レオナ松崎の友人である有名女優が惨殺された。しかも犯人は、女優を拘束してから殺す瞬間までをビデオで撮影しており、あろうことかテープをロス警察に送ってきた。警察に協力するとともに、持ち前の好奇心から独自に事件を調査し始めるレオナ。ところが調査開始直後、同じケースの犯行が勃発。連続事件の様相を呈してくる。

それとは別に、記憶喪失の女性の物語が同時進行で始まる。この女性、ハリウッドで女優になるためにやってきたということは覚えている。ハリウッドに来る前は、故郷のイングランドで、恋人の神話研究者とともにフィールドワークをやっていたらしい。この二つの記憶しか残っていない。

ひょんなことからレオナの厄介になった彼女。ところが、記憶を失っている間に自分の臓器を抜き取られていることが発覚。国際的な臓器密売組織の陰がチラホラ見えてくる。レオナと協力して、その組織を暴こうとするのだが、どうもレオナの様子が異常で……。

老いてますます盛ん

この二つの物語が、終盤にかけてリンクしてくる。今回、御手洗潔はレオナの電話に出るというだけの役回りだが、相変わらずな爆発推理力を披露してくれる。御手洗、健在。御大、健在。

そして最後、意外な犯人が指摘されるわけだが……、いや、この真犯人は俺もかなり面白いものだと思ったが、何より驚いたのはこの作品が「二年後の大事件への序章」であるという事実。どうすんだ、御大。

それにしても、レオナ、イイ女になったな。