- Skyrim: 背景

2012/05/04/Fri.Skyrim: 背景

百時間あまりプレイして、ようやく Skyrim の背景が正確に理解できてきた。

以下に書くのは私が把握している Skyrim の内容だが、誤りがあるかもしれないし、面倒なので故意に端折っている部分もある。

Skyrim の舞台は、惑星ニルンのタムリエル大陸にあるスカイリム地方である。タムリエルはエルフ族に支配されていたが、アトモーラ大陸からノルド人が入植してきたことで争いが始まる。最初の国家をスカイリムに建設したノルドは勢力を拡げ、タムリエルは最終的——何千年後か——に、ノルド人の英雄タイバー・セプティムによって統一される。皇帝となったタイバー・セプティムは死後、タロス神として神格化された。したがって、ノルドの故郷スカイリムではタロス信仰が篤い。

その後、前作 Obrivion でタイバー・セプティム王朝の血脈が途絶え、帝国の支配力が弱まる。エルフは団結して独立戦争を開始、激闘の末、和平条約が結ばれることになった。表向きは帝国の勝利だが、エルフ連合は和平の条件として、帝国内でのタロス信仰の廃止を課すことに成功する(白金協定)。エルフにとっては宿願であり、タイバー・セプティム王朝と断絶している現帝国にも受け容れやすかったこの協定は、しかしノルドの怒りを買う。帝国が何とかエルフと和平を結べたのも、スカイリムが支援したからだというのに——。

やがて、ノルドが多数を占めるスカイリムで帝国からの独立機運が高まる。スカイリム内の九つの地域は、各首長によって統治されているが、彼らも独立派と帝国派に別れている。スカイリムの行方が混沌とする中、独立派の急先鋒であるウインドヘルム首長ウルフリックが、反帝国軍ストームクロークを結成する。帝国の排斥、ノルドによる自治、そしてタロス崇拝を掲げたウルフリックは、帝国派の拠点であるソリチュードの首長を惨殺し、独立戦争の烽火を上げる。スカイリムは一気に内戦状態へと突入していった。

……と、これがゲーム開始前の状況である。ゲーム開始後も、これらの事情が時系列を伴って体系的に示されることはない。プレイヤーは、人々の話(独立派か帝国派で、彼らの言い分も微妙に異なる)、各地に点在する断片的な書物から、徐々にこの世界で何が起こっているのかを理解していかなければならない(さらに、大半のプレイヤーが事態が飲み込めていない段階で、独立派か帝国派に属することを求められる)。

上記の粗筋は、かなり単純化したものである。これだけ読めば、ノルド独立派=正義のように思えるかもしれないが、そう簡単ではない。タムリエルには多様な人種が住まう。人間もノルドだけではないし、エルフも数種に分化している。また、アルゴニアンやカジートといった獣人も存在する。ウルフリックがいうノルド独立は、一方でノルド以外の種族の排斥でもある。彼の支配下ではノルドでない者は不当に扱われており、そのことに当のノルド人の一部も反対している(過去にウルフリックによってマルカルスを追放されたフォースウォーンが、テロリストのように振る舞っていたりする)。

その一方で、独立派・帝国派に関係なく、独自の信条で活動している個人や組織が存在する。彼らは本編に関わることもあるが、そうでなく勝手に動き回っている場合も多い。また、物語の開始と同時に、スカイリムにドラゴンが出現するようになる(これは Skyrim のウリの一つでもある)。ドラゴンの出現は、世界の意思の何らかの反映であることが示唆されており、この視点からは独立派・帝国派の区分も相対化される。Skyrim を第五作とする TES シリーズの世界には、エイドラやデイドラといった神々が存在し、プレイヤーを含む現世の者(定命の者)に干渉してくる。要するに、この物語も神々の遊びにしか過ぎないともいえる。

そんな世界で自由気儘に行動できるのが、Skyrim の面白さである。以下は前作 Obrivion のために作られた名作テンプレートだが、Skyrim にもそのまま当て嵌まる。

美しい世界を望むか? 広大な世界を望むか? 自由な世界を望むか?

万引きをしてみたいか? 暗殺者のギルドに入ってみたいか?

自分だけの魔法を、アイテムを作ってみたいか?

広大な森を散策し、ひっそりと佇む遺跡を探険してみたいか?

海岸を歩き、素潜りをして貝殻の中に潜む真珠を見つけてみたいか?

ヴァンパイアに血を吸われ、自分もヴァンパイアになって吸血してみたいか?

魔物に苦戦している時に通りすがりの旅人や街道警備の衛兵に助けられてみたいか?

幾つもの街があり、幾つものダンジョンがあり、数限りないクエストがある。
様々な種族があり、さまざまな人がおり、様々なモンスターが、様々なイベントがある。
全てが君のすぐ目の前にある。あとは好きにするがいい。

RPG はもう飽きたと思うかね?

なら最後に『Skyrim』を試してみるといい。