- ドラム太郎

2012/09/09/Sun.ドラム太郎

ドラムを叩く。数日ほどスティックを握っていなかったので、随分と腕の動きが悪い。ひたすら「てってってー」を打ち込んで調子を整える。もう少しテンポの速い曲も欲しいと思い、「てんらんどー」こと "Ievan Polkka" を試してみる。なかなか良い。

Ieva はイワン Ivan の系列名かと根拠もなく思っていたが、「Wikipedia - イエヴァン・ポルッカ」によると、イエヴァという女子名らしい。イヴ Eve やエヴァ Eva の系譜なのだろう。一方、イワンの由来はヨハネ Johannes で、その派生としてジョン John、ジャン Jean、ヨハン Johan などがある。

他にも、先日の訪米で出会った人を思い起こすと、クリス Chris はキリスト Christ で、ジョセフ Joseph はヨセフである。

これら popular name の語源が現代において重要な意味を持つことは少ないと思うが、文芸作品などではその人物の来歴や行末の暗示に使われる場合があり、基本的な智識を持っているとより楽しめることも多い。ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』はその代表的な例である。

日本に popular name はない。強いて挙げるなら一郎や二郎の類であろうが、これは本来、幼名や通称に近いものである(織田三郎信長など)。

ところで、二郎を次郎と書くことには納得できるが、一郎と太郎の関係は考えてみれば謎である。

すぐに思い付くのは、「太」は大字なのではないかという仮説である。大字とは「一、二、三」を「壱、弐、参」と書くアレである。複雑な文字の使用による文書の改竄防止が大字の目的である。一郎が二郎に書き換えられると不都合である、それで太郎にしたのだ、というのは一つの理屈である。しかし、なぜ「太」なのかという疑問には答えていない。

太郎と似た言葉に、太子がある。皇太子とは要するに天皇太郎のことである。太子の語は恐らく中華由来だと思われる。用例も太郎より古いだろう。太郎の謎を解くには太子の語義語源を探るのが良さそうである。これは後の宿題としたい。