- 推押

2012/06/25/Mon.推押

先日の日記で「個人的な作字・作語とその使用は以前からの課題」と書いた。あからさまな新語は簡単に作ることができるが、俺が求めているのは、例えば「漢字を組み合わせた新しい(そのくせ昔から存在しているように思える)造語」であり、気付かれないくらいが丁度好いと思っている。

勧める、あるいは奨めるという意味で「おす」というとき、普通は「推す」の字を当てる。一方で「押す」と書く人もいる。俺はこれを完全な誤用だとは思っていなくて、「push する」の訳語だと好意的に捉えている。また、「推す」は受け手を第一に考えての行為だが、「押す」は送り手の都合が優先されているといった、微妙なニュアンスの違いを感じ取ることもできる。当然、需要と供給が合致した win-win な「おす」もあり得る。そんなとき、「推す」「押す」を合体させて「推押する・される」という言葉を使ってみたくなる。スイオウとでも読むのだろうが、音を決めない方が引っ掛かりが残って良いかもしれない。

推押は非常に地味な造語であるし、こんなものを一つ二つ文章に混ぜても文芸的な効果は高が知れている。新しい表現を試みるならば、自在に使える単語を数百は用意しなければならないだろうし、それぞれに、せめて推押と同程度の背景も考えておく必要があるだろう。ちょっと気の遠くなる話ではある。