絵画教室三回目。三枚目となるデッサンのモチーフは、トイレットペーパーとトマト(の模型)。
例のごとくデッサンスケールで簡単に輪郭を取り、トイレットペーパーから描き込んでいく。まずは穴の開いた円筒を仕上げ、それから不必要な部分を消し、紙の出口となる部分を描き加える。練り消しでタッチを大胆に消していくのはなかなか愉快である。
トイレットペーパーらしくなってきたところで本日は終了となった。トマトには全く手を付けていない。絵具なら全体的に少しずつ色を乗せていくのだと思うが、デッサンはまた違うのだろうか。それとも初心者向けの配慮なのか。不明である。
これまでの六角錐や円柱に比べ、やや描き甲斐のあるモチーフとなったため、より集中してスケッチブックに向かうことができた。二時間など瞬く間である。
夜は天麩羅屋に行った。
太刀魚というのはよく焼いて皮や身がカリカリパサパサになったくらいのところに醤油をかけて喰うのが美味いのだとばかり思っていたが、この店で出てきた太刀魚の天麩羅は非常に瑞々しくて柔らかく、一口食べても何の魚か判別できぬくらいであった。もちろん美味である。三十歳になって己の太刀魚観が変わるとは想像もしていなかった。やはり食事に金を惜しんではならぬ。
「丸十」(まるじゅう)という言葉が薩摩芋を指すことも知った。
薩摩芋は、日本料理の献立に「丸十(まるじゅう)」と書かれることがある。これは、薩摩藩島津氏の家紋が丸に十字であることが由来だとされている。
勝手に隠語を作って粋がるのは悪しき似非貴族趣味であり、「丸十」にもその気配を感じる(そもそも薩摩芋を隠語で呼ばねばならぬ状況が想定できない)。知識としては面白いが、実際に使う機会はないだろう。