- 地震予知について

2011/03/13/Sun.地震予知について

宮崎の噴火や東日本の地震のような災害が起こるたびに思うのは、火山の噴火「予測」や地震の発生「予知」の科学的いかがわしさである。

擁護しておかねばならないが、日本の地震研究のレベルは間違いなく世界一であり、防災への社会的取り組みや国民的関心もまた世界随一である。それでもなお、科学的に地震を予知するのは(まだ)不可能だというのが現在主流の認識である。

(地震の発生はむしろ chaotic ですらある。過去の観測記録から「○年周期で云々」と語るのは、統計学的ないし確率論的な推理に過ぎない。このような data で地震を予知するのは、放射性原子の崩壊を予測するようなものである。我々はある原子集団の半減期を知ることはできるが、特定の原子がいつ崩壊するかを知ることはできない)

地震の予知を可能にする科学的原理が存在する可能性はあるし、そのためにも研究は続けられなければならない。しかしもっと、地震予知は「現段階では極めて」困難であることは啓蒙されて良い。

ところで、気象庁は、地震予知は困難という態度をはっきりと表明している。

役所だから当然といえば当然である(「予知できる」と言明して予知できなかったら袋叩きにされる)。

ともかく、地震予知の可能性を誇大気味に宣伝しているのは科学者の側であるらしい。地震「予知」学者どもが政府の膨大な予算を蕩尽し、静岡県民を散々に脅した揚げ句、阪神大震災については何の警告も発していなかったのは有名な話である。あれだけの金を使えば、当時でも日本人の genome を解読できたのではないか。

繰り返すが、日本の地震研究は極めて優れているし、また地震予知の研究も続けられなければならない。ただ、研究の進捗は科学的に厳しく判定されなければならぬし、その現状は正確に伝えられなければならない。国民の地震への関心が高いのだから、なおさらである。