- これからの本屋

2011/02/21/Mon.これからの本屋

Amazon や電子書籍に圧倒され、本屋の経営が厳しいと聞く。この流れに対し、大手は街中に巨大な店舗を出し、利便性と品揃えで対抗しようとしている。しかしこの戦略は基本的に間違っている。

流通しているモノの大半は本の形をした便所紙の束なので、書店としての方針を変えずに床面積だけを増やしたところで、便所の拡大にしかならない。読書家=単価の高い客が足を運びたいのは、本屋であって厠ではない。だだっ広いトイレを歩いても足が疲れるだけである。

これから生き残るのは、良書ばかりを揃えた本屋であろう。どの本を買ってもアタリ、少なくともハズレではない——、そういう書店が理想である。この条件で全ての分野をカバーするのは難しい。そこで専門化が進む。探偵小説ならこの店、医学書ならあの店、という具合である。これは古書店の在り方に近い。古本屋の息の長さ、しぶとさは見習うべきである。というよりもその内、専門化した書店と古書店は融合していくのではないか。同じ本を扱っているのだから、分かれている必然性はない。

このような本屋が寄り添って街を作れば、赤字覚悟で大袈裟なビルを建てる必要もなくなる。各書店には同好の士が集うので、自然とコミュニティが形成され、同人活動なども盛り上がるだろう。

前々から思っていることだが、本屋はもっと客単価を考えるべきではないか。ベストセラーは一時的な収入になるかもしれないが、そのような本だけを手に取るような連中と、水を飲むように本を読み続ける者とでは、生涯を通じて本に使う金額が大きく異なる。逆に言えば、一年に一冊の本を買う百人と、一年に百冊の本を買う一人は、金額的に同等である。どちらに訴えかけていくべきかは自ずと明らかだろう。