- 中期的な理想と打算

2011/02/17/Thu.中期的な理想と打算

ボスに offer のあった、日本語の総説と英語の本(の一章)を執筆させてもらっている。主題はいずれも同じで、私の二本目の論文(とその周辺の知見)についてである。転職と重なってなかなか大変ではあるが、可能な限り良いものに仕上げたい。

Acceptance より citation、citation より invitation の方がやはり鼻が高い。とはいえ、論文が accept されない限りこのような流れは生じないので、結局は論文を publish すること、論文にするべき results を得ることが一番の歓びであることには変わりない。過去の業績を誇ったり、他人の評価を気にするようになれば終わりだろう。

以下は、そのような理想とは乖離した世知辛い打算の話である。

既に述べた通り、平成二十三年度からは所属を変える。普通に考えて、新しいテーマで平成二十三年内に論文を書くのは困難だろう。そこで、今年中に確実に業績となる上記の総説がありがたい存在となってくる。

次のラボでの任期は三年である。その後のポストを探すためには平成二十五年に動かねばならない。そのときに高い評価を得ようと思えば、是非とも平成二十四年の論文が欲しくなる。その論文を書くためには、平成二十三年に基礎的な data を出しておく必要があるだろう。つまり……、平成二十六年度からの働き場所を獲得したいなら、今年はしゃかりきになって働かなければならない、ということである。

このような情けない計算をせずにはおられないからこそ、冒頭の気持ちを忘れたくないと思う。肝に銘じておくため、ここに書いておく。