- 御万歳

2009/04/07/Tue.御万歳

花粉と戦いながら散歩をしている T です。こんばんは。

観桜記

日曜日から今日にかけて、桜が咲き誇っている。日本人で良かったと思う季節である。

ここ数年は欠かさず桜の写真を撮ってきたが、今年は撮影しないことにした。桜はパッと咲いてパッと散る、それ故に我々は桜を愛する。桜を写真に固定するのは花見の精神と正反対の行為ではないか——。そんな気がしたからである。

それで気付いたのが、桜の絵の少なさである。松竹梅、菊、牡丹ほど描かれていないように思う。その愛され方に比して、桜の日本画は驚くほど少ないのではないか。機会があったら調べてみたい。

おばんざい

京都でよく見かける「おばんざい」という言葉だが、これは漢字で「御万歳」と書き、特に断りがない限り、帝に対して捧げる万歳を指す。都で官に任じられた者は、朱雀門から紫宸殿に向かって万歳を大唱し、百王相続と本朝の繁栄を祈念する。

現在でも、地方から京都に赴任してきた者は、年配の方から「おばんざいしてきはった?」と訊かれることがある。御万歳をしていない者は京都人として認めないぞ、というニュアンスが言外に込められている。もう 4 年前のことだが、引っ越してきたばかりの俺も、御所へ行って御万歳を捧げてきたものである。

御万歳は古式に則って行う必要がある。万歳の正式な作法は、明治時代に太政官布告第百六十八号 (いわゆる万歳三唱令) として明文化されている。