- 楯の会

2008/05/20/Tue.楯の会

歯が痛いのでスポーツ・ジムをサボった T です。こんばんは。

やっぱり木製の盾にのみ「楯」の字を使うのだろうか。そういえば、三島由紀夫が組織した国粋集団の名称は「楯の会」だが、確かこれは万葉集からの取材だったはずだ。検索したら下の歌が出てきた。

今日よりは顧みなくて大君の醜の御楯と出で立つ吾は

『万葉集』「巻二十 四三七三」(今奉部與曾布・詠)

「醜」という字は謙遜の意で使われるものらしい。「拙者」「愚僧」の類か。初めて知った。

この歌は防人歌である。祖国防衛論を唱える三島は何か感じるものがあったのかもしれない。しかし、過酷な徴集と過重な負担に苦しんだ防人の実態は、「楯の会」のような自発的に組織された理想的同人や、文民統治を原則とする志願制の自衛隊などと異なり、三島の想いを重ね合わせる対象としては無理がある。少なくとも私はそう感じる。

『万葉集』に登場する防人が、日本人のロマンチシズムを誘う存在であることは間違いない。だが、冷戦構造によって危うい均衡を保っていた当時の世界において、「楯」の字にどれほどのリアリティがあったか。もっとも、「楯の会」そのものが、ロマンチスト・三島の「作品」であるという観点に立てば、そんな評も虚しいのだけれど。

研究日記

テクニシャン嬢は体調が恢復せず本日も欠勤。午前中にボスとディスカッション。国際学会の抄録締め切りまで後少し。ボス、研究員嬢とともに昼食。国内学会の抄録を一つ応募する。明日のセミナーの準備。論文の figure 作成に手を付ける。「その気になれば文章なんて 2〜3日で書けるんや。Figure や figure!」とはボスの弁。大学の動物実験施設に寄って薬剤の補充。