- Be Still Student

2008/04/25/Fri.Be Still Student

学生の T です。こんばんは。

自分でも忘れがちだが。

研究日記

職場近くの飲み屋がリニューアル・オープンしたので行ってみたら、経営者というか店の主人も変わっていた。のだが、内装はそのままでメニューも似ており、以前の店とはどういう関係なのだろうと気になった。

参加者は俺、テクニシャン嬢、研究員嬢、大学院の K先生、そして途中から隣の研究員嬢も参加。店の主人から「学生さん?」と尋ねられた女性陣は、「そんなに若くないですよー」などと応えている。実はオッサンである俺と K先生は大学院生なのだが、話がややこしくなるので黙っていた。

医者の大学院生は「バイト」と称して、勤務医ではなくパート・タイムとして臨床に携わり収入を得る。書類上は「アルバイター」になるんだろうか、医者なのに。などということを考えた。

俺は今学振の書類を書いているのだが、仮に採用されれば奨励金を受給するために病院のポストを譲り空けねばならない (収入のある人間に奨励金は給付されないので)。そうなればもはや社会人大学院生ではなく、完全に「学生」となってしまうのだが、別に「社会人」であることに拘りがあるわけではないので構わない。大切なのは自分の仕事を認めてもらい収入を得ることだ (研究職の場合、それが「報酬」でないところに話のややこしさがある)。学振 (DC) の採択率は 20% なので、今から皮算用をしても始まらないのだが。

大学院4年生の H先生は既に 2本の論文を publish しており、今年度いっぱいで卒業することが確定しているが、彼もまた学振の申請をしていることを大学の秘書女史から聞いた。博士号取得後なので PD ということになるが、臨床に戻らず研究を続けられるのだろうか。それとも留学されるのか。H先生は大変優秀な方であり、その去就が注目される。学振 (PD) の採択率は 10% 強とさらに厳しくなる。

臨床か研究か。H先生のような選択が許されるのは、俺が所属している科に沢山の医者がおり、臨床の人手が既に充分であるからだ。小児科や産婦人科など医者が不足している科では、どれだけ優秀でも研究に集中することなど許されず、大学院を卒業すれば必ず臨床に戻る、という話はよく聞く。これらの科では、大学院生は「学生」というよりも「大学から派遣される医師」としての業務が多く、大学院生が払底すれば過疎地域の医療は崩壊するとまで言われているらしい。

俺は何を呑気に学生などやっているのだろうか。そもそも「研究」という仕事自体が呑気ではある。小児科の医師が一人辞めるとその地域の子供と母親が困ってしまうが、俺が研究を辞めたところで誰も困らない。つくづく実社会から求められない職種だなと思う。まさしく虚業。それだけをもって研究を卑下するわけではないが、この問題に関してはいずれ自分の中で妥協なり決着を見出さなければと、常々考えている。時間はかかるだろうけれど。

一人の人間として誇りをもって仕事を続けるにはどうすれば良いのか。「好きなことをやる!」というバブル期のリクルートのような文言で自分を騙せる期間はそれほど長くない。