- In Nature

2008/02/05/Tue.In Nature

『ゴルゴ13』を読みながら「文字が多いなあ」と思ってしまった T です。こんばんは。

「こりゃダメだ」と思った。さっさと寝よう。

研究日記

Dr. A から、accept された論文の PDF ファイルを頂戴した。前のラボで、私もほんの少しだけ実験させてもらった仕事だが、論文に関しては何もお手伝いしておらず、恐縮の極み。本当にお疲れ様でした。

ボスは長期出張中。論文を再投稿したので、差し迫った仕事もなく、次は何をやろうかなあと考えながら勉強したり。これではダメなんだが、いや、まァたまには良いだろう、とか何とか。で、ダラダラ。

iPS 細胞について: 生物学的にどうよ?

iPS 細胞について調べながら思ったことを少し。

マウス iPS 細胞のことを初めて知ったのはいつだったか。就職してからであることは間違いないが、どうも思い出せない。「ああ医者の発想だな」と思ったことだけは強烈に覚えている。「タンパク質は化学物質」という世界を覗いて、「ああ化学者の発想だな」と感じたのに似ている。以前にも書いたが、これは悪い気分ではない。学問の豊饒を感じたものである。

今、私の周りには医者しかいないので、iPS 細胞に対する生物学者の感想を聞く機会がない。iPS 細胞についてまず私が思ったのは、「それは nature な現象ではない」ということである。数個の遺伝子を導入するだけで体細胞の性質が ES 細胞様に変化するのはスゴく興味深いし、そこから重要な発生学的・細胞生物学的知見が得られるのは間違いない。散々いわれている通り、再生医療の実現化にとっては大きな一歩でもある。生物工学的な価値は計り知れない。そられを承知の上で、諸々を取っ払い、iPS 細胞に対する純粋な私の第一印象を探して行くと、やっぱり「でも nature じゃない」という場所に行き着く。だからどうした、というわけではないのだが、私の思考の出発点はそこにあるらしい。

この話を院生の K先生にすると、「理学部だねえ」と言われた。どうだろう、私の感覚がまともであるという自信は欠片もないが。

もっとも、nature か否かで何かを判断している、というわけでは無論ない。例えば現在の化学は、ひたすら nature にあらざる物質を合成しまくっているが、だから科学的価値が云々とは毛ほども思わない。

ところで、「遺伝子組換え作物は nature じゃない。食べたくもない」と批判する人は、病気になっても薬 (= nature には存在しない物質) を飲まないんだろうか。大いに疑問であるが、そんなことは考えたこともないんだろうな。iPS 細胞については何て言うのかな。聞きたくもないが。

話を戻すと、iPS 細胞を使った研究を行うことを考えたとき (研究費の申請を仮想するとわかりやすい)、どうにも医学的・工学的なアイデアしか湧いてこないことに気付く。もちろん私の頭が悪いだけなのだが、生物学的 (この言葉の定義も曖昧だが) に iPS 細胞をどう使うかは、意外に難問である。基本的に ES 細胞で済むわけだし。あるいは逆に、その価値の大半が実用面に偏っているのが iPS 細胞の特性の本質である、ともいえるわけだが。

Web 日記

ネットが空間的格差を埋める (埋めた) という評はよく見るが、様々な blog を読んでもたらされるのは、「やっぱり東京には人が沢山いるのだなあ」という再認識。垂れ流される情報によって、むしろ地域格差が顕になりつつあるのでは、という気さえする。もっとも、これは不可視だったものが見えるようになってきたというだけの話で、絶対的な空間格差はやっぱり埋まりつつあるのは間違いない。社会は進歩している。

ナンシー関がよく書いたことだが、「東京の人は、東京の地理が自明であるように表現する」。例えば私は新宿と渋谷と池袋の位置関係をよく把握できていないが、東京人は、そんなことは日本人なら全員知っていると思っているらしい。これはムラ意識だな。「そんなことウチのムラでは当たり前でねえか」。んなこと知らねえよ、と外部の人間は思うのだが、どうも通用しない。

昨日の日記で唐突にオフ会のことを書いたのは、このことと関係している。ず〜っと以前に、「オフ会は開催しないのか。東京でやるのなら行くが」という提言を頂戴したことがある。何が悲しくて俺が東京でオフ会を開かなければならないのかと面食らったが、東京人にとってイベントとはそういうものであるらしい。

ネット知人とオフで会った経験なら私にも何度かあるが、それはどちらかといえば偶然的・突発的に邂逅する機会を得たという差しオフであり、「いわゆるオフ会」ではない。「いわゆるオフ会」が「会うこと」そのものを目的としているのが、俺にはちょっと重たいんだよな。

じゃあ「ついでにオフ会」みたいなのはできないかな、と考えて告知してみた。これくらいユルいのが俺には良いよ。