- 数字を出せ

2007/07/09/Mon.数字を出せ

引き続き、白土三平『カムイ伝』を読んでいる T です。こんばんは。

急いで読んでいるわけではないけれど、それにしても終わらない。ヘビーだ。

Web 日記

Blog Scouter というサービスが面白そうなので、ページの左下に付けてみた。しばらく様子を見て、気に入ったら続けてみよう。

アルゴリズムはよくわからないが、とにかく数字だけで評価するというのは潔い。アレだコレだと、定性的で無定義なものよりはシンプルで良い。情報化とは、無駄な情報を付け加えて垂れ流すことではない。本当に情報化された社会では、むしろ情報量が減るんじゃないかと私は思っているのだが、これはまた別の話。

研究日記

終日大学。

RI 施設に引きこもっていたので、少し頭が痛い。放射線に当たったからではなく、放射線が漏れないように締め切られている RI 施設の空気が悪いため、であろう。使った RI は 14C。半減期は 5730年だから、すぐに人体に影響が出るようなものではない。レントゲンの方が危険であるし——、換気されていない RI 施設の空気の方が、よほど身体に影響がある。

放射性同位元素というものは自然界にも普通に存在する。私達の体内では、毎日膨大な数の原子核崩壊が起こっている。アイザック・アシモフ『体内でおこる爆発』の試算によれば、毎秒 3万8000個の 40K が体内で崩壊している。こういう具体的な数字を出すと、あるいは恐怖感を覚える人がいるやもしれぬ。しかしそれは錯覚だ。疑似科学がよく使う手である。

原子レベルの現象において、どだい万や億という単位など、高が知れている。ヒトの身体を構成する細胞は 60兆個に及ぶ。上述の例であれば、6.0 × 1013 / 3.8 × 104 = 1.58 × 109、つまり、 40K の崩壊が60兆回に達するには、15億8千万秒 = 約51年もかかる。1つの細胞内で 40K の崩壊が起こるのは、一生に 2度あるかないかという程度だ。そのときに放出される粒子が DNA にブチ当たって変異が起きる確率は 0 ではないが、天文学的に低い割合である。そんなことを心配するくらいなら、交通事故に気をつけた方がよろしい。

こういう錯覚は、日常生活でもよくある。それが計算可能な事柄であるならば、一度定量化してみるのも無駄ではない。