- 原理的に応用する

2006/08/28/Mon.原理的に応用する

大学院の願書を書いた T です。こんばんは。

応用とは原理を知って初めてできることであり、応用化されたものを利用するのは単なる消費でしかない。それが悪いというわけではないが。

研究日記

病院 → 大学。

てこずっていた micro RNA の RT-PCR が、どうやら系として使えそうなくらいには確立できた。予備的に行った今日の実験では、充分に定量化できそうな感じだったので、明日は一つトライしてやろうかと思っている。メーカーからマニュアルを取り寄せるなどして勉強した甲斐があった。キットばかりに頼っていてはいかん、やっぱ基本が大事だよ基本が。などと誰に言っているのだ俺は。

科学の基本というのは原理であって、これは頭を使えば必ず理解できる (はずの) 事柄である。それゆえに爆発的な進歩があるわけだが、その爆風に吹き飛ばされて理屈の勉強を怠ると、しばしばドツボにはまる。例えば、ある程度以上に美しい写真を撮影しようとすれば、カメラの機構に対する知識がどうしても必要になる。倍率を高くし焦点を絞れば視野は暗くなるが、だからといって光度を上げればディティールは彼方へと消えてしまう。ならばここは暗めに抑え、Photoshop でコントラストをつけるか。というようなトータルな判断は、写真、カメラ、デジタルな画像処理といった各工程の基礎的な仕組みを理解せねば不可能である。

なんて、たまたま俺が顕微鏡写真の撮影が好きだからエラそうに書いているが、他の場面ではトンデモない間違いをしでかすことも多い。襟を正さねば。

そういえば先日、テクニシャン嬢にキットを使った PCR を頼んだところ、「dNTP を入れなくても良いのか」と確認された。そのキットのバッファーにはあらかじめ dNTP がミックスされているのでその必要はないのだが、それはまた別問題である。プロトコルを見て「アレ?」と思った彼女の中には、確実に原理が生きている。同じ仕事を頼まれて、何の疑問も覚えずに作業を始める人もいる。別にそれを否定するつもりはないが、そのような状況を「見て」しまった俺はまた、誰かに「見られている」はずの俺、というものも再認識したのだった。

何というか、今の仕事では色々と気付かされることが多くて勉強になる。感謝。