- 生き急ぎ

2006/08/21/Mon.生き急ぎ

「26歳でそんな仕事のやり方をしている奴はいないよ」と言われた T です。こんばんは。

俺もそう思う。普通なら、博士課程の 2年生だもんなあ。

研究日記

大学 → 病院。夜はセミナー。

我らがグループは明後日から夏休みを取るので、病院での細胞培養も打ち止め。クローニングなどを進めながら、積日の課題であったサンプル整理に乗り出す。テクニシャン嬢達は、俺が要不要の判断を下さない限り、全てのサンプルを保管する。捨てることはないため、時間が経つにつれて保管場所は圧迫される。定期的に点検して大掃除をしなければならないのだが、こういう仕事はついつい後回しになってしまう。今日は皆で確認しながら、かなりの量を廃棄した。

同じく数が増えて混乱しがちになってきた、ベクターとプライマーの整理も敢行する。この 1年で作ったベクターが数十、プライマーは以前からあったものを含めて 100を越える。わかりやすい一覧表を作って整理を進める。例えば RT-PCR 用の GAPDH プライマーだけでも、ヒト特異的な GAPDH、マウス特異的な GAPDH、ヒトにもマウスにもかかる GAPDH など、数種類が混在している。俺だけが理解していても何の意味もなく、なかなかに細やかな配慮が必要とされる。このような気遣いが評価されることは少ないが、これを怠る研究員は例外なくテクニシャン諸氏から酷評を買っている。こんな影の努力が男の背中を広くするんだよなあ、などとニヤニヤしていたら、「思い出し笑いをしないで下さい」とたしなめられた。こんな立場、マゾ気質じゃないとやってられんよなあ。

micro RNA の実験は微速前進といったところ。これは俺のテーマではなく、新人研究員嬢に対するヘルプなのだが、何にせよ実験が進むのは喜ばしい。このように、今のラボでは、複数のテーマを複数の人間がクロスオーバーしながら進めている。頭がパンクしそうになることもあるが、色々な研究に関われるので勉強になる。と思わないとやっていられない。こういう体制下では、仕事の分担がしばしば不均等になる。俺が背負い込むのは何ら構わないが、我らがテクニシャン嬢達の仕事が、他のグループの諸氏に比べて多くなるのは好ましくない。ときには政治的配慮も求められ、それに応えるのもまた我が仕事である。

新しい培養室に導入する機器の見積もりが届き始める。論文読み、学会の準備などを少し。勤務時間に対する実験時間の割合がどんどん減りつつある。こんなことで良いのか、と不安に思うこともあるが、とりあえず今は突き進むしかない。明日は大学に院試の願書を取りに行く。ま、貰うのはタダだし。

ホント、どうするのが一番良いんだろうな。