- Evidence Based Medicine

2006/07/17/Mon.Evidence Based Medicine

滅多に薬は飲まない T です。こんばんは。

研究日記

病院で細胞の世話。4000万個程度に増えているはずの細胞が、なぜか 600万個しかいなかった。なぜ? 相当ヤバい。

昨日の続き。医学的には、治療に貢献できるかどうかが最重要であって、その作用系の解明は副次的なものである (場合もある) という話をした。

「EBM」という言葉を、就職してから初めて聞いた。意味を知ったとき、俺はひっくり返ったものである。EBM は「evidence based medicine (証拠に基づいた薬)」の略で、「これからは分子生物学的な研究結果を元にした薬の時代ですよ」というキャッチなのだが、「これからは」ってどういうことよ。これまでの薬は証拠がなかったというのか。驚いたことに、どうもそうらしい。つまるところ、「薬剤某を投与したら症状がどうなった」というのが臨床研究なのであり、「どう作用しているか」は二の次なのである。臨床研究は経験知の集積であり、そこから何らかの相関を見出して系の解明に至ることはあっても、その逆は極めて稀である。「その逆」というのは、まさしく俺のような基礎学徒が行っていることなのだが、まァ、そのくらい発想が反対なのだ。

であるから、「nature かどうか」を気にする人がいないのも、当然とはいえる。反対から見ているんだから。例えば、融合タンパク質は俺にとって nature の代替品でしかないが、彼らにとっては nature に「近付く」ためのものである。このくらい違う。頭が痛くなるときもあるが、視野を広げられることも多い。何事も経験だなあ。