- シミュレーションは予測する

2006/05/11/Thu.シミュレーションは予測する

久々にゆっくりと食事をした T です。こんばんは。

シミュレーション

シミュレーションの目的は予測であって模倣ではない。既知の現象をよく模倣する近似系は、未知の現象もよく模倣するだろう。すなわち予測である。予測の的中は科学の勝利の一つだ。例えば、ニュートンの力学系は非常に精度の高い近似系であった。そのため、天体の摂動を計算することによって、当時発見されていなかった海王星を、まさにその位置に見付けることができたのである。

さて、我らが生物学の分野でシミュレーションの盛んな領域は、遺伝や生態、神経ネットワーク等であろうか。しかしこれらのシミュレーションは、いまだ模倣の域にすら達していないというのが実情である。例えば、遺伝学で我々が手にしているのは、遺伝のメカニズムと、遺伝される情報(つまりゲノム)程度。「ここに変異が起きるとこのような表現型が出る」という予測が可能になって初めて、遺伝学のシミュレーションは完成する。既知の現象を再現するのに躍起になっているのでは、まだまだ。だからこそ面白いともいえるが。機械的なニューロンによる思考の再現とかね。

非常に SF チックではあるけれど、「現実性の多寡」と「原理的に可能かどうか」は全く別問題。前者が応用科学、後者が基礎科学ともいえるなあ。

研究日記

大学 → 病院。病院では院生の先生に説明したりしながら少し手を動かす。事務仕事多数。今日も早めに切り上げて帰宅。