- 正解のない問題

2006/04/04/Tue.正解のない問題

知ったような人間になりたくないと思う T です。こんばんは。

「正解のない問題こそが本当の学問だ」とエラそうにいう人がいるが、少なくともこの命題は、自然科学には当てはまらない。自然科学における正解とは「事実」や「現実」であって、それが「わからない」というのは、要するに、見えていないとか(観測限界)、調べていないとか(人手・金銭・時間的な問題)、ロジックに誤りがあるとか(未知のファクターや不確定要素)、方法論が確立されていないとか(技術的問題)、あるいは考えたこともないとか(私の問題)、そういう理由による。

ところで、数学は自然科学ではない。だから、1 + 1 が 2 でない数学が存在する。「1 + 1 = 2」というのは、事実ではないからだ。

こういうことをこそ、学校で教えるべきではないのか。「正解のない問題こそ〜」という台詞は、大学進学を希望する学生に向かって進路指導の教師がのたまわっている、というイメージが強い。教師の大半は文系であるから、そのような学門観がまかり通るのであろう。そういう学問もある。しかし、それは一部でしかない。理系の学問に税金が投入されるのは、そこに正解があるからだ。神経を逆撫でするために、正解を金で買っている、と書いても良い。税金とは、そのようなタイプの事柄にしか予算が下りないものである。

行く先に正解がないのならば、大半のサイエンティストは明日から転職を考えるんじゃないか。