- Diary 2006/01

2006/01/31/Tue.

鉄板焼き屋に連れられた T です。こんばんは。

研究日記

昨日の日記で、「明日は初めての実験を行う予定なので、気合を入れていきたい」とか書いといてアレだが、今朝は 1時間ほど寝過ごして遅刻。相当キテる。

IP Western に挑戦する。今日はサンプルを沈降させただけなので、実際に成功しているかどうかがわかるのは明日以降。貴重な割に大量のサンプルを必要とするので、いささか緊張する。数十 mg 単位で得られる大腸菌の recombinant が懐かしい。あれぐらいの収量があればなあ。

今夜は先生と 2人で会食。日付が変わってから帰宅。今月のゴルゴ13 を読んで寝る!

2006/01/30/Mon.

怪しげなメキシコ料理屋に連れられた T です。こんばんは。

研究日記

雇われ研究員である俺は、ラボにとって外部の人間である。だからといって粗略に扱われているというわけではないが。しかし少なくともボスにとって、俺は人間関係における緊張が薄い相手であるらしい。ときおり、「アナタにしか言えないことなんだけど」といって話を持ちかけられる。

今夜はボスと 2人で会食。色々とディープな話を承る。ボスが俺にしか話せないようなことだから、もちろん俺が誰かに語れる話ではない。ある種、情報の吹き溜まりと化している俺。「同期」という存在が羨ましくなる瞬間である。テクニシャンの方々とか、同僚と呼べる人々は周りにいるけれど、俺が微妙に浮いたポジションにいるせいか、胸襟を開くというまでには至っていない。異郷の地で 1人、俺の身近に友人がいないのもこうした心境に拍車をかけている。またバーのマスターにでも話を聞いてもらおう。

日付が変わってから帰宅。明日は初めての実験を行う予定なので、気合を入れていきたい。

2006/01/28/Sat.

大抵はイジくる側なので、イジくられるのには慣れていない T です。こんばんは。

あぶない刑事の実態

電車で隣に座った集団の会話がおかしくて笑いそうになる。しかしもちろん笑うわけにはいかない。そう思うと余計におかしい。以下、勝手に会話を再現する。

「何で『あぶない刑事』って、あんなデカいサングラスいつも付けてんねんやろ」
「実は常に目が泳いでるとか」
「グラサンないと喋れへんみたいな」
「常にタバコ吸ってんのは落ち着くためか」
「1日 30箱は吸うらしい。あらゆるポケットにタバコが入ってる
「30箱って 600本やで」
「2分に 1本は吸う」

文字にすると、何がそこまで面白かったのかわからない。ツボにハマるとかハマらないとかは、やはり空気の問題か。

研究日記

別の研究室の U先生のベンチを勝手に拝借していたら、本人が登場されて焦る。

俺「すみません。お借りしています」
U「ええよ、ええよ。よう働くなあ」
俺「ハハハ」(自分でも驚くほど空々しい笑いだったので冷や汗が出た)
U「どう? 線虫が恋しくない?」(この切り返しで更に冷や汗が出る)
俺「確かに楽でしたねえ。細胞は世話がやっぱり……」
U「はっはっは。人間が一番大変よ」

先生の最後の発言の意味がよくわからない。この先生は密かに知られる韜晦家でもあり、何かに引っかけた、というか俺を引っかけようとした印象もある。深読みし過ぎだろうか。

  1. 先生は医者である。「研究より患者の診察が一番大変よ」
  2. 直前の細胞の話題を受けて。「ヒトの細胞が一番大変よ」
  3. 実験者と実験対象の比較。「実験する人間が一番大変よ」
  4. もっと大きな意味で。「研究より人間関係が一番大変よ」

どれだろう? どれにでも取れる。からかわれたのかなあ。

2006/01/27/Fri.

この数年間でずっと続いているのは日記だけなのではないかと、少し自分が心配になった T です。こんばんは。

何だかんだいって、1人暮らしは気楽である。しかし、どうも学生時代とは意味が違ってきたような気もする。働き出してから、義務・義理・責任・拘束なんかが学生の頃よりは増えた。しかし逆にいうと、それさえ押さえておけば後は勝手というか。学生時分は、「まだ学生だから」「親の脛を齧っているから」という意識がいつも日常にうっすらと張り付いていて(当たり前のことだが)、それで自分を律することもあったし、律せられた場合もある。

個々人の考え方や環境によっては、異なる見解もあろう。何が良いという問題でもない。あなた自身はどうですか? とでも書けばスピリチュアルな日記になるのかもしれんが、そこまでできた人間ではない。ゴメンね。

Web 日記

そろそろサイトを大幅にリニューアルしようかと思っている。理由は色々とあるが、結局は「飽きた」という点に落ち着く。今までもそうであった。これからもそうであろう。この理由以外(「読者様の利便を考えて」とか「サイトの収益を上げるために」とか)でリニューアルする人は立派だと思う。皮肉でなく。俺のサイト運営は趣味だから、好きなようにやるつもりでいる。

とはいっても、やるからには凝りたい部分もある。凝らなきゃ趣味じゃないだろ。このサイトのリニューアルは「進歩」の賜物であるように、とは思っている。見た目を変えるだけではつまらない。フォントいじりから始まったこのサイトも、今や blog like な機能と外観を有するにまで至った。そろそろ、再び飛躍のときである。みんな blog 書いているしな。次は何だ。Ajax か。しかしこれらは、サイトの裏側の話である。多分に自己満足で、読者には基本的に関係ない。むしろ中身の方が大事で、こちらについても考えていることはある。

ゲームもしてみようかと思う。どれくらいの人間をこの場所に集められるか、というゲームである。具体的なことは何も決めていないので、まずはルールを作らねばならない。極端な話、アダルト・サイトを作れば、それが一過性であっても人は集まる。それじゃあ面白くない。

いつになるかはわからないし、実現する保証もないけれど、そんな気分の昨今である。

2006/01/24/Tue.

「月火水木金正日」という 7文字に笑った T です。こんばんは。

自炊日記

おでんの素が残っているので、またおでんを作る。「おでんのだし汁でうどんを煮込むと旨い」と、たこのまくら氏が日記に書いておられたので試してみた。確かに旨い。

実はもう 1回分、おでんの素が残っている。うどんとくれば、あとは飯しかのこっていない。おでん雑炊か。旨いのだろうか。

2006/01/23/Mon.

昨夜の雪にやられた T です。こんばんは。

こじらせながらも辛抱していた風邪が悪化、ついにダウン。今日の仕事は病欠。情けない。

北方謙三先生も『試みの地平線』でおっしゃっておられるが、ハードボイルドやダンディズムの基本は、滑稽なまでの痩せ我慢にある。我慢は、我慢し切ることによってのみ我慢として完結する。今回の俺のように途中でダウンしてしまえば、それは単なる迷惑行為、独りよがりでしかない。

我慢を貫くことができないのであれば、顰蹙を買ってでも事前に早退なり何なりするべきであった。それもまた我慢である。

修業が足りない。猛省。

2006/01/22/Sun.

このサイトのページもだいぶん増えてきたなあ、と感慨にふけっている T です。こんばんは。

分類から検索へ

抽象的にいうと、「情報が増えてきた」。情報は参照されなければ意味が生じない。常々俺は、「読まれない文章はゴミと同じ」と主張しているが、まあ、そういうことである。

情報が莫大に増殖すると、必要な情報にアクセスするためのエネルギーもまた大きくなる。これが情報を参照する上で、最も大きな障壁となる。このエネルギーを低減するための「酵素」として幅を利かせているのが検索である。

従来、情報は階層的に整理されてきた。これは大変わかりよい方法ではあるが、巨大な情報を整理しようとすると階層は深くなり、既存の分類に当てはまらない項目が出現し、何より、整理すること自体に多大な負担が生じる。分類を道標として階層を辿っていくアクセスは破綻し始め、キーワードによる検索 > 抽出という方法に取って代わられつつある。以下に、その兆候をまとめた。

Yahoo! における検索結果の変化
Yahoo! はこれまで、サーファーが精選・カテゴライズしたサイトを重視してきた。検索結果には、アルゴリズムによる機械的な抽出の上位に、人力によって見出されたこれらのサイトが表示されてきた。が、2005年、Yhaoo! は結果の表示方法を見直し、Google 式のアルゴリズム重視型に全面変更。人力による分類は曲がり角を迎えた。
デスクトップ・サーチの出現
個々のパソコンにおける情報整理は、フォルダを基本とした階層構造である。我々は普段、フォルダ名・ファイル名を追って目的の書類に辿り着く。この方法に対し、ファイルの中身までを対象にした索引ベースの検索によって、目的のファイルを釣り上げるデスクトップ・サーチがリリースされている。Mac OS X 10.4 Tiger からは Spotlight が搭載され、Google からは Google Desktop Search が提供された。

検索は、巨大な情報の海を泳ぎ切るための有用な技術である。それは確かだ。色んなところでバラ色の未来が描かれているが、しかし果たして、本当にそれだけなのだろうか。

検索には能力が要求される

検索には能力が要求される、という当たり前の議論が割合軽んじられている。検索の下手な人間は、(検索してさえ)膨大な情報の中から目的のものを探さねばならない。一方で、適切な検索方法さえ知っていれば、一発でアクセスすることも可能である。これまで、「情報格差」といえばハード面の問題であったが、これからは個々人の能力の問題となる。

さて、俺が関心を持っているのは、「検索される側」のことである。以上の流れからすると、これからじゃ検索される情報としてドキュメントを作成することが求められる。検索でヒットするのが良い情報、と一概に判断はできないが、良い情報は必ず検索に引っ掛かるという保証もない。SEO (search engine optimization) とか、そういう小手先の技術ではなく、もっと根深い所からの変革が訪れるような気がする。ある種の情報において、例えば文体の大きな変化が数年の内に現れるだろう、という感触もある。

「インターネットによって情報発信が容易になった」という決まり文句があるが、この論法はもはや成り立たないのではないか。参入障壁が低くなれば、そこで勝利を収めることは難しくなる。競争原理からいえば当然のことだが、何故かあまり問題視されない。勝ちたい人間はわからない人間を放置する、というのは鉄則ではあるんだけれども。

もっとも、競争に勝つことだけが真理ではない。セキュリティやプライバシーの問題って、この裏側のことだと思うんだよな。

2006/01/21/Sat.

「北方謙三先生に質問」というバカなものを作っていたら寝不足になり、慚愧に堪えないほど後悔している T です。こんばんは。

とかいいながら、帰宅してすぐに「北方〜」を改良している俺は、かなりダメな人間だと思う。

研究日記

寝不足を差し引いても仕事がキツい。ここが踏ん張りどころか。そういえば今日は雨が降らなかったな、と思ったら、帰る頃に小雨がパラパラと。やはり週末の仕事は雨に見舞われる。明日はどうなんだろう。

2006/01/20/Fri.

北方謙三先生の御著書に励まされた T です。こんばんは。

今日は休日。何とか週 1日は休みを貰っているわけだが、今日の休みとて、決定したのは昨夜 20時。唐突に「じゃあ明日は休みで」とか言われても、何だかなあという感じ。

おでんの素が残っていたので、今週もおでんを作る。おでんを肴に酒を呑み、夕方から眠っていたら、夜に職場からの電話で叩き起こされる。電話口から何やら音声が流れてくるが、内容は頭の中を素通り。

こんな愚痴日記、嫌だねえ。でも今日は書くことがない。堪忍な。

2006/01/19/Thu.

陸上競技の優れている点は、過去の選手との比較が厳密にできることだと思う T です。こんばんは。

安藤美姫 vs 静ちゃん

安藤美姫
フィギュア・スケート選手。
安藤美姫
南海キャンディーズの静ちゃん
漫才師。
南海キャンディーズの静ちゃん

ルールの前には皆平等、それがスポーツの良い所である。さて、昨今注目の高いフィギュア・スケートは純然たるスポーツなのだろうか。仮に、首からは下は安藤美姫と全く同じだが顔は南海キャンディーズの静ちゃん、という選手がいたとする。彼女が安藤美姫と寸分違わぬ踊りを見せたとして、果たして彼女は安藤美姫と同じ点数を貰えるのだろうか? 非常に疑問である。

フィギュア・スケートに似ているのがバレエである。歴史の長いこの競技は、しかしオリンピックの種目にはならず、もっぱらコンクールで優劣が競われる。「コンクール」ということは、それが芸術であるという意味だ。芸術だから主観的な評価も許される。否、主観的な評価しか存在しない。だが、スポーツがそんなことではいけないんじゃないか。「やってみるまでわからない」のがスポーツであり、それが人々を熱狂させるのだから。

フィギュア・スケートにイチャモンをつけたいわけではない。安藤美姫も静ちゃんも好きだしね。ただ、冬季五輪にはこの手の「芸術分野」が多いので、あまり関心がない。

冬季といえば駅伝だろ、駅伝。EKIDEN をオリンピック種目に!

2006/01/18/Wed.

神戸市の回し者ではない T です。こんばんは。

すっかり書くのを忘れていたが、昨日は阪神淡路大震災からちょうど 11年目だった。この日になると関西人の間では、「あのときどうしていたか」がいまだに話題となる。そのたびに我々は神戸に想いを馳せるのだ。「頑張ろう神戸」ではないが、関西随一の都市として、まだまだ神戸には君臨してもらわないと困る。

「東京は大いなる田舎」という評があるけれど、そういう意味では大阪や京都も巨大な田舎である。大阪の垢抜けなさはわかりやすいが、京都も案外そういう面がある。「京都であること」が自己目的化している部分があり、京都(人)が嫌いという人の気持ちもわからないではない。既に歴史的な役割を終えた街だから、仕方がない気もするけれど。そのような京都の側面については、「現代政治都市としての京都」で少し触れた。

そんなわけで、と強引に結びつけるが、やはり関西一の都市は神戸だろうと思う。都市の基本は文明であるが、大阪や京都は独自の文化が強過ぎる(それが悪いといっているわけではない)。文明の、そして都市の神髄はその受容精神にあり、「神戸らしさ」というのもそのあたりから立ち上っているのではないか。

「神戸は良い街らしいけど、特に見るものもないなあ」と思っている貴方。神戸は街そのものが最も魅力的なのだ。四の五の言わず、ブラブラ歩いてみなさい。

2006/01/17/Tue.

具合が悪くてテンションの高い T です。こんばんは。

研究日記

風邪が治らん。朝はそれほど体調も悪くはない。実はこれが罠。夕方になってゲホゲホと嘔吐(えず)く頃には実験が抜き差しならぬところまで進んでおり、帰ろうにも帰られぬ。おまけに寝不足。昨夜は早く布団に入ったのだが眠ることができず、仕方なく(何が?)阿佐田哲也『麻雀放浪記』を再読し出したら、途中で本を置けなくなってしまった。アホか俺は。哲やドサ健と一緒に朝を迎えるわけだが、作中の彼らが「朝だな」とかいって徹マン後の睡眠を貪るのに対し、バイ人から見れば堅気の俺には、もちろんそんなことは許されない。

今夜こそ、さっさと寝る!

『麻雀放浪記』については週末に書評を書く。面白過ぎるぜ、畜生!

2006/01/16/Mon.

阪神を熱心に応援し出したのは、実は大学生になってからの T です。こんばんは。

何といっても大学の面白いところは、全国津々浦々から集まった人間と接することができる点にある。初対面でまず訊かれるのが出身地。お互い関西だと、かなりの高確率で阪神談義が盛り上がる。阪神タイガースというチーム(むしろファンか)の本当の面白さを知ったのがこのときだった。

さて、枕が長くなったが、fifthdoor氏よりプロ野球バトンを託されたので回答してみる。

プロ野球バトン

Q. 1 セ・リーグで好きな球団は?
阪神タイガース。球団ではないが、広島ファンもかなり面白い。
Q. 2 パ・リーグで好きな球団は?
(もうなくなったけど)オリックス。
Q. 3 現役で好きな選手は?
新庄剛志。
Q. 4 OB で好きな選手は?
山本浩二。
Q. 5 あなたはピッチャーです。対戦したいバッターは?
清原和博。
Q. 6 あなたはバッターです。対戦したいピッチャーは?
松坂大輔(同い年)。
Q. 7 行ったことのある球場は?
阪神甲子園球場、神戸グリーン・スタジアム。
Q. 8 行ってみたい球場は?
広島市民球場。
Q. 9 日本のプロ野球について一言!
阪神と広島の頂上決戦が見たい。オリックス・バファローズには頑張ってもらいたいね。

バトンを託す方であるが、俺の周りでネットに日記を書いていてプロ野球が好きな人、って誰だ? というわけで、お手数ですが羽留氏にお願いします。MLB もプロ野球ですよね?

研究日記

ダルいなあ、と思いつつ出勤。月曜だからだろうと考えていたが、昼頃に気分が悪くなる。明らかに風邪。ゲルを切る手がブルブル震えて別のバンドを回収しそうになった。こんな日に限ってセミナー。しかもうちの先生の番だから帰るわけにもいかない。

さっさと寝る!

2006/01/15/Sun.

暖房費削減のため、書斎に布団を敷いて寝ている T です。こんばんは。

これじゃあ学生時代の 1部屋暮らしに逆戻りじゃないか。でも便利だよなあ。戻れなくなりそうだ。

自炊日記

久々の自炊。おでんを作ってみた。おでんを食べたい、と 2、3年間思い続けていたのである。コンビニ愛好者の俺ではあるが、コンビニのおでんだけは食べたことがない。アレに手を出したら負けだと思う。鍋はときどき作るが、おでんは練り物が中心なので、1人でやるとなると案外高くつく。おでんを作らない理由って、それぐらいなんだけど。

おでんって、意外に食べる機会がないんだよな。おでん屋っていうのも、漫画やテレビで目にするほど実在しているわけではない、と思う(俺はおでん屋に行ったことがない。本当にメジャーな存在なのだろうか)。

山盛りのおでんを作り、食べる > 寝るを 2セット。少々風邪気味だったのが回復した気もする。

2006/01/14/Sat.

今月の電気代も 1万円を越えていた T です。こんばんは。

先月よりも高かったし。年末年始に帰省していた分、減っていてもおかしくないのだが。

研究日記

休日に出勤しようとすると雨(雪)が降る、という法則は今日も適用された。明日は仕事の予定もなく、天気予報も晴れになっている。ま、逆のパターンよりはマシか。

ところで、先生は電話魔である。大事な仕事の話だということは理解しているが、夜間や休日に電話をかけてこられると、さすがに鬱陶しく思うこともある。米国では、「勤務時間外に会社や上司からの電話に出なくても良い権利」が確立されつつある、という話を何かで読んだ。まことに羨ましい。

今月の実験医学を読む。ES 細胞の記事があって、冒頭に思いきり黄禹錫教授の捏造論文が引用されていた。時間的にどうしようもなかったのだろうが、まるで強烈なギャグである。あと、大学のラボの OB が執筆された記事もあった。そして最後に求人情報。この手の雑誌で最も真剣に読む部分だったりする。転職を考えているわけではないが、いつまでもこの職場にいられるわけでもない。どういう所がどういうプロジェクトでどういう人材を欲しがっているのか、傾向と対策の把握。読み取れる情報は少なくない。

冷蔵庫のフィルターを掃除。ここが詰まると冷却機能が激減するのだ。庫内の温度は気付いた人の優しさで保たれているわけだが、こういう仕事の存在を全く知らない人間も多い。愚痴ではない。「そんな下らない仕事をやってられるか」という人間ではなく、認識そのものがない人間の話である。彼らに悪気があるわけでは決してない。ただただ「見えていない」だけなんだな。そして「見える」人には、彼らが「見えていない」ことまで見えてしまう。認識自体がないから本人には改善のしようもないし、かといって誰もそんなことは教えてくれない。非常に怖いことである。というわけで、自戒を込めて書いてみた。

2006/01/13/Fri.

うがいを欠かさぬ T です。こんばんは。

インフルエンザが流行っている。我がラボでも罹患者が出た。「インテル入ってる?」をもじって、「インフル罹ってる?」というギャグを披露したが、顰蹙を買っただけだった。

そういえば、Intel社のプロセッサを搭載した Mac がついに発表された。その速度はデスクトップで 2倍、ノートで 4倍になるという。嘘か誠か。長年の Mac ユーザから言わせれば、どちらにしろ詐欺だと思う。

2006/01/12/Thu.

「ウイルス (virus)」に相当する日本語がないのではないか、と気付いた T です。こんばんは。

日本ウイルス学会

「病原体」という言葉はあるが、全てのウイルスが病原になるとは限らない。また、病原体の全てがウイルスというわけでもない(プリオン [prion] など)。したがって、ウイルス全体の訳語としては不適当である。

何か良い訳語はないものかと、日本ウイルス学会のサイトに行ってみた。

僅か 1,000円の入会金と学生年会費は 4,000円(正会員は 6,000円)で立派な会員です。他の学会にくらべてだんぜん格安で生命科学の神髄に触れることができます。(「学会について」)

爆笑。「だんぜん格安で」「立派な会員」て。どこのネズミ講だ。ちなみに、日本分子生物学会の学生年会費は 3,000円(正会員は 4,500円)である。ウイルス学会にはさらなる奮起を促したい。

「生命科学の神髄」というのも微妙な表現だな。ウイルスって生物じゃないだろ(異論もあるが)。まァ、その分水嶺こそがウイルス学 (virology) の魅力なんだろうけれど。面白いと思うよ、いやホントに。細胞への遺伝子導入では世話になってるしね。

「修羅場、どっと混む」は日本ウイルス学会を応援します。

日本プリオン学会

ついでに「プリオン」を調べてみた。今まで漠然と、特定のタンパク質の名前だと思っていたのだが、実はそうではなかった。Prion は proteinaceous infectious particle(感染性タンパク質粒子)という意味の一般名詞である。そういえば、「プリオン」の訳語を目にしたことがない。

日本プリオン学会は、残念ながら現時点では存在しない。できたら良いなあ。会費はもちろん、だんぜん格安で。

2006/01/11/Wed.

TEMED
N,N,N′,N′-tetramethylendiamine の略。良い匂いがする。
2-ME
2-mercaptoethanol の略。良い匂いがする。

初めて ECL plus を使った T です。こんばんは。

ECL plus って、独特の匂いがあるんだな。そういえば、「TEMED2-ME、どちらが良い匂いか」という話をしていたら、「どっちも臭い」と一蹴された。そうかなあ。好きなんだけどなあ。

研究日記

2006年の初セミナー(月曜が休日の週は、水曜にセミナーが開かれる)。「まだまだ残っていると思っていた研究が底を突いていた」とかボスがいう。これで研究せずに済む、というわけにはもちろんいかない。ま、別に心配することのほどじゃないみたいだけど。

雑談の話題は、ヒト ES 細胞の論文を捏造(調査委員会が最終報告)した、韓国はソウル大学の黄禹錫(ファン・ウソク)教授。

黄禹錫

韓国ソウル大の黄禹錫教授を支持する集会にマスクを着用して参加した女性。ソウル大は ES 細胞に関する黄教授の一連の論文を捏造と結論付けたが、マスクには「黄博士を信じる」と書かれている (AFP = 時事)。

「信じる」のは勝手だが、それはもはやサイエンスの問題ではない。あるのは事実だけだ。ひょっとしたら、人間としての黄博士は信じるに足る人物かもしれない。しかし、それで体細胞が ES 細胞に変わるなんてことはない。話が別である(それにしても何でマスクなんだ)。

科学研究が何でも「証明」しているという認識は、少々的が外れている。仮説・推論の立て方、データの解釈、観測上の限界など、多くの論文が「誤っている」可能性がある。そこに議論の余地が生まれ、競争のフィールドが出現し、学問が前進する。誤謬の指摘は、むしろ人類にとって大きな喜びでさえある。そうでなければ、我々の世界はいまだに天動説のはずだ。

だが、俺が上述したのは「誤認」であって、「捏造」ではない。捏造は確信犯であり、委員会が最終報告書にこの文字を刻んだ事実をよく噛みしめて考えねばならない。その上でまだ「信じる」というのなら、それは信条の問題であり、俺の関知するところではない。

2006/01/10/Tue.

ひょっとして自分は物凄く可愛そうな人なんじゃないかと思う T です。こんばんは。

寝不足気味で出勤。気合を入れるため、3つほどの実験を並行して始める。我ながら完璧なタイム・スケジュール。しかし完璧過ぎて、食事の時間が取れたのは 16時頃。おかげで早めに仕事は終わったが、さすがに晩飯を食べる気になれず、1人でバーに呑みに行く。一度、皆を誘ってこの店で飲んでみたいと思う。一方で、誰かに教えるのはもったいないという卑しい気持ちもある。素敵な店だ。

呑んだらさすがに空腹を覚えたので、寿司か茶漬けかで迷った挙げ句、茶漬け屋に。完璧なオッサンである。帰りにハーゲンダッツを買い、帰宅してからコーヒーをすすりつつ、アイスクリームなんぞを食べている。幸せだ。

たいがい眠いので、今日はこのくらいで。

2006/01/09/Mon.

連休を満喫した T です。こんばんは。

本を読んだり買い物をしたり、天気が良かったので散歩をしたり、あるいはサイトをイジったりと、大して生産的ではないが、ゆっくりとした休日だった。良いね、こういうの。

本を読んでいると食事をするのが面倒になるので、大量の菓子を買ってきて、ボリボリやりながら読んでいる。間食の習慣がないので、たまに口にすると、やたらに美味く感じる。そんなことをしながら、気になることがあればネットで調べ、面白そうなものはコピーしてメモに取る。気が付けば、ずっと机の前に座っているのだが、なかなかに幸せである。安上がりだよなあ。

2006/01/08/Sun.

下鴨神社へ初詣に行ってきた T です。こんばんは。

今年の目標

年始ということで、今年の目標をそろそろ立てようかとも思うのだが、コレといったものが出てこない。既に今年は、数ヶ月単位でやらなければならないことが幾つか決まっている。これらをこなすだけで精一杯になるだろう。それとは別に、個人的な目標。ここで「ウ〜ン」となってしまう。

満たされちゃってるのだ、良くも悪くも。念願だった職業に就けて、多忙だけれど、それなりの待遇も受けている(……と思う。騙されているのかもしれないが)。だが、これに満足して日々の仕事を回すだけになってしまうと、数年後に手痛いしっぺ返しを喰らうような気もする。ハングリー精神を絶やしてはいけない。

今の時点でここに書くほど煮詰まった話ではないのだが、ボスとの間で「博士課程に行く・行かない」という話題がチラチラ出ている。俺にも生活があるし、ボスにも思惑はあるし、職場にも規則はあるし、大学院にも都合がある。周辺条件が出揃わない限り具体的に考えることはできないが、そのような岐路が薄ぼんやりと見えつつある。目標の立てようもないが、20代後半という、体力も精神力も充実している(と思いたい)時期をどのように過ごすのか、そろそろ考えねばなるまい。

去年は本当にアッという間だった。あと 30〜40回ほど「アッ」と言えば、立派な社会のお荷物である。その前に、人から訊かれたら答えられる程度の「何か」を成さねばならぬ。まことに恐ろしい。

ウイルス

必要があって、ウイルスの基礎から勉強している。

ウイルスは細胞に寄生しないと増殖できない。非常に原始的な生命現象であり、したがって、その起源も古いと考えられる。

何となく読み飛ばしそうになるのだが、上のロジック、おかしくないか。ウイルスの起源が古いとして、では細胞がない時代、ウイルスはどうやって増殖したんだろう? ウイルスが完全にウイルスになるには細胞が必要ってことにならないか。プレ・ウイルスみたいなものがあるのだろうか。ううん。

2006/01/07/Sat.

明日は初詣に行こうかと考えている T です。こんばんは。

ヘンテコリン(「変-てこ-りん」か?)やミョウチキリン(「妙-ちき-りん」か?)という言葉は非常に変であり妙である。いったい最後の「りん」は何なのだ。可愛いつもりか。途中の「てこ」や「ちき」も意味不明であり、これらの単語が指し示す意味を一層際立たせている。

特にオチのある話題じゃないんだけれど。申し訳ない。

研究日記

ラボで軽く実験。明日、明後日は休み。細胞さえなければこんなペースである、実際。

どうでも良いが、今日も午前中に雪が降っていた。休日に出勤しようとすると、かなりの高確率で雪か雨が降っている、ような気がする。そういえば、日記に天気欄を設けようと考えていたのだっけ。覚えてはいるのだが、いまだ手付かずである。ま、そのうち。

2006/01/06/Fri.

自分の給料の財源をよく知らない T です。こんばんは。

研究日記

一昨日書き上げた申請書がボスの手によって提出された。締切が迫っていたとはいえ、ボスによる手直しは 2、3ヶ所。普段の彼に比して、あまりヤル気がないようにも思われる。「あれで通るんですかね」と先輩に尋ねたら、「今回のは推薦者がいるから通るらしい」とか。そんなものなのか。よくわからんが。

医学系の研究費は、プロジェクトにもよるのだろうが、それでもやはり潤沢である。1つ 1つの額が飛び抜けてデカいというわけではなくて、どうも金ヅルの種類が豊富であるような印象がある。例えば科研費がある。これは普通、文部省の科学研究費補助金(文部科研)を指すのだが、それとは別に、厚生労働省の科研費というものがある(厚生科研)。あくまで相対的な話だが、「文部科研は取りにくいが、割と自由に使える。厚生科研は取りやすいが、使い方に対して厳しい」らしい。文部省は各省の中で最もヘボい(と官僚がランク付けしている)省であり、それに比べて厚生労働省は巨大である。ここからの財源がなかなか大きいようだ。

それから、製薬会社や医療関係企業による研究助成金がある。多くは公募制であり、競争的資金であるが、これも医師特有の財源であろう。さらに、財団・法人などからの研究費がある。これまで聞いたこともないような財団がほとんどなのだが、それなりの額の研究費が飛び交っているらしい。どういう金なのだろうか。その財団は普段、何をしているのか。医者でもなく、社会人 1年生の俺にとっては、何となく闇を感ずる世界である。俺が知らないところで社会は回っているのだなあ。

2006/01/05/Thu.

核酸実験に比べ、ウエスタンは非常に洗練の度合いが低いと思う T です。こんばんは。

研究日記

サーマルサイクラー
サーマルサイクラーのグラフィカル・インターフェイス。写真は Applied Biosystems社製。その名も Dual 96-Well GeneAmp® PCR System 9700。カッチョいい。
GeneAmp 9700
パワー・サプライ
素晴らしいセンスのパワー・サプライ。写真は BIO RAD社製。その名も PowerPac Basic Power Supply。カッチョいい。
PowerPac Basic

この世のかなりの部分は、「こうすればカッチョいい」という男達の思惑によって作られているんじゃないか。男じゃないな、男の子だな。子供の心を持った、良くいえば純真な、悪くいえば幼稚な男が思い付いたに違いないという代物が、見渡せば沢山ある。

例えばカーナビ。これを考えたのは絶対に男だろ。カーナビを喜んで装備しているのも圧倒的に男である。道に迷わなくて便利だとかいう以前に、要するにダッシュボードにモニターがあって、地図が表示されて、しかも自分の運転と同期してリアルタイムに情報が更新されるというのが「カッチョいい」わけである。

そもそも車やバイク自体が男(の子)の玩具なのであって、タクシー・ドライバーやトラックの運転手に男が多いというのは、仕事がキツいとかそんな理由ではなく、単に、何時間も車に乗っていて飽きない人間というのが男であるに過ぎない。理由? カッチョいいからさ。

で、そういう「カッチョよさ」というものを、俺は常々実験機器に対して感じている。あれらも「カッチョよさ」を追い求めた男どもの傑作群だと思うのだが、いかがだろうか。シーケンサーやプレート・リーダーがガチョンガチョンと音を立てながら動く様、あれはもう完全に男のセンスである。サーマルサイクラーのカッチョいい液晶画面とか、素晴らしいセンスのパワー・サプライとかもな。

女性が作れば、少なくとも作る際に女性の意見を取り入れていれば、あんなヘンテコな機械にはならなかったと思う。そこらへんが家電とは全く違う。逆にいえば、この世界にはまだまだ男の方が多いわけだ。もっとセンスあふれる機器が出回るようになれば、色んな意味で成熟したといえるのかもしれない。そうなったらそうなったで、「カッチョよさ」をこれから追及しようとする若いエンジニアの卵達は、また新たなるフロンティアを探しに行くような気もするけれど。カッチョいいぜ。

2006/01/04/Wed.

仕事始めだった T です。こんばんは。

研究日記

ちょろちょろっと明日からの実験の準備をして、後は書類書き。今日が締切である。実家にもノートパソコンを持って帰っていたのだが、やはり一度も開かずに終わってしまった。正月から書類なんて書く気しねえよなあ(余談だが、ボスは正月、自宅で論文を書いていたらしい)。年末からクリーニング屋に預けっぱなしの服があるので、今日はさっさと帰宅。書類の残りは我が豪邸で書いて、夜にメールで送信しようという目論見である。

クリーニング屋は正月休みだった。無駄足かよ。今朝、出がけにズボンを引っかけて、かなり大きな穴がケツに開いてるんだけど。明日履くズボンがない俺はどうしたら良いのか。微妙な気分で帰宅してからメールをチェックしたら、ボスから「書類まだー?」というメッセージ。おお今年も仕事が追っかけてくるわい。とりあえずスンマセン・メールを出して、晩飯も喰わずに書く、書く。「これを書いたら給料アップ(通ればだけど)」と無理矢理にテンションを上げて書類をやっつける。ネットでもりもり調べる。気が付いたら、何の関係もない遺伝子のことをスゴい勢いで勉強していた。いつか訳に立つと良いね。と君が言ったから、1月 4日は書類記念日。アハハ。

俺だけなのかもしれないが、非常にしょうもない書類を埋めていると、いつもランナーズ・ハイならぬ書類ハイになる。どうにかならんもんか。とりあえず書き終わったので、飯でも食うことにする。

2006/01/03/Tue.

正月 2日間は、飯を食って屁をこいて寝てばかりいた T です。明けましておめでとうございます。

初詣にすら行っていないという怠惰な正月であった。変わったことといえば、従姉妹にお年玉をあげたくらいか。ついに手渡す側に回ってしまった。とかいって、祖父母からは今年も貰ったりしたわけだが。まァ、素直に受け取るのが孝行であると自己暗示をかけ、ありがたく頂く。彼らにとっての俺は、いつまで経っても「孫」のままなんだよなあ。年賀の挨拶に行ったら、「大きくなったな」とか言われるし。いや、もう成長しないから。