- どうなる、論文博士

2005/04/14/Thu.どうなる、論文博士

新しい部屋を決めてきた T です。こんばんは。

この時期になると空き部屋は少ないのだが、別の視点から見ると、実は買い手市場だったりもするから世の中は面白い。1年間も部屋を遊ばせるくらいなら、家賃を下げてでも住人を確保したいという大家は多いらしく、向こうから値引き交渉を申し込んでくる。不動産屋もヒマだったようで、社員総出の殿様接待。騙されているんじゃないかと最初はとまどったが、おかげで、格安にして間取りも希望以上の住居を確保できた。不動産屋と大家に感謝。良いスタートが切れそうだ。

論文博士

大学関係で気になるニュースを一つ。

中央教育審議会の大学院部会は 14日までに、企業や公的な研究所で業績を挙げた社会人が、論文などの審査を基に博士の学位を得る「論文博士」制度を廃止し、大学院のカリキュラム修了者を対象に与える「課程博士」制度に一本化する方向で一致した。

文部科学省は論文博士を認めている省令を改正、博士号取得を目指す社会人に対しては大学院に短期間在学する「博士課程短期在学コース」の創設なども検討している。

文科省によると、論文博士は、2001年度の調査で博士号の授与数のうち 36% を占めており、大学院を辞めた人が社会人になってから博士の学位を取る手段になっていた。(共同通信)

論文博士は、俺にとって他人事ではない関心事である。就職活動で様々なラボの面接を受けたが、修士卒で研究職を志望していると言うと、「将来的に博士号を取得するつもりはあるか?」と必ず尋ねられる。全く「ない」というわけでもないし、何よりもまず、面接テクニックとして「ある」と答えなければならない。すると大抵、「ウム。うちで働きながら論文博士を目指すという手もある」と面接官はおっしゃる。全博士の36%が論文博士という事実を思えば(この数字は俺が想像していたよりも大きい)、全くあり得ない話ではない。

採用が決まったラボの面接でも、やはり同様の受け応えがあった。俺と同じ体験をされた修士の方も多いのではないか。「博士課程短期在学コース」とやらがどんなものになるのか、そもそも創設されるのかを含め、これからも注目していきたい。どうも政府は、博士を増やし過ぎたと後悔しているフシがある。論文博士制度の廃止は、これから展開される博士削減策のハシリなのかもしれない。近い将来、博士号取得年度による差別が生じる可能性は充分にある。今のところ、俺には関係のない話だが。

しかし、何が起こるか読めない御時世。給料を貰い始めたら、せいぜい貯金に励むとしよう。「博士号を取らねばクビだ」と宣告されても、文句は言えないからなあ。