- 看板に……

2005/01/10/Mon.看板に……

初夢をまだ見ていない T です。こんばんは。

外食日記

班会議も終わったので、新しくできた(と思われる)R という居酒屋に行ってきた。街頭でクーポンが配られていたから立ち寄ったのだが、料理が非常に美味かった。やや高かったけど、それだけの価値はある。美味いものは高い、当然のことだ。

これだけ美味いのだから、看板から「創作料理」の文字を消せば、と思う。新興の居酒屋でよく見られるように、居酒屋R も「創作料理」を謳っている。しかし食ったものといえば、玉子焼きに揚げ出し豆腐、雑炊にサラダに鳥の唐揚げと、いったい何が「創作」なのか、俺にはわからない。もちろん独自の工夫が随所に施されているわけだが、いずれも「創作」を標榜できるものとは思えなかった。

もっとも、「創作か否か」は料理の味とは本質的に無関係であるし、「創作料理」と銘打つ行為は、むしろマーケティングの問題だということもわかっている。しかし本物の店を目指すなら、こういう軽薄な言葉を看板に書き込んではいけない。言葉はすぐに古くなる。そして、古くなってなお生き残る言葉は、驚くほど少ない。

古びゆく言葉

これは他の分野にも当てはまる。昨今流行の「J文学」や「ライトノベル」という言葉が、果たして5年後に残っているだろうか(繰り返し述べるが、この言葉と、この言葉が指す個々の小説の中身は関係ない。小説自体は、それが優れたものならば残り続けるだろう)。大学もまたしかり。少子化によって減り続ける学生を確保するため、「環境なんたら学部」や「バイオほにゃらら学科」などが、全国の大学で新設・改組され続けている。生物学に関わる者にとって、「バイオ」というカタカナは、顔から火が出るくらいに恥ずかしいんだけどな。それもこれも、「創作料理」と同程度のコピー効果を期待してのことだろうか。情けない。

……とか言いながら、俺も自分の看板に対しては後悔したこともあった。この「修羅場、どっと混む」というサイト名は、開設当時よく耳にした「.com」をもじったものだが、すぐ手垢にまみれてしまった。ドメインを取得する以前は、(ここがまたいい加減なのだが)URL が「.com」ですらなかったので、サイト名を変えることもできたのだが、やはり看板というものは、なかなか取り下げることができない。個人サイト名ですらこうなのだ。安易に暖簾を作ってはいけない、という教訓である。

今は「修羅場、どっと混む」というサイト名にも愛着が湧いて、ドメインを取るときも迷わず「shuraba.com」で申請したけれど、組織の看板は一人だけのものじゃないからなあ。