- 頑張れ、生物学者!

2004/07/08/Thu.頑張れ、生物学者!

数学のできない理系、T です。こんばんは。

7月に入ってから俺の読書リズムは上向きで、既に 10冊くらい読破した。夏休みを前に、良い傾向である。クーラーの効いた部屋で、布団に潜りながら読書するくらい楽しいこともない。

サイエンス・ノンフィクション

これは年齢的なものかもしれないが、数年前から、ノンフィクションやドキュメントに強い関心を示すようになってきた。

俺が読むノンフィクションのほとんどは、サイエンスに関するものである。専攻の生物学よりは、数学や物理が多い。興味はあるが、学問としては疎いので、一般向けに書かれた書物は重宝する。「一般向け」とは言え、一応、理系の大学院生なので、それなりのレベルでないと不満である。その点、国内の書籍には期待できない。海外、特にアメリカのものが良い。

"TIME" などには、専属のサイエンス・ライターがいて、しっかりとした記事を書く。「はあ?」と首をかしげる記事が平然と載るような、日本の新聞とは大違いだ。そんな彼等の書くノンフィクションが面白い。『カオス』『複雑系』『科学の終焉』など、定番とも言えるこれらの本は何度も読んだ (一度だけでは理解し切れないという理由もある)。

数理を愉しむ

この手の本が、系統的に揃っているのがハヤカワ文庫である。ミステリー、SF の印象が強いが、科学書のラインナップも充実している。古典的なところでは「アシモフの科学エッセイ」シリーズなどはよく読んだ。

最近では「数理を愉しむ」シリーズが良い。昨日から読んでいるのが『物理学者はマルがお好き』だ。副題に「牛を球とみなして始める物理学的発想法」とある。非常に面白い。「時間と長さと質量は、等価に交換可能である」とか、「『なぜ』とは問わない。『どのように』を記述するだけ」など、もちろんディティールも興味深いのだが、その背景にある物理学的思想や哲学が、わかりやすく書かれてある。この本については、また「Book Review」で紹介するつもりだ。

知の英雄・数学者

シャルガフの法則
DNA は A (アデニン)、T (チミン)、G (グアニン)、C (シトシン) の 4種の塩基からなるが、A と T は同量、G と C も同量に存在するという法則。ここから A-T、G-C は対合し、DNA は 2本鎖であるという推論が導かれた。

「数理を愉しむ」シリーズでは、既に『天才数学者たちが挑んだ最大の難関 フェルマーの最終定理が解けるまで』を読んでいたのだが、これも良かった。ハズレがなさそうなので、同じシリーズの『数学をつくった人びと』(全3巻) をエイヤッと買ってしまった。

数学者や物理学者は凄いと思う。「知の英雄」と言っても良い。専門外の俺でも知っている名前がゴロゴロある。ガリレオ、ニュートン、ガロア、マックスウェル、ハイゼンベルグ、アインシュタイン、ホーキング。格好良いよな。そしてまた、法則や単位に、よく人の名前が冠される。「ケプラーの法則」とか「ファラデー」とか。

そういう意味で、一般人にも認識されている生物学者のなんと少ないことよ。メンデル、ダーウィンくらいじゃないのか。ワトソンとクリックでも危ない。「シャルガフの法則」なんて、誰も知らないだろ (「シャルガフ」が一発で変換できなかったのがその証拠だ)。頑張れ、生物学者!