- 百分率

2004/01/29/Thu.百分率

久し振りに新聞を読んだ T です。こんばんは。

百分率というものがどうしても信用できない。同じ 1% でも、1/100 と 100/10,000 じゃあ全然意味が違うのではないか。そう思うのは俺だけか。

ヒトとチンパンジーのゲノムは 99% の相同性があるという。違いはわずか1%。この「わずか」というのが気に喰わない。ヒトのゲノムは 30億塩基対に及ぶ。1% でも 3千万塩基対。線虫ゲノムの実に 3倍ではないか。絶対値で考えると、とんでもない数字だ。

研究されている中で最も発生が解明されているという線虫だが、これも比較級の話で、何十年も研究されているのに、ホントに肝心なことは未解明な部分も多い。こんな線虫ゲノム三つ分の違いが、ヒトとチンパンジーの間にはある。どこが「わずか」なんだろうか。差異こそ強調されるべきだろう。

「たった 1% の違い、それを集中的に解明したらヒトとチンパンジーを区別しているものが何であるかが明らかになるだろう」などと新聞に書かれたりしている。あのな。生命に対する認識というのが甘すぎると思いませんか貴方。何でこんなに傲慢なんだろうか。最も高等な生物で線虫ゲノム三つ分を解明って。アホか。お前がやってみろ。

で、同じ紙面で「遺伝子診断や遺伝子治療の導入は、もっと慎重に考えるべきではないだろうか」などとヌカしくさっていやがる。ボケが。ヒトとチンパンジーの違いがわかるくらいなら、培養臓器移植だろうがガン細胞特異的細胞キラーだろうが、何だってできるだろうよ。

(ヒトとチンパンジーのゲノムの違いも、大部分が遺伝子とは関係ない位置に落ちているだろうし、たとえエクソン内にあっても、コドンで見たらアミノ酸すら変わらないものがほとんどだろう。アミノ酸が変わっても機能に影響がない場合も多いし。実質的な違いは 1% より更に小さいとは言えると思う。……という考えで記事を書いたのだと俺も思いたいが、こんなことすらわかっていないのではという不安もある)

お詫び

と、調子に乗って書いているが、実は線虫ゲノムの大きさを間違えています。恥ずかしい。すみません。

日記では線虫のゲノムサイズを 1千万塩基対として計算していますが、本当は 1億塩基対です。ヒトとチンパンジーのゲノムの違い = 3千万塩基対は、線虫ゲノムの 30% というのが正しい数字です。

訂正しようかと思いましたが、正確な数字にすると本文のテンションと数字が解離し、日記そのものが成立しなくなるため、恥をさらしたまま、ここでお詫びさせて頂くことにしました。偉そうに書いてごめんなさい。