- 線虫の話ばかりで申し訳ないが

2003/09/04/Thu.線虫の話ばかりで申し訳ないが

観察している変異体だが、思わぬ表現型が出て、色々と勉強を余儀なくされている。現象としては面白いのだが、説明付けが難しい。

さて、その表現型の一つに Egl という現象がある。これがかなりキモい。線虫という生物は透明で顕微鏡での観察が容易なのだが、それゆえに不快度倍増という場合もあり、Egl もそれに該当する。

線虫は基本的に雌雄同体で、成虫になると卵を産む。先に書いた通りに身体が透明であるから、成虫を観察すると腹部に卵を抱えているのが見える。彼等は生涯を通じて 300 余りの卵を産む。結構な数なので、這いながらポンポコポンポコ卵を産み出している。

ところが、この Egl という表現型を示す線虫は様々な理由で卵を体外に産出できないのである。するとどうなるか。体内は受精した卵でふくれ、さしずめ葡萄をストッキングで包んだような悲惨な形態となる。しかし、悲劇はそれで終わらない。体内に溢れ帰った卵の発生は止まらないので、何と親虫の体内で孵化するのである。ぎゃあ! 気持ち悪い線虫の身体の中で無数の小さく気持ち悪い子線虫が蠢いているんですよ貴方。

で、この Egl の写真を是非とも撮りたいのだが、プレパラートに線虫を置き、その上からカバーガラスをかけると、親虫の身体が、体内に充満している子虫でブリブリと破けてしまうのだ。おえ。気持ち悪過ぎる。どうしてもこの不快感をラボの人にも共有してほしくて、何とか気持ち悪さ満点のスーパーショットをレポートで発表したいのだが、いまだ果たせずにいる。