- 悪夢

2003/09/02/Tue.悪夢

ここ 1週間、変異体を観察し続けている。決して気持ちの良いものではない。というか気持ち悪い。そもそも線虫という生物自体、とても美しい生き物だとは思えない。研究者によっては美しいという人もいるが、それは数学者が数式を美しいと表現するのと同じことで、やはり一般的な美的感覚とは異なるところから発せられる意見だろう。

で、その気持ち悪い線虫の変異体、ぶっちゃけて言えば奇形を拡大して観察しなければならない。生きたままでは詳細な観察ができないので、薬剤で殺し、カバーで押しつぶして検鏡する。サンプル作りで下手をすると、内臓飛び出しまくりの奇形の気持ち悪い生物を目にすることとなる。悲惨だ。

そもそも奇形自体が悲惨な状況なのだが、研究の世界では悲惨であればあるほど耳目を集め、研究する意義があると認められる。因果なことよ。

A氏や B氏が言うには、観察の日々が続くと、夢や瞼の裏に線虫が現れるらしい。俺はまだお目にかかったことはないのだが、考えるだけで嫌だ。