- 騙されるな!

2003/08/29/Fri.騙されるな!

人間の身体を構成する原子はおよそ 8年間で全部入れ替わるらしい。ということは、俺の身体の半分以上は大学生になってから摂取したもので構成されているわけで、体調が悪いのも無理からぬところではある。などと晩飯に M弁を食いながら考える。

思えば、高校生の頃と比べて勝っているところなど何もないのではないか。確かに知識などは増えているのかも知れないが、それは蓄積による量的なものであって、頭の回転、身体のキレ、感受性の豊かさ、何をとっても質的には衰えていく一方である。

それでは、狡猾な大人は質的な衰退を何によって補うかというと、一つは先に挙げたような量的増大、もう一つは価値観の転換である。つまり、頭の回転が鈍くなった = 質的な衰退というパラダイムを変換するわけだ。例えば、ただ頭が回らなくなったのを「落ち着いている」と言い張り、身体が動かなくなったのを「動じない」と強弁し、感受性が鈍磨してしまったのを「冷静である」と胸を張る。いわゆる「シブい」という概念を表す形容句が、全て静的なものであることに気付くはずだ。

ところで、このようなパラダイムシフトというものは結構なエネルギーがいる。衰えた大人達は是非ともパラダイムを自分の都合が良いように展開したいのだが、衰弱してしまった彼等一人一人にそんな力はない。そこで彼等は結託する。

一見、どう考えても会話すら成立しないような関係にある 2人の大人が、何事もないように平気で顔を突き合わせているのは、パラダイムの維持という一点において両者の利害が一致しているからである。子供が必ず抱く、大人というものに対する一種の不信感はこの辺に根差しているのではないかとすら思える。

諸君、我々は騙されてはいけない。というのは半分冗談だが。……などと、M弁の話から大きく脱線してしまった。別のことを書くはずだったのに。