- タイの想い出 (2)

2003/01/22/Wed.タイの想い出 (2)

怠惰な奴を「だらしがない」と申しますが真面目な奴を「だらしがある」とは申しませんな。「だらし」ってえのは一体何でございましょうねえ。

さて、キャンプ地はバンコクから南へ 180 km、パタヤビーチの東、チョンブリ県はサッタヒープという海軍演習地である。さすがにそこまで行くのは時間がかかるので、到着日はホテルで1泊。ここを出ると人間らしい暮らしが当分できないので、この夜はバンコクの街を堪能するぞと飛び出した。とりあえず空港のセキュリティを通るはずもないので持ってきていなかったガスボンベなどのキャンプ用品を購入、晩飯を食って子供達には夜間外出禁止令を触れ回った後、大人達はふらふらと出ていくのだ。文句あるか。

ここで登場人物を紹介しよう。昨日の日記で説明したが、一つの隊に 4人の引率者がいる。1人は風邪で寝込んでいたが、残りの 3人で遊びに行ったのだ。1人は勿論俺。そしてショウ隊長 40余歳。この人は今までプライベートで 3回ほどバンコクに来たことがあるという。基本的に今夜のメニューはショウ隊長にお任せだ。もう一人は N上班 19歳(上班とは上級班長の意味。ちなみに俺は副長)。

ええ、バンコクの様子をよく理解してもらうために、まず、いくつかの事実を知ってもらいたい。

さあ、今夜はショウ隊長に一任して大いに遊ぶべし。とりあえずタクシーに乗って町中に繰り出すことにした。ところでバンコクの交通事情だが、非常に交通行儀がよい日本人には信じられない光景が繰り広げられている。例えば、車線という概念がない。車線は引いてあるのだが誰も守らない。2車線ならば 3台、4車線もあれば 6台の車が横並び。おまけに首都道路なのに滅多に信号がない。道路を横断するときは命がけ、生き馬の目を射抜くような心持ちで渡りきる。あとバイクが多い。原付に一家 4人がヘルメットなしで乗っているなんて光景もざら。タイ人てのは刹那的なのかしらん。

こんな中を客を乗せて目的地まで運んで下さるタクシーだが、普通の乗用車型タクシーの他に、バイクの後ろにトラックの荷台を合体させたようなトゥクトゥクというものがある。物見遊山な我らはアレに乗ろうということで運転手に近寄ろうとした。という素振りを見せるまでもなく運転手は話しかけてきた。

「おお日本人。500バーツでどこまででも運んでやるぜ」(基本的にここからの会話は英語)

500バーツってことは 1,500円か、妥当なんじゃないかと思っていたら、ショウ隊長が、

「ダメだ。50バーツに負けろ!」

50バーツってアンタ、1/10 やんけ。ところが、

「旦那、おたくはバンコクに来たことがあるな、わかった、70バーツでどうだ?」

おいおい、ぼったくりかよ。ところがショウ隊長は頑として譲らず、結局 50バーツで話はまとまった。

これからは省くが、基本的に金を払うときは上記のようなやりとりが一々あったと考えて頂きたい。

さて、トゥクトゥクに乗ったがこいつが結構爽快だ。椅子こそあれ、他は幌の屋根が申し訳程度についているのみで、熱帯夜の首都を走り抜けるのにはうってつけ。調子に乗って「オッサン、運転うまいやんけ」といったら、いちびりやがったのか、反対車線を逆走したのには少しビビった。

命からがらで我々がたどり着いたのはパッポン通りという怪しげな通りだった。(つづく)