- 『昭和天皇の妹君 謎につつまれた悲劇の皇女』河原敏明

2011/04/15/Fri.『昭和天皇の妹君 謎につつまれた悲劇の皇女』河原敏明

本書では、三笠宮(大正天皇四男)が実は男女の双子であり、女児の方は奈良の尼寺で門跡をされているという説の真相が検証される。近世以降の西日本には、男女の双子は情死者の生まれ変わり(畜生腹)という迷信が存在した。双子の片割れは里子に出されたり殺されるといった習慣もあったという。超の付く保守主義者で、大正天皇の死後はいよいよ神懸かり的な言動を強くする貞明皇后の性格を考えると、たとえ自分の子供といえども、忌むべき双子の女児を寺に出すくらいはしそうである。事が事なので、直接的な関係者の決定的な証拠や証言は存在しないが、著者は度重なる取材で傍証を重ねていく。