- 『化学の歴史』アイザック・アシモフ

2010/07/10/Sat.『化学の歴史』アイザック・アシモフ

玉虫文一、竹内敬人・訳。原題は "A SHORT HISTORY OF CHEMISTRY"。

アシモフ独特の軽妙な筆致で描かれた化学史。「物質の性質や構造の根本的な変化が化学変化である」(「第1章 古代」)とし、火の使用から始まる本書の歴史は核爆弾に終わる(原著の出版は一九六五年)。

あくまで化学史であるので、個々の発見についての具体的で詳細な解説は省略される。代わりに、膨大な数の化学者が登場し、彼らの歴史への関わりが記述される。これは、科学が紛うことなき人類の営みであること、個々の具体的な「誰か」の仕事の蓄積であることを物語る。人間に対するアシモフの愛情を感じられる一冊である。

本書が扱う事柄は高等学校レベルであり、読破に困難はない。学校で習得した知識が、どのような歴史的経緯で発見されたのかを学ぶには最適だろう。