- 『ジョジョの奇妙な冒険 44 ストーンオーシャン 5』荒木飛呂彦

2008/08/22/Fri.『ジョジョの奇妙な冒険 44 ストーンオーシャン 5』荒木飛呂彦

『ジョジョの奇妙な冒険 43 ストーンオーシャン 4』の続き。

プッチ神父が所有していた DIO の「骨」を追って、闘いの舞台は『厳正懲罰隔離房棟』(ウルトラセキュリティハウスユニット) に移る。そういえば、物語の序盤で徐倫もエンポリオから「骨」を貰っていたはずだが、あれはどうなったのだろう。ざっと読み返してみたが、これまでに以後の描写はない。加えていうと、「骨」は第7部にも登場するモチーフなんだよな。

徐倫の救出に向かう F・F にアナスイが協力を申し出る。彼のスタンド『ダイバー・ダウン』も登場するが、この巻では戦闘には参加しない。

(特に敵の) スタンドの能力が段々と複雑になっていく、戦闘が難解になっていく、というのはシリーズで一貫して観察される傾向である。第6部では急ごしらえのスタンド使いも多く、運用方法が浅いなあ、スタンド使いの人格とスタンドの性質の関連が薄いなあ、と思うことも少なくない。あと、第4部以降で主人公側の「回復」が常態化したことにより、肉を斬らせて骨を断つ戦術がやたらと多くなったのも大きな変化である。

ところで本巻では、DIO (本編でも「ディオ」と表記されたり "DIO" と書かれたりするが、基本的に該当箇所の記述を踏襲する) のスタンドに対する考え方 (1988年当時) が表明されている。

「どんな者だろうと人にはそれぞれその個性にあった適材適所がある」「王には王の……料理人には料理人の……」「それが生きるということだ」「スタンドも同様 「強い」「弱い」の概念はない」

(「看守ウエストウッドの秘密 その 2」)

DIO よ……、その謙虚さがあれば第3部で承太郎に敗れはしなかったろうに。

余談だが、DIO をはじめとする吸血鬼の描写を検討すると、彼らは明らかに他者の血を自らの肉体に取り込んでいることがわかる。血液型を考慮しなくても良いのかな、といつも心配になる。DIO が AB 型だというのなら、何の問題もないが。