- 『ジョジョの奇妙な冒険 41 ストーンオーシャン 2』荒木飛呂彦

2008/05/28/Wed.『ジョジョの奇妙な冒険 41 ストーンオーシャン 2』荒木飛呂彦

『ジョジョの奇妙な冒険 40 ストーンオーシャン 1』の続き。

脱獄目前にまで辿り着いた徐倫と承太郎だが、「敵」の攻撃によって承太郎が戦闘不能に陥る。構わず脱獄しろと承太郎は諭すが、徐倫はそれを放棄して刑務所に残る決意をする。「敵」は刑務所の中に姿を消したからだ。承太郎を復活させるには「敵」を叩くしかない。

スタンド名——『ホワイトスネイク』
本体——?

破壊力——?
スピード——D
射程距離——?
持続力——A
精密動作性——?
成長性——?

能力——相手が眠っているうちに、その人間の「心」を溶かし『DISC』にして取り出してしまう。DISC は「スタンド」と「記憶」の 2枚にして利用する。「心」を抜き取られた人間は精神力がなくなるので、死ぬか、延命技術があれば仮死状態となる。現時点では本体やその目的は不明。

この「敵」は何者なのか。刑務所に隠れ住む奇妙な少年や、徐倫と同期 (?) の囚人であるエルメェス・コステロによって少しずつ明らかになってくるが、全貌はいまだ不明である。

偶然からスタンド能力を発現したエルメェスは「敵」からの攻撃を受け、徐倫との共闘を決意する。2人が協力して『DISC』の捜索を始めたところで、またもや敵スタンドが襲ってくる。

スタンド名——『キッス』
本体——エルメェス・コステロ

破壊力——A
スピード——A
射程距離——A
持続力——A
精密動作性——C
成長性——A

能力——拳から出る「シール」を貼ると物体が 2つになる。その「シール」をはがすと 2つの物体は、ひとつに戻るが、その際、破壊がおきる。

さて、第6部を語る上で避けて通れない問題は荒木飛呂彦先生の女性描写である。荒木が定期的かつ意識的に画風を変えることはよく知られている。

第1部のエリナや第2部のリサリサ先生は正統派の美女である。原哲夫や北条司のようなタッチで、当時はこのような画風が流行っていたのだろう (主人公の眉毛が太いのは原哲夫の影響であることを荒木自身が語っている)。第3部には若い女性の登場人物が少ないのだが、このあたりから荒木独特の画風というものが確立されていく。第4部の辻彩はまだ万人向けだが、山岸由佳子になるとその容貌に対する賛否が分かれてくる (俺は可愛いと思うが)。第5部になると漫画そのものの構図がますます複雑になり、コマ当たりの情報も増えてくる。ドッピオが『キング・クリムゾン・エピタフ』で未来を予知しながらリゾットと戦うエピソードは圧巻だ。同時に、実験的ともいえるカメラワークに、キャラクター達は容赦のない圧縮や歪曲に晒される。第5部のヒロイン、トリッシュは基本的に愛らしい風貌をしているのだが、ときに物凄い形相になって画面を跳躍する。

第6部では徐倫がシリーズ初の女性主人公として登場する。ジョースター家直系の強靭な精神力を体現するため、引き締まり過ぎともいえる身体に精悍な面持ちを備えている。同時に女性らしさを表現するためか、妙に肌の露出が高い。このような女性が顔を歪ませながら「ちくしょおおおおお……… てめえ こ…この痛み…… そしてこのムカツキ…… てめー… よくも…」と悪態を垂れるのだから 好きな人には堪らない 好き嫌いが別れるのではないか。まァ、荒木ファンには今更のことであるが。

誰が言ったのか忘れたが、「『ゴールド・エクスペリエンス』と『ストーン・フリー』に瞳を入れなかったのは荒木の失敗」という評は正鵠を射ていると思う。ジョジョのスタンドにはやはり、それが泥臭くても瞳を入れるべきであった。『ゴールド・エクスペリエンス』が、その圧倒的な能力にも関わらず、類似の力を持つ『クレイジー・ダイヤモンド』より不人気なのは、ジョースター家を象徴する強い瞳がなかったからだ、という説明は説得力がある (ジョルノの父であるディオのスタンド『ザ・ワールド』にも瞳が入っている)。

本書で『ストーン・フリー』と『スター・プラチナ』が共に戦う場面があるが、やっぱり『スター・プラチナ』の印象が強過ぎて、『ストーン・フリー』のデザインはよく思い出せない。