- 『デビルマン』永井豪

2007/07/01/Sun.『デビルマン』永井豪


文庫版全5巻。ストーリーの解説は不要だろう。

永井豪はやっぱり天才だ。『ベルセルク』に登場する使徒も蝕も、金子一馬が描く悪魔も、『寄生獣』における「人間の天敵」というコンセプトも、全部この『デビルマン』の中にある。

悪魔と神の関係における解釈、ボーダーラインに立った主人公の葛藤、重要登場人物の正体に対する伏線の張り方など、ゲームもモロに『デビルマン』の影響を受けていることがよくわかる。そしてエロい。こればっかりは永井豪の筆そのものによってしか再現できないだろうけれど。

とにかくスゴ過ぎる。

怒濤のように突き進む後半のストーリーには圧倒される。所々で効果的に挿入される抽象的なシーン (絵柄も変わる) も印象深い。キャラクターのタッチは独特だが、そんなことよりも構図の取り方がムチャクチャに上手い。特に中盤、蜘蛛型のデーモンが校舎に結界を張るシーンは圧巻だった。

映画にならないかなあ、デビルマン。と思ったが、既に作られていたようだ。ところが。

「映画を作ろうとする者全てにこの映画を観せるべきである、なぜなら映画を作るに当って決してやってはいけない事がよく理解できるから」という批評さえある。

(Wikipedia - デビルマン (映画))

アホか。

ところで、第1巻の巻末に、永井豪による「デビルマン黙示録」という文章が掲載されている。実はここで、『デビルマン』における重要なストーリー展開と結末が暴露されている (ネタばらしをしているのが作者自身なので怒るに怒れない)。『デビルマン』を未読の方は、この文章は全巻読破後に読んだ方が良いだろう。