- 『裸婦の中の裸婦』澁澤龍彦/巖谷國士

2007/04/27/Fri.『裸婦の中の裸婦』澁澤龍彦/巖谷國士

「裸婦」をテーマに、古今東西の芸術作品から「裸婦の中のもっともすぐれた裸婦、えらび抜かれた裸婦」(「幼虫としての女」) を鑑賞・論評するエッセイ。全て架空の対話として書かれているので読みやすい。「えらび抜かれた裸婦」は以下の通り。

当初、澁澤龍彦による全12回の連載が予定されていたが、彼が咽頭癌によって入院したことを受け、後半 3回は巖谷國士によって執筆された。巖谷は澁澤の対話体を継承したため、1冊の本として違和感なくまとまっている。

採り上げられた裸婦は絵画のものが多いが、彫刻、写真、人形なども含まれる。口絵としてこれらのカラー写真があり、本文を読みながら何度も見返しては鑑賞した。

晩年の澁澤のエッセイはその衒学趣味が正面切って出ることが少なく、本書の語り口も非常に取っ付きやすい。ゴチャゴチャとしていて澁澤龍彦はどうも苦手だ、という人にもお勧めできる。