- 『何を根拠に』ナンシー関

2007/04/13/Fri.『何を根拠に』ナンシー関

故ナンシー関の未刊行の原稿を集めたもの。まだあるんだな。とはいえ、彼女の新作は読もう読めない。いつもこの本で最後かと思いながら頁をめくるのである。

本書の前半は「でたとこ映画」と題され、『SF アドベンチャー』で連載された (1990〜1992年) 映画評である。ナンシー関は映画をほとんど観ないらしいが、そのため、ヘンに気取って鼻につく映画評とは一味違ったものになっている。紹介されているのは B級やマイナーな映画が多く、また、そのような作品に限って割と真面目に論じたりしているので面白い。

後半は『Hot-Dog PRESS』に連載された (1991〜1992年) テレビに関するエッセイ。いつも思うことなのだが、10年以上前のテレビの話って、もうどうしようもなく「古い」話題のはずなのに、彼女のエッセイは古びない。何なのだろうな、これは。いつも不思議である。