「結局、私は私の頭蓋骨という狭い空間に閉じこめられた存在にすぎないのだ」
この主題を基調に、臨死体験や宗教などについて書かれた、随筆のような文章を収録したエッセイ集。茂木健一郎自身の体験や想い出を綴った文章も多い。一風変わった味わいがある。
脳内現象を理解するには、まずは自分の脳が展開する世界を「感じる」ことが出発点になる、というスタンスは面白い。言われてみれば確かにそうなんだが、「自分」というものは普段、脳の中にずっぷりと浸っているから、実際にはなかなかそういうわけにはいかない。本書のエッセイが持つ魅力は、そういうメタな視点のあり方にもあると思う。