- Book Review 2005/03

2005/03/05/Sat.

極真会館・大山倍達総裁による健康書。

「はじめに」によると、これまで総裁は「精神論」に重きを置いた著作を世に問うてきたが、昨今の (本書の刊行は昭和60年) 日本人に見られる肉体の衰えに大きな危惧を抱かれ、もって警告すべしという決意のもと、初めて「肉体論」に内容を絞った本書を上梓された。無論、大山総裁の本だけあって、従来の健康書とは一線を画する工夫が施されている。

一般論的な「肉体論」であっては読者のかたがた、特に若者達の実際の役に立ちにくいのではないかと考え、今回は思いきってわたし自身の肉体をモデルにした肉体論を展開してみることにした。

どちらが「役に立ちにくい」のか、などと考えてはいけない。これが大山流である。

肉体改造論

本書には、その大山流肉体改造論の具体的な方法がギッシリと詰め込まれている。例えば、総裁は 10倍希釈した「酢」(本文には「9倍」とあるが、何度読み返しても俺には 10倍希釈としか思えなかった。これも大山流か) を毎朝飲んでおられるという。

毎朝 1杯の酢の効果がどのような点にあるのか、わたしにはもっともらしく説明することが出来ない。知りたければ栄養学の本とか料理の本をご覧になれば、たぶんあれこれと説明が加えられているはずだ。だがわたしの場合は、長い間の経験から「いい」と言っているわけで、あまり裏付けを聞きたいとは思わない。

かように玄妙な効能がある。本書で展開される「論」には、「〜と思う」「〜のようだ」「〜の気がする」「〜らしい」「〜という」等々、説得力に富む修辞がちりばめられており、その範囲は、ほぼ全文に及ぶ。結論は明白で、全ては大山倍達という肉体が証明しているから「いい」のである。至ってシンプルだ。

解説には、大山総裁の孫弟子、正道会館・角田信朗最高師範が素敵な一文を寄せている。