田中勇、銀林浩の訳による、I〜III の全3巻。原題は "MEN OF MATHEMATICS"、副題が 'The Lives and Achievements of the Great Mathematicians from Zeno to Poincare' となっている。「ツェノンからポアンカレまで、偉大な数学者達の人生と業績」といったところか。
本書の内容は、副題が示す通り。古今の数学者の人生と数学的業績をまとめたものである。列伝形式で記されており、一人一章 (たまに複数人で一章) が割かれている。章の前半は、人間としての各数学者の生涯が細かく書かれている。愉快なエピソードも多い。そして後半は、彼がどのような数学的貢献をしたのかが述べられる。この部分は、どうしても専門用語や数式を書かざるを得ないのだが、かなり平易な文章で説明されており、どのような仕事をしたのかくらいは、素人でも理解できるようになっている。
参考までに、取り上げられている数学者達の名前を列記しておく。数字は巻数を示す。
普通に歴史の本としても読める。数学は全科学の基礎であり、その発展をこのような形で通読できるのはありがたい。惜しむらくは、原著の出版が 1937年のため、20世紀の数学者についてほとんど触れられていないことである。著者に責任はないけれど。20世紀の数学について、類書はないだろうか。