- 『あなたの脳にはクセがある 「都市主義」の限界』養老孟司

2004/03/02/Tue.『あなたの脳にはクセがある 「都市主義」の限界』養老孟司

最初に断っておくのを忘れていたが、この「Book Review」では、読んだ本について全部記録しているわけではない。かといって、基準を設けて選別しているわけでもないんだが。そういうわけで 1ヶ月ぶりである。

高度成長とは「都市化」である

最近、著者の『バカの壁』がベストセラーになり、『唯脳論』以来の養老孟司ブームである。俺は『唯脳論』が文庫になって以来、著者の文庫本はほとんど買い集めているはずで、それなりに長い付き合いだ。

この本でも、特に目新しい主張はない。著者の主張というか、題材を切る方法論は一貫している。今回は、その方法論を都市主義に用いて時事を論じている。一言で言うならば、「高度成長時代というのは『都市化』であった」「その負の面が今、様々な点で現れてきている」ということか。

この意見については賛成するところも反対するところもあるが、そもそも俺は高度成長時代には生まれていなかったので何とも言えない。

実はどうでも良い

養老孟司を俺が安心して読めるのは、この人、大体において決めつけをしないところが好きだからだ。結論はすごく短いセンテンスでパッと書いてしまうのだが、大抵その後に「まあ、どっちでも良いんだが」という文章がある。これがフォローなんかじゃなく、本当にそう思っているのだということは、一度でも著者の本を読んだ人ならわかってくれるだろう。

東洋の賢人を彷彿とさせるこのスタイルこそ、彼が受ける理由だと思っているのだが。